【人文社会学部】教育の3つのポリシー
卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)
人間社会学科
人間社会学科では、現代社会で求められている、人間が育む多様な価値観に対する寛容な態度、徹底的な現場主義の姿勢、および、確かな情報収集能力と批判的思考力をあわせもつ、課題解決の担い手を育成する。卒業の認定に当たっては、所定の要件を満たし、以下の学修成果を獲得した者に、専攻に応じた学士の学位を授与する。
(1)分野固有の知識・理解及び技術
(社会学分野)
社会学の基礎概念と諸理論、諸方法を踏まえ、現代社会や都市の抱える諸問題を、サブカルチャー論、ジェンダー論、コミュニティ論、エスニシティ論、社会階層論など多様な視点から考察する能力を獲得する。
(社会人類学分野)
社会人類学の理論と方法論を踏まえ、世界各地の諸社会の環境・政治・経済・文化の特色を理解したうえで、グローバル化時代における生活様式や価値観の多様性や創造性を追求する能力を獲得する。過去・現在・未来にわたる社会の成り立ちと人間の思考を世界的な比較の視野からとらえ、人類のあり方を総合的に考察する能力を獲得する。
(社会福祉学分野)
社会福祉学の専門的知識をふまえて、社会福祉問題を生活に密着して総合的に把握し、能動的に学習する姿勢を培う。社会保障社会福祉の政策理念方法制度歴史等の諸科目を通して論理的思考力をつけ、同時に生活問題ニーズを抱える人びとを支援する仕組みを実習等を通して学び、コミュニケーション能力や情報活用能力を獲得する。
(心理学分野)
実験心理学、認知心理学、社会心理学、発達心理学、計量心理学、臨床心理学など、心理学の理論と方法論をふまえ、人間の心理や行動に関わる諸側面について、分析的、統合的に考える能力を獲得し、環境への適応に関わる諸問題の理解、解決に役立てるための能力の習得をはかる。
(教育学分野)
幅広い講義演習等での集団的な学びを通して、教育学における教育行政、教育社会学、学校教育、青年期の学校と社会、教育哲学、社会的養護、矯正教育、保育幼児教育、多文化教育、社会教育、障害者教育の理論と方法を獲得する。現代の教育課題に幅広く関心を持ち、その実態を的確に把握し、その解決に向けて実践的かつ理論的に取組むことの出来る思考力や課題解決力を獲得する。
(言語科学分野)
ことばの科学に関する知識理解を深める。言語科学の基礎理論を踏まえ、データを体系的に考察し、必ずしも可視的ではない規則を発見する能力を身につける。脳科学の基礎を理解し、脳における言語情報処理を主眼にして、解析的に検討する能力を身につける。修得した専門的知識と問題解決能力を広く言語と人間の問題に応用する。
(日本語教育学分野)
日本語教育学では言語学的な知識はもちろん、言語教育学社会と言語との関わり異文化コミュニケーション論教育工学の基礎を習得する。日本語と日本文化を他言語他地域との対照において深く理解し、それをグローバル社会の中で伝達していく言語力を身につける。また、人々の移動が増えていく社会的現実の中で、言語教育やそれを取り巻く環境を理解し、対応行動していける能力を獲得する。
(2)普遍的に有用性を持つ能力
a) コミュニケーション能力
自らの考えや疑問を相手に分かり易く伝えるとともに、他者との議論を通して協調しながら作業を行うことができる。
b) 情報活用能力
多様な情報を収集・分析し、効果的かつ正しく活用することができる。
c) 総合的問題思考力
持っている知識、能力等を総合的に活用しながら、多角的な視点から物事を思考し、解決すべき問題の本質を見極め、それに取り組むことができる。
d) 論理的思考力
論理的展開を的確に理解したり、自らの考えを論理的に組み立てたりすることができる。
e) 能動的学修姿勢
自ら解決すべき問題・課題を見つけ、それに取り組む姿勢を備えることができる。
f) 倫理観、社会的責任の自覚
高い倫理観を持って、社会に対し主体的に関与する責任を自覚している。
g) 異なる文化・社会への理解
異なる文化的背景を持つ人・国・地域・社会等への理解を深める。
人文学科
人文学科では、異なる時代や文化、そして状況に置かれた他者への深い理解力と想像力を涵養することで、自分自身および自らの文化と社会とをより客観的に把握する、近視眼的発想を乗り越えた大局的判断の担い手を育成する。卒業の認定に当たっては、所定の要件を満たし、以下の学修成果を獲得した者に、専攻に応じた学士の学位を授与する。
(1)分野固有の知識・理解及び技術
(哲学(哲学・西洋古典学)分野)
哲学と哲学史ならびに西洋古典学に関する基本的な知識を身につけた上で、主に原典の講読という、いわば書物との対話を通して、言葉で表現された思索と心情を可能な限り正確に理解すべく努めることで、自らの考える力と自立した精神を養い、そこからまた自分自身の思考と心情をやはり言葉によって明晰に表現し伝達する能力を身につけることを目指す。
a) 古代から中世、近世から近現代に至る哲学史的な知識や、古代ギリシア・ラテン文学史や古典文献学など西洋古典学の基本的な知識を身につける。
b)古典ギリシア語からラテン語、ドイツ語、フランス語、英語などで書かれた哲学者や著作家の原典テキストを正確に読解できる言語能力を修得する。
c) 原典が提示している議論や叙述内容を正確に把握し、論理的な一貫性と整合性をもった日本語の文章に再現できる能力を養う。
d) 哲学領域においては、原典における個別の議論を哲学的な諸問題に関する哲学史的知見と連動させて検討・考察する力を養う。
e) 西洋古典学領域においては、作品の読解を通してそこに語られた内容とその表現を精緻に観察・把握し、その文学的伝統をも含めた文献学的理解力を養う。
f) 上記の哲学的考察や文献学的理解を元に、自らの思索と解釈を加えた自分なりの議論を組み立て、論理的で説得力ある論文を作成する能力を身につける。
g) 原典講読と内容把握、観察と考察、自立的思索と論述といった一連の学修と研究を通じて、専門的知識を修得するとともに言葉に対する鋭敏さを涵養し思考力を高める。
(歴史学・考古学分野)
a) 歴史学と考古学に関する基本的知識を体系的に修得する。
b) 歴史学及び考古学について、それぞれに固有の方法論を修得する。
c) 歴史学における史料と、考古学における発掘調査の方法や物質資料の基本的な取り扱い方を修得する。
d)上記 a)において与えられた総合的な知識を基に、歴史学の各分野に関する深い知識を修得する。
e)歴史学と考古学の各専門領域における様々な論点についてさらに深い知識を修得する。
f)歴史学と考古学の専門書や具体的な研究を取りあげて深く議論し、自らも発信できる能力を修得する。
g)修得した総合的専門的知識と問題解決能力を応用する。
(表象文化論分野)
表象文化論の理論と方法論を系統立てて修得する。その上で、芸術表象・文化表象ならびにその歴史的・社会的コンテクストにかんする知識や理解を深め、関連する諸問題を多様な観点から考察する能力を獲得する。異文化理解に必要な外国語能力の獲得にも配慮しながら、幅広い実践的な問題解決能力の獲得も目指す。
(日本文化論分野)
a) 正確に文章を読む力をつける。
b) 自分なりの見解をわかりやすく伝える能力を身につける。
c) 各時代の日本文学と日本語についての専門知識を、基礎的事項から最新の知見まで幅広く修得する。
d) 日本文学と日本語の、多角的な研究方法を修得する。
e) 日本文学日本語を切り口として、日本文化の独自性を学ぶ。
(中国文化論分野)
a) 現代中国語の文法を理解し、読み、書き、話す能力を身につける。
b) 文言文(書き言葉)や各時代の古典文を読み、正しく理解する能力を身につける。
c) 各時代の中国文学、各地方の中国文化に関する基礎的知識を広く修得する。
d) テキストを読む際の工具書(各種辞典類)を正しく使用し、それを元に自ら注釈を施す能力を身につける。
e) 演習形式の授業を通し、自身の意見や見解を正しく伝え、適切な資料を元に説得する能力を修得する。
f) 各ジャンルの研究史を概観し、現在の研究状況を理解する。
g) 卒業論文作成を通じて、資料収集、思考の整理、論文作成の方法を修得する。
(英語圏文化論分野)
a) 英語のテキストを正確に読解できる言語能力を修得する。
b) 複数の英語及び日本語のテキストの中および間に存在する隠されたものを読み解く能力を修得する。
c) 上記 b)において読み解いたものを、説得的かつ論理的に口頭ならびに文章で英語を使用して適切に表現できる能力を修得する。
d) 上記b)において読み解いたものについて、近代社会を作り上げている様々なイデオロギーとの関連において解釈し批判する能力を修得する。
e) 文学作品の読解を通して他者の内面を追体験し、それと一体化することも距離を置いて批判することもできる精神的可動性を養成する。
f)英語で発信される様々な情報を多様なメディアを通して取得し、自らも発信できる能力を修得する。
g)英語圏文化の背景にある様々な知識を系統立てて修得する。
(ドイツ語圏文化論分野)
a) ドイツ語圏の文化についての興味を深め、その広い領域における知識を修得する。
b) ドイツ語のテキストを正確に読解できる言語能力を養う。
c) 文学作品の読解を通じて、人間の心理や社会とのつながりを洞察し、それを論評できる感受性と論理能力を養う。
d) ドイツ語についての語学的な知識や歴史的な知識を修得する。
e) ドイツ語で自らの意見や感情を表現できる筆記能力を養う。
f) ドイツ語でコミュニケーションできる会話能力を養う。
(フランス語圏文化論分野)
a) フランス語圏の文化についての興味を深め、その広い領域における知識を修得する。
b) フランス語についての語学的な知識や歴史的な知識を修得する。
c) フランス語でコミュニケーションできる会話能力を養う。
d) フランス語のテキストを正確に読解できる言語能力を修得する。
e) フランス語で自らの意見や感情を表現できる筆記能力を養う。
f) 文学作品の読解を通じて、人間の心理や社会とのつながりを洞察し、それを論評できる感受性と論理能力を養う。
(2)普遍的に有用性を持つ能力
a) コミュニケーション能力
自らの考えや疑問を相手に分かり易く伝えるとともに、他者との議論を通して協調しながら作業を行うことができる。
b) 情報活用能力
多様な情報を収集・分析し、効果的かつ正しく活用することができる。
c) 総合的問題思考力
持っている知識、能力等を総合的に活用しながら、多角的な視点から物事を思考し、解決すべき問題の本質を見極め、それに取り組むことができる。
d) 論理的思考力
論理的展開を的確に理解したり、自らの考えを論理的に組み立てたりすることができる。
e) 能動的学修姿勢
自ら解決すべき問題・課題を見つけ、それに取り組む姿勢を備えることができる。
f) 倫理観、社会的責任の自覚
高い倫理観を持って、社会に対し主体的に関与する責任を自覚している。
g) 異なる文化・社会への理解
異なる文化的背景を持つ人・国・地域・社会等への理解を深める。
教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)
東京都立大学は、以下の方針により学士課程にふさわしい学修成果の幅と深さを確保できる体系的な教育課程を編成し、本物の考える力を育成する。
- 専門分野の基本的な知識・理解及び技術を身に付けさせる専門教育、並びに、専門外の分野の知識・理解を含む幅広い教養を身に付けさせる全学共通教育によって編成する。
- 全学共通教育と専門教育の双方において、普遍的に有用性を持つ能力を獲得・強化することができるよう、それぞれの開講科目の履修によって獲得できる能力を明示する。
人文社会学部では、人間社会学科、人文学科の2つの学科による教育課程を編成する。
人間社会学科
(1)教育課程編成の方針
人間社会学科では、分野横断的な科目を置くと共に、学生の関心に対応できるよう社会学、社会人類学、社会福祉学、心理学、教育学、言語科学、日本語教育学の7つの教室を設ける。
1年次には、単に専門的な知識に飛びつくのではなく、基礎科目、教養科目、基盤科目を通して、様々な分野の基礎知識を修得するとともに、語学の力をつけるために力を注ぐ。現代社会のさまざまな問題に関心を向け、深く物事を考察する能力はそれらの過程を通して自ずと深まっていく。また、人間社会学科の教室選択は2年次進級時であることから、それぞれ進級を希望する教室の導入的な科目や「入門」に属する専門科目を一部履修し、1年間かけていずれの教室において専門的に学びたいのか、じっくり検討する。
2年次進級時にそれぞれの専門分野に所属すると、自らの知的な欲求に基づいて主に専門分野の科目を受講し、それぞれの分野において求められる固有の知的技術を修得していく。忘れてはならないのは、これらの基礎となる知的技術の修得は4年次に執筆することになる卒業論文への準備段階として行われるべきものだということだ。目前の課題に取り組むことで論文を書きあげるための基礎力をつけながら、同時に自分なりの視点を養うことで自分なりに発見の感覚を持てるよう日々取り組んでいくことが望まれる。そのことが卒業論文執筆をより容易にもし、また実り多いものにする。
4年次にはいよいよ実際に教員の指導のもとに卒業研究論文に取り組む。教員1名に対して学生3名程度の少人数制で、一人ひとりの学生に対して非常に細やかな指導を行う。
(2)教育・学修方法に関する方針
人間社会学科の各分野においては専門的研究テーマを設定して、興味ある専門分野をより深く学ぶために多様な専門科目を用意し、学生が自ら主体的に課題に取り組めるように自由度の高い選択を可能にするカリキュラムを提供している。これらの多様な専門科目から分野ごとに定められた単位を取得することが卒業の要件になっている。余裕を持って卒論に取り組めるよう、計画的に単位を取得することを推奨する。
基礎ゼミ、演習などの少人数教育では、特に他者との議論を通して自らの考えを伝え、他者と協調して作業を行うことができるコミュニケーション能力が身に付く。卒業研究では、これらの能力をすべて発揮して論文を作成する。これが学士課程教育の集大成になる。
(3)学修成果の評価の方針
評価法としては、期末試験だけでなく、講義の理解度を確認するために、小テストや中間試験を行うことがある。また、情報を収集分析する能力や、自分の考えをまとめる能力を評価するためにレポート課題を課す、自分の考えを論理的に表現する能力を評価するために授業中にプレゼンテーションを行うなどして、総合的に評価する。
人文学科
(1)教育課程編成の方針
人文学科では、分野横断的な科目を置くと共に、学生の関心に対応できるよう哲学(哲学・西洋古典学)、歴史学・考古学、表象文化論、日本文化論、中国文化論、英語圏文化論、ドイツ語圏文化論、フランス語圏文化論の8つの教室を設けている。
1年次には、単に専門的な知識に飛びつくのではなく、基礎科目、教養科目、基盤科目を通して、様々な分野の基礎知識を修得するとともに、語学の力をつけるために力を注ぐ。現代社会のさまざまな問題に関心を向け、深く物事を考察する能力はそれらの過程を通して自ずと深まっていく。また、人文学科の教室選択は2年次進級時であることから、それぞれ進級を希望する教室の導入的な科目や「入門」に属する専門科目を一部履修し、1年間かけていずれの教室において専門的に学びたいのか、じっくり検討する。
2年次進級時にそれぞれの専門分野に所属すると、自らの知的な欲求に基づいて主に専門分野の科目を受講し、それぞれの分野において求められる固有の知的技術を修得していく。忘れてはならないのは、これらの基礎となる知的技術の修得は4年次に執筆することになる卒業論文への準備段階として行われるべきものだということだ。目前の課題に取り組むことで論文を書きあげるための基礎力をつけながら、同時に自分なりの視点を養うことで自分なりに発見の感覚を持てるよう日々取り組んでいくことが望まれる。そのことが卒業論文執筆をより容易にもし、また実り多いものにする。
4年次にはいよいよ実際に教員の指導のもとに卒業研究論文に取り組む。教員1名に対して学生3名程度の少人数制で、一人ひとりの学生に対して非常に細やかな指導を行う。
(2)教育・学修方法に関する方針
人文学科の各分野においては専門的研究テーマを設定して、興味ある専門分野をより深く学ぶために多様な専門科目を用意し、学生が自ら主体的に課題に取り組めるように自由度の高い選択を可能にするカリキュラムを提供している。これらの多様な専門科目から分野ごとに定められた単位を取得することが卒業の要件になっている。余裕を持って卒論に取り組めるよう、計画的に単位を取得することを推奨する。
基礎ゼミ、演習などの少人数教育では、特に他者との議論を通して自らの考えを伝え、他者と協調して作業を行うことができるコミュニケーション能力が身に付く。卒業研究では、これらの能力をすべて発揮して論文を作成する。これが学士課程教育の集大成になる。
(3)学修成果の評価の方針
評価法としては、期末試験だけでなく、講義の理解度を確認するために、小テストや中間試験を行うことがある。また、情報を収集分析する能力や、自分の考えをまとめる能力を評価するためにレポート課題を課す、自分の考えを論理的に表現する能力を評価するために授業中にプレゼンテーションを行うなどして、総合的に評価する。