みなさん、本日はご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様方にも心よりお祝い申し上げます。みなさんのような前途有望な若者が都立大で育ち今巣立っていこうとしていること、教職員一同晴れ晴れしい気持ちで一杯であり、心より嬉しく思っております。
この晴れの日を迎えられたみなさんに対し、私から3つのお願いをして、お祝いのことばといたします。
まず第一に、みなさんは決して一人ぼっちではないということを意識してください。特に大学時代の友は、この数年間いろいろなことを一緒に経験し、ともに汗と涙を流し、夢や悩みを語り合い、時には仲違いまでした仲間で、それはみなさんの宝物です。これからの人生では、変化する世界に立ち向かうだけでなく、仕事や研究、人間関係、恋の悩みなどに向き合うことがきっとあるでしょう。自分は何をなすべきかに悩み、本当につらい場面では命の恩人にもなってくれるのが心からの友です。もちろん自分の人生は自分で切り拓いていくという強さは必要ですが、ぜひ大学時代の友を一生大切にし、力を合わせて、これからの世界へ恐れずに立ち向かっていってください。これが第一のお願いです。
第二のお願いは、大学時代に身につけた知性という力を信じ、みなさん自身だけでなく、世界の人々をも幸せにするには何ができるかを考えてほしいということです。大学で経験し学んだことは、間違いなくみなさんの知性として血や肉となっています。この知性をしなやかに伸ばしていくことで、みなさんは自らなすべきことを、自由なそして強い気持ちで見つけ出せるはずです。知性は人としての度量と優しさをもたらすもので、力であると同時に精神の豊かさであり他者への思いやりの源です。すばらしい音楽や芸術が人々を幸せな気持ちにし、元気づけることができるように、知性がもたらす真理や革新的な考え方はたとえ時間がかかっても人々の心を豊かにし、きっと世界をよりよい方向へ導くはずです。これからも学ぶことと経験することを通じて、みなさんの知性を羽ばたかせてください。そしてみなさん自身はもちろん、まわりの人が幸せであるかどうかを思いやり、自分には一体何ができるかを考えてください。自分の持てるもので世界をより良くしていく、それができる新しい人生の段階に今みなさんは立っています。
最後に三番目のお願いですが、いろいろなことに恐れずに挑戦してください。昨今の国際間の武力行使などにより緊迫する世界情勢、地球温暖化と自然災害、人間に取って代わりそうなAIの急速な進化などを見ると、みなさんはこれから先世界はどうなるのだろうと、不安になるかもしれません。一体どこに希望をもち何に挑戦すればよいのか、途方に暮れるかもしれません。しかし、人類がもたらした問題が人類によって解決できない理由はないし、その解決は地球と次の世代に対する私たちの責任であり、若い人たちの圧倒的な力は地球と世界を変えられるはずです。私の言う挑戦はお金や地位を獲得することではなく、国境を越えて協力し人々を援助する挑戦、環境問題やエネルギー問題の解決につながる挑戦、あるいは自然界や生命の謎を解明しようとする息の長い挑戦もあります。明日を今日よりも良くすることができると信じ、みなさんにできる小さな一歩を踏み出すことが挑戦です。そして若い人たちの一歩ずつが集まることで、地球と世界を変える大きな力につながると信じています。みなさんの伸びようとする知性は大きな力です。それを信じ、困難な世界へ向けて一歩を踏み出してください。
最後に、本日卒業を迎えられ、人生の次の舞台に臨もうとするみなさんは、まぶしいぐらいに輝いています。若さは力です。私はみなさんがうらやましいです。ぜひこの大学で培った自分の力を信じて、これからの人生という海に漕ぎ出していってください。本日は本当におめでとうございます。
2026年3月22日
東京都立大学 学長 大橋隆哉