【研究発表】理学研究科 田岡准教授の核酸解析技術が実用化されました

報道発表

理学研究科化学専攻の田岡万悟准教授と理化学研究所環境資源科学研究センター 中山洋専任研究員らが開発した核酸同定アルゴリズム「Ariadne(アリアドネ)」の技術提供により、核酸医薬品の探求・開発・品質管理作業を支援する質量分析データ解析ソフトウエア「核酸解析プラットフォームAQXeNA(アクジーナ)」の提供が三井情報株式会社より開始されました。

Ariadneは、生体から分離した RNA の質量分析データからゲノムデータベースを検索して目的の RNAを同定し、転写後修飾を含む化学構造を精密に解析できる世界で初めてのデータベース検索エンジンです。同定と同時にスペクトルのアノテーション(注釈づけ)を自動的に行うアルゴリズムで、図のような働きをします。これまでリーシュマニア症などの治療薬の作用機序を明らかにするためのRNA含有タンパク質複合体の転写後修飾を含む立体構造の決定に役立ってきました。最近、核酸様物質の構造決定も可能となるようAriadneのアルゴリズムを改良し、近年開発が盛んな核酸医薬の解析に適用できるようにしました。
詳細:http://www.comp.tmu.ac.jp/proteomicslab/project02.html

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AQXeNAは、核酸医薬の創薬研究や品質管理のために用いられる膨大で複雑なデータの分析や、分析したデータの評価を簡便にするソフトウエアです。近年、治療困難な疾患を対象とした次世代薬品の新規モダリティとして、核酸医薬への期待が高まっています。しかし、これまで核酸医薬品の実験データを迅速に解析する統合されたソフトウエアは存在せず、企業・大学研究者の貴重な研究時間が失われていました。AQXeNAの実用化により、多くの研究者の解析に掛かる時間が短縮され、核酸医薬品の創薬研究のさらなる発展が期待されます。


◆「核酸解析プラットフォームAQXeNA」について(プレスリリース)
https://www.mki.co.jp/news/solution/20200629_1.html

◆田岡万悟准教授 生物化学研究室
http://www.comp.tmu.ac.jp/proteomicslab/

◆東京都立大学理学研究科化学専攻
https://www.se.tmu.ac.jp/chem/Japanese/index.html