社会のあらゆる側面でグローバル化が急速に進行するなか、主体性をもって国際的に活躍できる「グローバル人材」の育成が求められています。
本学では、2015年度入試から国際社会で活躍する意欲のある学生を募集する「グローバル人材育成入試(AO入試)」を実施しています。「グローバル人材育成入試」で入学した学生は、主専攻科目の履修と並行して、海外留学が必修の「国際副専攻コース」の科目を履修します。主専攻の専門知識に加えて、確かなコミュニケ―ション力や多様な文化に適応可能な実行力を身につけることが期待できます。
国際社会の第一線でリーダーシップを発揮して活躍できる「グローバル人材」を育成することができる取組として「国際副専攻コース」を設立し、第1期の卒業生を輩出したことを受け、また5周年を記念し、「国際キャリアパスを考える」をテーマにセミナーを開催しました。
プログラム
2020年2月12日(水)14:00~17:00 於:南大沢キャンパスTMUギャラリー
1 上野学長挨拶
国際副専攻コース設立とグローバル人材育成入試導入の数年前から、副学長として制度設計に携わっていた。今日、国際副専攻コースの学生がこのように輝かしく活躍してくれる姿を見ることができることは、非常に感慨深く、感動していると語る上野学長。
2 国際副専攻コースの概要説明
国際副専攻カリキュラム部会長 国際センター教授 岡村郁子先生
国際副専攻コースの概要と5年間の取組について説明する岡村先生。
本コースは全学の国際副専攻委員会のもと、事務局を国際課に置き、国際センター教員が授業コーディネートと実施に当たっている。各主専攻の国際副専攻担当教員と国際センターの国際副専攻アドバイザーが、履修相談や留学相談を担当。少人数での英語による授業と海外留学により、優れた専門知識を備えたグローバルリーダーの育成を目指している。知名度とともに倍率も徐々に上がり、現在までの在籍者は45名。晴れて5周年を迎えた感謝を述べるとともに、さらなるコースの充実と発展に向けて尽力したいと語った。
3 国際副専攻コース履修生によるプレゼンテーション
主専攻の所属が異なる学生で構成された2つのグループの国際副専攻コース履修生が、学習成果発表の場として英語でプレゼンテーションを行いました。
(1)Environmental Awareness
アメリカ、スウェーデン、カナダ、タイにそれぞれ留学を経験した3、4年生が、Advanced Seminar(留学後に履修するグループ&個人プレゼンテーションを行う副専攻のワークショップ)で発表したグループプレゼン。環境問題とそれに対する各国の認識の違いと政策について、各留学先国をケースに論じ、これからの環境対策で何が必要なのかを論じた。
(2)Casual Racism
Casual Racism(副専攻1年生の履修する、アカデミックスキルズを高め、地域別のグローバルスタディーズを行う前期の授業)のグループプレゼン。世界的な差別問題のなかでもカジュアルレイシズムという日常に存在するレイシズムに焦点を当て、アメリカ、ブラジル、ドイツ、フランス、マレーシアの各国事例から関連事象を分析し、日本社会の日常で起こるレイシズムに対する政策提言でまとめた。
【講評】佐々木リディア先生(国際センター特任准教授)
国際副専攻コースの設立5周年記念を祝うことを大変喜ばしく思います。私たちは優秀な学生に恵まれ、彼らの素晴らしい実績を高く評価し、非常に誇らしく思っております。
今日の2つの発表では、学生の高度な専門知識、幅広い視野、グローバル問題に対する認識、および問題に立ち向かって、積極的に解決策を求めている姿勢が見られました。若い世代には社会を変える能力があると私は確信します。次世代のリーダーとして、国際副専攻の学生がそれぞれの分野で、大いに貢献することを期待しています。
みなさん、グローバル・シティズンとしてSDGsの実現に向けて頑張ってください!私たちはいつも応援しています。
4 ゲストスピーカーによる講演
(1)小林千晃氏
(独)国際協力機構(JICA)三井物産(株)出向中
タイトル「“どきどき、そわそわ、わくわく”する世界とキャリア」
「どこの組織に所属していようと、自分のやりたいことである「世界平和」、「世界で困っていることを解決する」ことに対し、自分の力と組織の力をレバレッジしてどこまで挑戦できるか!」を信条にしているという小林さん。“どきどき、そわそわ、わくわく”する大変革期にある世界に歩みだす学生に対し、「偏見や常識を持たずになんでも見て、知って、やってみることが、キャリア、そしてライフパスを考えるうえで重要なきっかけになる」とエールを送る。
(2)五島希里氏
港屋株式会社 代表取締役社長、生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
タイトル「起業家の視点から国際キャリアを考える」
「どうしたら生まれた環境を乗り越えて才能を発揮できる人が育つんだろう」という問いを持ち続けながら試行錯誤し、今のキャリアを歩み続けているという五島さん。
「ロールモデルを持ちづらい時代」を生きていくために起業家の視点が役に立つのではないか。
キャリアを選択するとき「やりたいことは何か」を考えがちだが、「私はだれか、私は何をしたいのか、今どんなことができるのか」ということからスタートして将来を見据えていくとよい、大切なのは「最初に持った問い」とアドバイスする。
5 パネルディスカッション ~ゲストスピーカーのお二人を囲んで~
ゲストスピーカーのお二人を囲んで、国際副専攻コースに在学する1~4年の学生、国際副専攻コースを経て博士前期課程1年に在籍する学生5名と国際センターの教員とで、パネルディスカッションを行いました。
モデレーターである綾部先生からの「自分自身の今後のキャリアについて現在考えていること、ゲストスピーカーのお話を伺って、今何を感じているか」という問いに対し、学生一人ひとりが語りました。
国際副専攻コースを履修する学生の思いがあふれ、あっという間に時間が過ぎてしまいました。会場内からゲストスピーカーへの質問も受け付け、その場にいる誰にとっても気づきのある充実した時間となりました。
国際副専攻コースを履修する学生の一番近くで見守る嶋内佐絵先生(国際センター准教授)
本来、大学は国境にとらわれないグローバルな位置付けにあるもの。国際副専攻は、異なった専門を持つ学生達が、英語という共通の資源を使い、学際性と国際性という専門や国の枠組みを超えて、知の交換や協働ができる、それが国際副専攻コースの力であり、このことが将来的に個人の力になって機能していくと語る。
6 総評
副学長・ダイバーシティ推進室長 山下英明先生
海外留学でたくさんの経験をして多様性を身につけることが非常に大切であることはわかっていたが、それだけではなく、主専攻において専門の知識を習得する過程で本物の考える力を身につけてほしいという思いがあって、この国際副専攻コースは設計されている。履修生のプレゼンテーションやパネルディスカッションの学生たちの思いを聞いて、その考え方が間違えていなかったと実感できたと語る山下先生。
7 学生代表挨拶
都市環境学部都市基盤環境コース4年 山田悠登さん(国際副専攻コース一期生)
1年生の時に国際副専攻コースの課題で目標に掲げた「自立した人間になること」、「人脈を大切にすること」、「国際副専攻の環境を最大限に活かすこと」を全て達成できたと語る山田悠登さん。国際副専攻コースは素晴らしい制度だと実感しているので、後輩に伝えていきたいと語る。
山田さんはこの春卒業し、夢をかなえ、海外で理系職に就く。
8 閉会挨拶
国際副専攻委員長・副学長・国際センター長 綾部真雄先生
国際キャリアパスに正解はない。その都度、プライオリティがどこにあるかを判断して選択をしていかなければならない。もしあえて何かを基準にするなら、「利己」ではなく「利他」であってほしい。今回のセミナーを通じ、少しでもそのように感じ取ってもらえたらうれしいと総括した。
関連リンク
首都大学東京国際副専攻ホームページ
http://www.mip.ic.tmu.ac.jp/
首都大学東京国際センターホームページ
http://www.ic.tmu.ac.jp/