岩手日報社と渡邉英徳研究室が共同で制作した「震災犠牲者の行動記録」を含む「命の軌跡~東日本大震災5年一連の報道」が日本新聞協会賞に選ばれました

お知らせ

 岩手日報社と渡邉英徳研究室が共同で制作した「震災犠牲者の行動記録」(※)を含む「命の軌跡~東日本大震災5年一連の報道」が、日本新聞協会賞に選出されました。

 この報道は、東日本大震災から5年の節目に、被災者の行動を地図上で再現した企画を2016年3月5日付朝刊から5回にわたり掲載したほか、震災の教訓を後世に伝える企画を展開したもので、渡邉英徳研究室の制作したデジタルアーカイブと連動した記事が、今後の防災・減災の指針になる報道であるとして高い評価を受けました。

 日本新聞協会賞は、新聞界全体の権威と信用を高める活動を促進することを目的として昭和32年に設けられたもので、編集、技術、経営・業務の3部門に分かれ、各部門で顕著な功績のあった新聞協会加盟会員社所属の新聞人に対して贈られます。

 今年度は、編集部門92件、技術部門2件、経営・業務部門9件の合計103件の候補の中から5件の受賞が、9月7日開催の新聞協会賞選考委員会で決定しました。

(※)「震災犠牲者の行動記録」について
 「忘れない~震災犠牲者の行動記録」は、首都大学東京の渡邉英徳研究室と岩手日報社が共同で制作し、3月から紙面とウェブで展開したものです。犠牲者の生きた証を残す追悼企画「忘れない」の取材に協力いただいた遺族に再取材し、犠牲者2,135人の行動を分析し、居場所が詳細に判明した1,326人の動きを、地形の分かる立体的な地図上で再現しています。遺族の了承を得た687人については、実名で掲載されています。
 「とにかく逃げる 逃げたら戻らない」「避難場所を過信せず、少しでも高い場所へ」「助かるための避難訓練を」「『ここまで津波は来ない』を過信せず、少しでも高い場所へ」「災害弱者を救うルールづくりを」の5項目を、5年の誓いとして提言しています。
 アーカイブは各地の講演や学校の防災教育に使われ、大学の研究者にも活用されています。世界の津波被災地からも注目されたことから、英語版とインドネシア語版も制作され、教訓を広げています。

 

○忘れない~震災犠牲者の行動記録

http://wasurenai.mapping.jp/

参考
  • 渡邉英徳 准教授 プロフィール