被爆70周年を迎える今年、首都大学東京システムデザイン学部の渡邉英徳研究室は、広島女学院中学高等学校と共同で、膨大な被爆資料と最先端技術を融合した多元的デジタルアーカイブズ「ヒロシマ・アーカイブ」を大幅にバージョンアップし、「広島原爆の日」の一ヶ月前となる7月6日に公開しました。
証言資料の英語化・被爆者インタビュー動画の掲載・国土地理院の空中写真及び標高データの追加など、コンテンツを拡充しました。さらに、iOS・Androidのスマートフォンとタブレット端末にも対応しました。今回のバージョンアップにより、「ヒロシマ・アーカイブ」は、被爆地・広島の平和への願いを、未来の世界に向けて発信する、国際的なデジタルアーカイブズに生まれ変わります。
【背景】
「ヒロシマ・アーカイブ」は、被爆者の貴重な証言と原爆の記録を未来に遺すことを目的として、2011年7月に発表されました。広島平和記念資料館、広島女学院中学高等学校、八王子市原爆被爆者の会などから提供された資料を一元化し、デジタル地球儀にマッピングした「多元的デジタルアーカイブズ」です。
なかでも、広島女学院中学高等学校生徒有志による被爆者インタビューの動画資料は、これまでに被爆体験を公に語ったことのない被爆者の声も収録されており、広島原爆の実相を伝える貴重なものとなっています。
生徒有志による被爆者インタビューは、現在も継続中です。この取り組みを通して、被爆者と若者たちをつなぐコミュニティ形成も進んでいます。
●ヒロシマ・アーカイブ公式ウェブサイト
【バージョンアップの概要】
[資料の英訳]
被爆者の証言・資料113件を英訳し、「ヒロシマ・アーカイブ」に掲載しました。このことにより、国際的な情報発信が可能になりました。この英訳作業はボランティアを中心に進められており、現在も協力者を募集中です。
[被爆者インタビュー動画掲載]
広島女学院中学高等学校の生徒有志による被爆者インタビュー動画25編を掲載しました。表情と声が収録された動画により、文書では汲み取りにくい被爆者の思いが直接伝わります。インタビュー活動は生徒たちによって継続されており、今後も順次、資料を掲載していく予定です。
[国土地理院のデータ追加]
国土地理院がオープンデータとして公開している1945年~1950年に撮影された空中写真と、標高タイルデータを追加しました。このことにより、被爆直後/復興後の広島市街を比較することができるようになりました。
[スマートフォン対応]
Google Earth APIからオープンソース・ソフトウェアに移植し、PCに加えて、スマートフォン・タブレットでも表示可能になりました。さらに、AR(拡張現実)機能を備えたアプリも配信しています。このことにより、現実の広島の風景に、被爆資料を重ねあわせて閲覧することが可能になりました。
参考
- 報道発表資料(534KB)
- 渡邉英徳 准教授 プロフィール
- wtnv.studio HP