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システムデザイン学部 機械システム工学科
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魚のヒレはスクリュープロペラに代わる推進力?

ロボットは役に立たなくてもいい?
あなたは、魚の形をした水中ロボットを見たことがありますか? 本物の魚のように尾ヒレを動かして水中を泳ぐロボットです。ロボットと聞くと、工場で作業をする産業ロボットや二足歩行の人型ロボットなどがまず思い浮かぶかもしれませんが、ロボットが活躍する場は水中にもあるのです。
「魚のロボットが何の役に立つの?」と思うかもしれません。そもそもロボットは、必ず何かの役に立つ必要があります。今すぐ役に立たなくても、そこに使われた技術がいつか何かに応用できるという可能性はロボット製作に必要な視点のひとつです。
魚型ロボットの可能性
魚型ロボットにはいろいろな使い道があります。水中を自由に泳げるので川や湖、海などの水質調査、水中探査に利用できます。また、現実的にはあまり大きな効果が期待できませんが、ロボットに浄化フィルターを取り付けると、理論上は泳ぎながら水をきれいにする水質改善ロボットにもなります。
技術の応用に関して言うなら、魚型ロボットは魚と同様にヒレを振って前に進むので、回転して推進力を得るスクリュープロペラのように藻やゴミを巻き込むという問題は発生しにくくなります。現状はまだ生物に匹敵するほど速く泳げませんが、このヒレの技術が発達すれば、いつかスクリュープロペラに取って代わる船の推進力になる日が来るかもしれません。
本物の魚から学ぶべきこと
理論上、ヒレを振る動きを速くすればするほど、魚型ロボットは速く泳げるようになることがわかっています。しかし、本物の魚は、泳ぐ際にいつもヒレを高速で動かしているわけではありません。まだその原理はよくわかりませんが、魚型ロボットに限らず、実際の動物の動きを観察することが、技術の向上に関するヒントになることもあります。生物学的な動物の観察と工学的なロボット製作は、一見すると学問的に離れていそうですが、ロボット製作では、実際の動物の動きから学ぶべきことがたくさんあるのです。
ロボットは服をたたむのが苦手!?

ロボットの意外な苦手分野
ひと昔前まではアニメなど空想の世界で活躍していたロボットも、今や現実の世界で活躍しています。例えば自動車の生産に作業ロボットが利用されていることはよく知られています。
自動車工場と言えば、ボディの塗装や溶接作業、重い部品の運搬など、すべての工程がロボットで自動化されているイメージがあるかもしれませんが、ロボットにも苦手な作業があります。それは、「組み立て」です。人間にとっては感覚的にできてしまう簡単な作業でも、ロボットにとっては難しい場合があるのです。また、技術的に不可能というわけではありませんが、生産ラインの規模が大きくなり、コストが高くなるという問題もあります。
ロボットが同僚!?
苦手だからと言って、組み立て作業にロボットが不要だというわけではありません。例えばある工場では、これまで屈強な男性が二人がかりで窓ガラスを車に取り付けていました。車の窓ガラスは大きくて重いパーツです。それを正確に取り付けるとなると、自分の腕力と技術だけでなく、息をピッタリと合わせてくれる熟練者のパートナーが必要でした。しかし、パワーと操作性に優れたアシストロボットをパートナーとして導入することで、あまり経験を積んでいない人や腕力のない人でも、この仕事ができるようになったのです。これは、ロボットのパワーと正確さ、人間の頭脳と感覚がお互いの苦手分野をカバーし合った結果だと言えます。
服をたたむのは高度な作業
ロボットが苦手な作業で、身近な例をもうひとつ紹介しておきます。実は、ロボットは服をたたむのが苦手です。服だけに限りませんが、ロボットは柔らかいものに対する作業が苦手なのです。柔らかいものは触れると変形します。それがどのように変形するのかを予測して作業することは、ロボットにとって非常に難しいことなのです。日々進歩しているロボットですが、これらの苦手分野をどのように克服するのかが今後の課題だと言えます。
高校生・受験生の皆さんへのメッセージ
夢を持って大学にきてください。具体的な夢ではなくてもかまいません。受け身ではなく、自分から「何かをやってみたい」というモチベーションが必要です。特にシステムデザイン学部は幅広い分野の学問を扱っているので、たとえ現時点で具体的な夢がなくても、大学に入ってからそれを見つけられると思います。また、この分野はあなたの発想ひとつで世界中から注目を集めることも可能です。あなたの夢と発想で世界をあっと驚かせましょう。
夢ナビ編集部監修