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システムデザイン学部 機械システム工学科
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鳴らなくても、鳴りすぎても困る! アラームについて考えよう
事故を未然に防ぐための大切な仕組み
私たちの身近にあるさまざまな製品を作る工場には、生産ラインの至るところにデータを計測するポイントが設置されています。計測ポイントで、ある管理レベルを超える異常を感知すると、集中管理室でアラームが鳴ります。予備的に鳴らされるアラームから、本当に危ない状況に陥った時に鳴らされるものまでありますが、不測の事態を未然に防ぐための仕組みとして、アラームはとても重要なものです。
安全についての理念を定めておく
工場の集中管理室では、多い時では、およそ1分に1回以上、アラームが鳴っている場合もあります。それらを人間がチェックして、問題ないと判断できれば解除し、問題がある場合は対策を講じます。しかし、これらのアラームが1分間に1回以上の頻度で鳴り続けると、人間の側が対処しきれなくなってしまいます。安全を優先しすぎて、あまりにも厳密な設定にしてしまうと、対応が不可能になったり、コストがかかりすぎてしまったりするのです。
このような事態を防ぐには、生産プロセスの設計段階で安全面に万全を期すことや、アラームをより効果的に機能できるようなシステムを構築することはもちろんですが、そもそもどのような基準でアラームを管理するのか、生産現場における安全の実現について、その理念と考え方をきちんと定めておくことが大切になります。
アラームは人間の力を引き出し、社会を支える
アラームをより効率的に、そしてより安全に運用するための手法の研究は、工場だけでなく、さまざまな分野に応用されています。例えば、病院の入院病棟で、患者さんの身体や身の回りに設置するセンサーによるアラームの運用も、患者さんの健康管理と安全の確保にはとても重要です。安全は高度に自動化されたシステムだけでなく人間の力を最大限引き出すことで実現できます。アラームはそのような人間の力を引き出し、安全な社会を実現できるように陰で私たちの社会を支えている存在といえます。
工場の具合をどう診断して処方する? データを活用するシステム制御
無数にある生産現場の制御装置
私たちの身の回りにあるものの多くは、工場で生産されています。工場内の生産プロセスでは、原材料を反応させたり、加工したり、組み立てたり、数多くの工程を経て、一つの製品が生み出されていきます。
一般的な工場の生産ラインには、途中にたくさんの制御装置があり、温度や圧力など、さまざまな変数が望ましい状態に保たれるように自動的に制御されています。製品の品質やコスト管理、そして工場の安全の確保のためには、これらの制御装置を適切に機能しているかどうかを効率よく診断し、不具合があればそれを改善する処方を与える必要があります。
データの振れ具合に点数をつける
工場が稼働している間、生産プロセスの各制御装置では、常にたくさんのデータを取得しています。それらのデータはいろいろな要因で細かく変動しているため、制御装置が正常に動作しているかどうか判断しなければなりません。ただし、大きな工場の生産プロセスでは膨大な数の制御装置があるため、それらをすべてチェックし続けるのに手が回らなくなってしまう場合も考えられます。そこで、制御装置から得られたデータを、「この程度なら問題ない」「この程度になったら調整する」と振れ具合に点数をつけて抽出していき、調整が必要な制御装置だけを取り出し、その制御装置だけを調整することを行います。このようにすることで制御装置の管理や調整が効率的になり、より安全で品質の良い製造プロセスを実現することができます。
現実世界と仮想空間を見通すデータ
こうしたシステム制御の場面で得られるデータとは、製造機器など「現実世界」で動いているものと、コンピュータ上の「仮想空間」にあるシステムとの中間にある、両者を見通せる存在であるとも言えます。このような多様な役割と情報量を持つデータを有効に活用していくことが、これからのシステム制御工学に求められている役割と言えます。
高校生・受験生の皆さんへのメッセージ
私は、システム・制御工学的アプローチを用いて製造業におけるシステム的な課題を解決する手法を研究しています。この研究はニーズにあわせてさまざまな分野に展開できる面白さがあります。問題の本質を見通すには、よそゆきの知識では役に立ちません。自分自身の中に「確たるもの」を持っていることが大切です。高校時代にはいろいろなことを学んで吸収しつつ、自分の中で100パーセント理解したと確信できるものを持つことをめざしてください。それが問題の解決につながっていくはずです。
夢ナビ編集部監修