日本学術振興会 特別研究員-PDの松村英樹さん(受入機関:東京都立大学理学研究科数理科学専攻/受入研究者:東京都立大学理学研究科数理科学専攻 内田幸寛准教授)が、2024年度日本数学会応用数学研究奨励賞を受賞しました。日本数学会応用数学研究奨励賞は、日本数学会において、応用数学に関連する分野において優れた業績をあげた若手研究者(34歳以下の方)に贈られる賞です。
関連リンク:日本数学会応用数学研究奨励賞
関連リンク:2024年度日本数学会応用数学賞
■受賞内容
Bessel 多項式に関する矩形求積公式と楕円デザインの比較研究
楕円デザインは、円周上のデザイン - 円周上のある次数以下の多項式に対する積分値を有限個の点における平均値として定める有限集合 - を一般化した概念であり、Pandey(2022)によって導入された。その存在問題は組合せ論・数値解析学・統計学・整数論などの様々な研究分野が交差する研究領域における重要な問題である。本研究ではPandeyが言及したデザイン理論と整数論のつながりをさらに追求し、初めて整数論におけるディオファントス問題の一種であるProuhet—Tarry—Escott(PTE)問題との関連を見出している。楕円は単位円と同相であるが、有理点に着目することによって円周上のデザインとは異なる本質的な問題意識が生まれ、PTE問題の理想解の新たな無限列の発見にいたっている。
関連リンク:https://www.mathsoc.jp/publicity/appmath2024.html
■受賞者のコメント
この度は栄誉ある賞を頂き、誠に光栄です。今まで支えて頂いた皆様や審査員の先生方に感謝申し上げます。私は、代数曲線の有理点問題を研究してきました。本研究ではその知見を活かし、これまで独立に研究されてきた、「楕円デザイン」と「Prouhet—Tarry—Escott問題」を結びつけました。受賞を励みに今後とも研究に精進し、応用数学やその周辺分野で活躍できればと思います。