2023年9月にX線分光撮像衛星 「XRISM (クリズム)」がH-IIA ロケット47号機で打ち上げに成功しました。
XRISM は地球の上空約550 km を周回しながら、宇宙からの様々な天体から放出されるX線を検出して、宇宙における極限的な高エネルギー現象を探る衛星です。
本学の理学部 物理学科 宇宙物理実験研究室 石崎欣尚 准教授 (Resolve Instrument PI)、江副祐一郎 准教授、石川 久美 助教の研究室が開発と科学検討に携わっており、理学部 物理学科 宇宙理論グループ 藤田 裕 教授が科学検討に携わっています。
このたび、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA)より、XRISM に搭載された軟X線分光装置 (Resolve, リゾルブ)と軟X線撮像装置 (Xtend, エクステンド)のファーストライト観測データが公開されました。
この中で、Resolve は2023年12月4日から11日にかけて大マゼラン星雲にある超新星残骸(星の爆発の痕) N132D の観測を行い、以下のように、これまでにない精細なX線スペクトルを得ることに成功しました。
大マゼラン雲にある超新星残骸N132Dの XRISM Resolve で取得したスペクトル (白色)。
比較として灰色で示すのが「すざく」衛星で取得したスペクトル (Bamba et al., 2018, ApJ, 854, 71)。
背景画像は XRISM Xtend で取得したもの。
東京都立大学は XRISM プロジェクト開始以降 Resolve の開発を主導してきた国内拠点の一つであり、サイエンス検討にも深く関わってきました。Resolve のこれまでにない精密分光力で新たな宇宙の姿が明らかになることが期待されます。
詳細は JAXA のホームページをご覧ください。
参考
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) プレスリリース・記者会見等 「X線分光撮像衛星 (XRISM) のファーストライトと運用状況について」