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都市環境学部 観光科学科 川原 晋教授がディレクターを務めた活動が 令和5年度 国土交通省 都市景観大賞(景観まちづくり活動・教育部門)の優秀賞を受賞しました!

川原教授がディレクターを務めた、「景観絵本『八王子まちなか 景観みらいものがたり』 〜八王子中心市街地のフロートビジョンと実現に向けたアクション〜」の取組が、令和5年度国土交通省 都市景観大賞(景観まちづくり活動・教育部門)の優秀賞を受賞しました!(2023年6月発表)

八王子駅周辺の魅力を高めるまちづくりを景観行政との連携で取り組む方法として、地域観光プラニング研究会(代表:川原教授)が提案する計画メソッド「フロートビジョンの作成」を核として進めてきたプロジェクトが評価されました。

川原研究室の学生の皆さんも、2021年度の景観絵本作成時の調査やワークショップに参加し、2022年度からは実現のためのアクションを起こすプロジェクトを企画・運営してきました。

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川原教授(中央)と、実現アクションを担当した都市環境科学研究科 観光科学域 博士前期課程 川原研究室の和田拓将さん(左)と千葉優美子さん(右)

令和5年度都市景観大賞受賞プレスリリース: https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001612137.pdf

 

■取組の経緯

景観づくりの目標像とその実現方法の検討にあたっては、地区の事業者や市民が参加する 「八王子駅周辺の未来の景観を考えるワークショップ」と、専門家による「景観デザイン会議」の両輪で進め、地域の活動に携わる地元関係者等や大学生、いろいろな部署の市職員が参加しました。

まち歩きや学生提案を経て、関わりたい人を惹きつけるようなエリアの価値や光景を具体的かつ積極的に示した将来像とするために、あえて市の計画等に位置付けないで浮かせておく「フロートビジョン」という計画メソッドを採用し、誰もが気軽に読めるよう景観絵本「八王子まちなか 景観みらいものがたり」としてまとめました。

「景観絵本」の発行後は、実現に向けて迅速なアクションを起こすため、八王子市役所と市内複数大学とが連携した取組の実施や、地域社会と対話の場を設け、景観絵本を活かした協働による景観づくりを実践しています。

○     景観絵本の作成、実現アクションの経緯(川原研究室ホームページ内)
https://ssm.fpark.tmu.ac.jp/study/project/floatvision-of-Central-hachioji.html

○     景観絵本のPDFデータや電子書籍(八王子市ホームページ)
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisei/001/006/001/004/p027594.html

○景観絵本の実現に向けた市内大学と連携した諸活動(八王子市ホームページ)
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisei/001/006/001/004/p031422.html

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景観絵本づくりワークショップの様子

 

image-3景観絵本『八王子まちなか 景観みらいものがたり』 image-4

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■受賞についてのコメント

「八王子まちなか」に関心の高い事業者や市民や、八王子市景観アドバイザーの専門家の方々との議論を通じて、「八王子まちなか」の未来がこうなって欲しいと思うイメージスケッチを、たくさん描きました。市民や専門家の想いが込められた一冊となっています。この景観絵本をきっかけとしてまちの将来を多くの方と共有し議論することができることに、私も景観行政の方も手応えを感じています。引き続き景観づくりを入口に八王子中心市街地の魅力づくりや課題解決に活かしていきたいと考えています。審査講評では、関係者の思いを見事に言葉にしていただきました。感謝の気持ちを込めてここに転記させていただきます。

審査講評 

この景観絵本を、計画の挿し絵と捉えてしまうとその価値が正しく理解できない。桑都八王子のまちなかには、古い商家や花街の歴史を活かし、新しい住民をも意識した景 観まちづくりのさまざまな種が芽吹いている。『景観みらいものがたり』はこうした萌芽をシーンに落とし込んで編集し、まち全体のストーリーとして示したものである。ひとつひとつの取り組みがシーンの中に描かれることで関係者が勇気づけられる。取り組みの目標像が具体的なイメージとして共有され、実現に向けてはずみがつくだろう。統一的な解釈が前提となる文字で表現された計画ではこうはいかないが、絵本であればそれぞれ注目する場所は異なり、 可能性が広がっていく。

八王子の取り組みから「景観まちづくりとは、関係者それぞれの未来像を共有し、折り合いをつけ、互いに共鳴し、 その場所の歴史文化に根ざしたストーリーと空間を作っていく編集作業である」ということを改めて意識させられた。 景観行政の最終目的は「きれいな街並みを作るためのルールを作って運用すること」ではないのだ。

実現できるのかと疑問視されたアイでアもあったが「30 年後ですから」と理解を求めたという。だが八王子の『景観みらいものがたり』のほとんどは、30 年もかからずに実現するだろう。

(国土交通省「令和5年度都市景観大賞受賞概要」より抜粋)

■川原研究室が担当する実現に向けたアクション

川原研究室では、2022年度より市からの受託研究として2つのプロジェクトを学生が提案し取り組んでいます。

○「アシナミドリ」
乱れがちなプランター植栽ではなく、街路樹の足元や民地の地先に宿根草による地植え植栽を市民参加で定植し、まちなかを高質な造園空間としていくプロジェクトです。初めの一歩として、西放射線ユーロードに地植え植栽を体験するワークショップを開催しました。花街エリアへの展開を計画中です。

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地植えワークショップのようす   

image-8半年後も元気です!

○「黒塀キャンバス」
黒塀整備を進めてきた地元まちづくり協議会との共催で、黒塀を地模様(キャンバス)とした花街らしい装飾や行灯等の展開や、エアコン室外機等の木質装飾化等を DIY的イベントで推進し、景観向上と誘客を目指すプロジェクトです。研究室が社会実験として試行し、地権者が投資する機運づくりや各種支援獲得につなげています。

image-9発想の原点、置屋の雨上がりの風景 image-10
学生提案で修景を検討し、

image-11DIYで作業

 

 

image-12完成! おうちの方も笑顔! image-13町を演出するアイデア相談が始まります