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2020年度「東京都立大学ベスト・ティーチング・アワード」2件を表彰

 本学では、教育改善を更に推進するため、教育の質の改善に貢献が認められる優れた取組に対して、「ベスト・ ティーチング・アワード」を授与し、当該取組を実施した教員を優秀教員として表彰する制度があります。
 この度、本学で第二回目となる2020年度東京都立大学ベスト・ティーチング・アワードとして2件が選出され、表彰式を2021年8月27日に開催しました。表彰式では大橋学長から当該取組を実施した代表者に対して賞状と盾が授与されましたので紹介いたします。

式典の全体写真

 

2020年度東京都立大学ベスト・ティーチング・アワード 受賞取組(所属順)
  • 受賞取組: 学外体験型教養科目「自然と社会と文化」のリモート開講
  • 代 表 者:黒川 信 准教授(理学部生命科学科)
  • 共同実施者:加藤 俊吾 准教授(都市環境学部環境応用化学科)、
    筧 幸次 教授、諸貫 信行 教授(システムデザイン学部機械システム工学科)

360度カメラで撮影された実際の映像
360度カメラで撮影された実際の映像
-取組の内容―

 教養科目「自然と社会と文化」において、伊豆大島、八丈島、小笠原などの島々や都内、多摩・奥多摩地域のフィールドワークを通じ、物事を総合的に判断、考察する能力を高めるとともに、問題認識、討論、課題発見能力の基礎を養うことを目指しています。
2020年度はコロナ禍の状況にあって現地での実施が難しい状況でしたが、全方位動画及び静止画像の事前配信、双方向的なリアルタイムの中継などを活用したリモート開講により、能動的な現場体験型講義を実現しました。

-受賞した感想-

 コロナ禍の状況とはいえ、いや、だからこそ学生がこの授業を通して本学の学びに満足感、充実感を得られるならリモートでも開講する意義は大きいと考え、科目の関係者が一致団結して取り組みました。実施する中で様々な困難が有りましたが、この授業本来の意義やポストコロナに活用しうる新たな手法も含め評価していただき、心から有り難く思います。

-取組みを始めたきっかけ-

 2007年の開講以来、本学の様々な分野の50名以上の教員、地域の諸機関と多くの現地講師・協力者を始め、学生アシスタントらに支えられて続いている教養科目です。2020年度はコロナ禍となりフィールドワークの実施が困難となり、本科目の開講が危ぶまれましたが、分野横断的な能動的学びの場を提供し続ける意義は大きいと考え、リモートでの開講の方法を模索しました。

-取組みを実施するにあたり、特に苦労した点、心掛けた点-

「自然と社会と文化」は五感による実体験を共有しながら、学生が能動的に進める講義になります。本取組では「オンライン」による視覚・聴覚情報を中心にしつつ、実物の溶岩や火山灰、くさや、明日葉等の様々な教材を学生の手元に届けることで、触覚、味覚、嗅覚を含め五感を総動員し、能動的に現場を捉える「リモート」プログラムの実現を企図しました。

-他の授業でも取り入れられそうな点、今後の展開についてやってみたいこと-

 360度カメラで撮影した映像により、学生は注目したい点を拡大したり、多角的に周囲の環境を把握したりすることを通じて、独自の視点で現場を捉える力を養うことが可能となります。これは、他のフィールドワーク等の授業でも応用可能と考えています。また、事前学習で活用すると、能動的な疑似体験をふまえた独自の関心や仮説をもって現地に赴くことができるようになり、現地学習の効果を一層向上させることも期待されます。

 


 

  • 受賞取組: オンラインツールを活用した共同体としての学びのデザインと実践
  • 代 表 者: 近藤 伸彦 准教授(大学教育センター)

取組の全体の流れ
取組の全体の流れ
-取組の内容―

 教養科目「教養としてのデータサイエンス」は、データリテラシーの涵養を図ることを目的としています。本授業では、ICTツール(ScrapboxやGoogleスプレッドシート等のクラウドサービス)を活用し、学生による相互評価、明確化した評価基準に基づく学修成果の可視化を進めることで、学生の学修に対する動機を高め、主体的な学びを促進し、学修の質的な変化を促しました。

 

-受賞した感想-

 この度は、このような栄えある賞をいただき、光栄に存じます。授業というものの難しさを年々痛感する中、試行錯誤の中で「このやり方は良いかもしれない」と授業実施者として思えた点を評価いただけたことで、今後の授業に対する大きな励みになりました。TA・STAや履修者のみなさまにも感謝いたします。

-取組みを始めたきっかけ-

 学ぶことの面白さを実感してもらいたいという思いが大前提で、そのために何ができるかを考えました。ICTツールを用いるのは自分自身が楽しくやるためでもありましたが、今後授業でICTをうまく使うことは欠かせなくなるだろうと感じていたので、いろいろと試すことが自分にとっては自然なことでした。

-取組みを実施するにあたり、特に苦労した点、心掛けた点-

 あくまで個人の学習を基本としつつも、クラス全員がお互いの学習を参照し合って全体で学習が活性化する学習環境づくりをめざしました。これを実現するために、既存の授業管理システムではなくフリーのICTツールを組み合わせて自分でシステムを作ったので、授業の開講初年度はかなり苦労しました。

-他の授業でも取り入れられそうな点、今後の展開についてやってみたいこと-

 本授業はかなり独自のツールの使い方をしていますが、やってみてわかったのは、評価基準を明確にしたうえでフィードバックをしっかり行うことと、学生間で学習状況をシェアすることの有用性でした。これは他の授業でもさまざまな形で応用可能ではないかと思っています。本授業でもこの点をさらに伸ばしたいと考えています。