都市環境学部都市政策科学科の市古 太郎教授が2020年度日本都市計画学会論文賞を、益邑 明伸助教が論文奨励賞を受賞しました。6月4日にオンラインにて、表彰式が行われました。
論文賞は、都市計画の進歩、発展に顕著な貢献を認められる研究論文を近年発表した会員(個人)を対象としています。また論文奨励賞は、都市計画に関する将来性・発展性が顕著な研究論文を最近発表した会員(個人)を対象としています。
■ 授賞理由(日本都市計画学会ウェブサイトより抜粋)
【論文賞】
作品名:首都直下型地震に備える事前復興まちづくりに関する研究
受賞者:市古 太郎
本研究は、以下の観点から、都市計画研究において、有用かつ重要な論文であると考えられ、論文賞に値する。「事前復興まちづくり」は、阪神淡路大震災を契機として提起された概念であるが、著者は、その「事前復興まちづくり」概念の社会実装に専門家として関わり、その社会実装の過程を分析対象とした研究成果をもとに、その具体的な方法論を導出、展開することに成功している。特に、各地域において、10年を超える実践的研究を展開しており、その成果に基づいて、既存の改善型まちづくりとの連接を包含しつつ方法論を導いていることは高く評価されるべきである。加えて、密集市街地、空間的資源が豊富な郊外自治体、調整区域における集合住宅など、対象とした事例の典型性から他事例への応用可能性も高い。なお、以上述べたように、極めて優れた研究成果であるだけに、今後、単著の図書を出版するなどし、研究成果を広く社会に還元することが望まれる。
【論文奨励賞】
作品名:東日本大震災津波被災市街地の復興都市計画と被災中小企業の動態に関する研究
受賞者:益邑 明伸
本研究は、大規模災害後の復興計画において、住宅再建に比べて研究が不足している産業(事業所)の復興支援をテーマに、東日本大震災被災地の岩手県釜石、大槌地域の空間整備と中小企業の再建との関係分析した研究で、本学会大会論文2篇の内容を含む博士論文である。東日本大震災後に新たに創設されたグループ補助金、産業用仮設施設整備事業、津波復興拠点整備事業によって、産業再建がどう展開されてきたかを、公的統計の個票データにオリジナルの補完作業を施すとともに、自治体担当者等のインタビュー調査に基づいて、プロセスとして定量的に明らかにしている。詳細な記述にとどまらず、「営業継続を可能にする空間再編」に対する重要な考察が示されている点が高く評価できる。
以上のように、本研究は都市計画と産業活動の関係に新しい示唆を与える将来性、発展性を備えた優れた研究であり、論文奨励賞に相応しいと判断する。
■ 日本都市計画学会とは(日本都市計画学会ウェブサイトより抜粋)
公益社団法人 日本都市計画学会は、都市計画及び地方計画に関する科学技術の研究発展を図る為、昭和26年に創立されました。
会員の研究発表、知識の交換並びに会員相互及び内外の関連学協会等との連絡提携の場となり、都市計画に関する学術の進歩普及と都市計画の進展、及び都市計画に係る専門家の資質の向上を図り、もって学術・文化・社会の発展に寄与することを目的といたしております。
■ 関連リンク
・都市環境学部都市政策科学科 市古 太郎教授
・都市環境学部都市政策科学科 益邑 明伸助教
・日本都市計画学会受賞作品一覧