人文社会学部人間社会学科 石田慎一郎准教授の著書『人を知る法、待つことを知る正義:東アフリカ農村からの法人類学』が日本法社会学会第21回学会奨励賞(著書部門)を受賞しました。
本書は、国内国外の先行研究とケニア農村での調査研究(フィールドワーク)の成果に基づき、法と正義のあり方を探究した人類学的研究です。リーガル・プルーラリズム(異なる社会文化的背景をもつ他者との交渉による新しい法の創造)にオルタナティブ・ジャスティス(交渉による合意・結論をただちに求めない、来るべき正義への希求)を対比させる視点、待つことの意義を法と正義の問題として論じなおす視点は著者独自のもので、人が人を裁くことの根源的困難に着目したアフリカ四社会(ケニアのイゲンベ社会ならびにグシイ社会を中心に)の比較へとそれらの議論を展開しています。
今次受賞では、丹念なフィールドワークの成果と緻密な理論的考察が統合されている点、法人類学・法社会学の領域における千葉正士・東京都立大名誉教授(故人)の研究業績に着目し、その現代的意義を再発見している点、そして、石田准教授が本書により、一貫した法人類学像を描き、重要な理論的貢献を果たしたことが高く評価されました。
人文社会学部人間社会学科 石田慎一郎准教授
『人を知る法、待つことを知る正義:東アフリカ農村からの法人類学』(勁草書房)
日本法社会学会奨励賞
日本法社会学会奨励賞は、若手および中堅の会員による優れた著作を表彰し法社会学の研究活動の奨励を行うものです。
関連リンク
日本法社会学会HP:http://jasl.info/ippan/shoreisho