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ミニ講義 ― 東京都立大学の「学び」を体験!
浅川 康吉 教授

浅川 康吉 教授
H30再編後の所属
健康福祉学部 理学療法学科
浅川 康吉 教授 【教員紹介】
キーワード:
理学療法士(フィジカルセラピスト),理学療法,超高齢社会

超高齢社会において、理学療法士は何ができるか

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超高齢社会と理学療法士

病気や障がいによって身体の動きが悪くなった人に対して、リハビリテーションを行うのが、理学療法士の役割です。しかし、理学療法が対象とするのは、病気やけがの人ばかりではありません。高齢期を迎えて身体が思うように動かなくなってしまった高齢者のリハビリテーションも、理学療法士の仕事のひとつです。さらに、リハビリの技術を予防に応用して高齢期を迎えても元気に暮らし続けることを支援することも期待されています。超高齢社会において、理学療法士の役割はますます増していくと考えられています。

高齢者を理解する

高齢者と若者では、同じような病気や障がいであっても症状に大きく違う点があります。高齢者には、使わない筋肉や器官の機能が衰えていく「廃用症候群」が起こりやすいのです。例えば足のけがをきっかけに外出の回数が減ると、歩かないためにますます歩けなくなるといったことが起こります。それに加えて高齢者には、「老年症候群」と呼ばれる加齢にともなって引き起こされる症状もみられます。理学療法士が担当する患者のなかには疲れやすかったり、栄養が不十分だったりする人もいます。高齢者の健康状態は複雑ですから、理学療法士は病気や障がいだけでなく、廃用症候群や老年症候群も含めて幅広く勉強する必要があります。

心身に関わる

高齢者のリハビリにおいては、心理面を無視して身体面だけで語ることはできません。心と身体は互いに影響し合っています。例えば、足腰がそれほど悪くなくても、歩くことに自信が持てずに買い物に出かけることができない、という高齢者がいます。理学療法士には、筋力トレーニングなど足腰を強くするリハビリを行うと同時に、外出に対する自信を深めたり、買い物に出かけようとする意欲を引き出したりするコミュニケーション力が求められます。

理学療法の現場は病院だけではない

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地域におけるリハビリの重要性

理学療法士が必要とされる場所は、病院ばかりではありません。例えば、けがをして入院した人は、退院してもリハビリが不要になるわけではなく、その後のフォローアップが必要です。また、けがをしたり病気になったりしないための予防や健康増進について啓発・普及していくことも、理学療法士の大切な仕事です。つまり、病院内にとどまらない、地域に密着したリハビリが求められる時代となっているのです。

リハビリの3つのステージ

病気やけがで体の動きが悪くなった人のリハビリには「急性期」と「回復期」、「生活期」の3つのステージがあります。手術など急性期の治療が一段落し、本格的にリハビリに励むのが回復期で、病院を退院し、生活の場に戻ってからが生活期です。近年は、急性期や回復期だけでなく、生活期を支えるリハビリの重要性も意識されるようになっています。例えば、転んで骨折した患者が退院した場合、「また転んだらどうしよう」と怖がって家に閉じこもってしまうことがあります。このような場合、理学療法士は、骨折や歩行障がいに対するリハビリに加えて、杖(つえ)の使い方や転倒予防対策を指導するなど幅広い知識と技術で生活期をサポートしていきます。

生活期のリハビリにおける課題

入院中であれば理学療法士は対象者の人に毎日関わることができますが、生活期ではそうはいきません。対象者に関わる頻度が少なくなる分、理学療法士には自宅でできるリハビリ方法をはじめ日々を元気に過ごし続けていくためのさまざまな助言・指導・支援をする力が求められます。これからは90歳を超えた人たちのリハビリもあたりまえになるでしょう。これまで経験したことのない超高齢社会においてどのようなリハビリテ-ションとケアを行うのか、理学療法士には実践と研究の両面で大きな期待が寄せられています。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

日本に理学療法士という資格ができて50年あまりが過ぎました。理学療法士の働く場所は病院だけでなくスポーツ活動支援や高齢者介護予防事業など地域社会へと広がりつつあります。活躍の場が広がるということは必要とされる知識・技術も幅広く、高度になるということであり、それを支える研究も必要になるということです。あなたが、人の健康に興味をもち「人の役に立ちたい」という思いを持っているなら、ぜひ理学療法士の道をめざしてください。


夢ナビ編集部監修

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