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ミニ講義 ― 東京都立大学の「学び」を体験!
関根 紀夫 准教授

関根 紀夫 准教授
H30再編後の所属
健康福祉学部 放射線学科
関根 紀夫 准教授 【教員紹介】
キーワード:
診療放射線技師, X線・レントゲン, 医療

X線位相コントラスト法を使えば、より鮮明な画像が撮影できる!

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レントゲン博士が発見したX線

1895年、物理学者のレントゲンによりX線が発見されました。私たちが健康診断などで受けるX線検査もレントゲンが発見した仕組みに基づいて行われています。簡単に説明すると、タングステンという硬い金属に熱電子を衝突させることで、X線が発生します(X線管装置の動作原理)。X線が体を透過しフィルムに当たると黒いX線画像が得られますが、骨ではX線が多く吸収されるので白いX線画像になります。発見後100年以上たった現在も、技術は進化しています。フィルムの利用は減り、デジタル化が進んでいます。操作ボタンを押せばすぐに撮影した画像がモニターに表示されるフラットパネルディテクターが普及しています。

X線位相コントラスト法の活用でさらに鮮明に

現状よりもさらに鮮明に画像を撮影したいという思いから、画質改善のための研究が続けられています。そのひとつが、「X線位相コントラスト」を使った新しい撮影方法です。これまでのX線撮影では、物質がX線を吸収または透過する性質を使って像を得てきましたが、新しい撮影法では、X線が物質に当たると向きを変える、屈折する性質を利用します。この方法では、骨や臓器などの表面や内部構造を強調した画像をつくることができます。一般的なX線撮影では写らなかった軟骨やじん帯も描写できます。

課題は特殊なX線発生装置を用いること

X線位相コントラストを使った撮影方法の研究がさらに進めば、血液循環の様子や細胞レベルの情報を得ることも可能になります。最新の実験では、肝臓の微細構造の鮮明描写に成功しています(この研究は、科学研究費の支援を受けて実施されています)。しかし、この撮影法の難しいところは、シンクロトロン放射光装置という高度なX線機器を利用することです。しかし、その問題もいずれは解決し、一般的なX線管装置でも実施できるようになるでしょう。MRI(磁気共鳴画像診断装置)よりも鮮明な画像が得られる可能性があり、医療界から期待されています。

診療放射線技師へのニーズの増加に合わせて進む教育機器の開発

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高まる診療放射線技師へのニーズ

病院で、X線やCT(コンピュータ断層撮影装置)による撮影を受けるとき、放射線の照射を行うのが、診療放射線技師という国家資格を持った人です。診療放射線技師の資格を取るには、大学などの指定された養成学校で学び、卒業後、国家試験に合格する必要があります。近年は、乳がん検診のひとつであるマンモグラフィー検査などの需要が高まったことで、女性技師の需要も増え、養成学校も増加傾向にあります。

数度ずれたら撮り直し

診療放射線技師の最も基本となる業務のひとつが、X線撮影です。現在、X線による撮影方法は、ほぼ確立されており、さまざまな部位における撮影の角度も決まっていてマニュアル化されています。しかし、斜めから撮影する「斜位」は、角度がほんの数度違っただけで患部が鮮明に写らないため、ベテランの技師でも神経を使います。診断に適さない場合は、撮り直しを行います。しかし、患者さんに不要な被ばくをさせてしまうことになるので、極力、避けなければなりません。角度を固定できるポジショニングブロックという補助具がありますが、一秒を争うような緊急性のある患者さんなど状況によっては使うことができないこともあるため、ある程度は自分でコツを覚える必要があります。

技術向上をめざすシミュレーション機器も

診療放射線技師が、どんな部位でも安定した撮影ができるようになるまで、半年ぐらいはかかります。もちろんベテラン技師の指導の下、経験を重ねることが重要ですが、少しでも早く技術を習得するために、技師をめざす学生や新人技師向けのシミュレーション機器が開発され、注目を集めています。
AR(拡張現実)や加速度センサーを使ったシステムでは、仮想表示された角度計を目安にファントム(人体模型)を動かすだけでパソコンに傾斜角度やあらかじめ撮影しておいたCTデータから演算されたX線画像が表示されるので、X線装置がない場所でも練習できます。診療放射線技師の増加にともない、こうした教育機器の開発も重要になってきています。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

高校時代は、まだ自分の将来像が見えにくい時期でしょう。でも、自分の将来は、大学に入って決めるのではなく、受験する前に決めた方がいいです。そのためには、高校時代に家族や学校の先生に相談したり、大学のオープンキャンパスなどで在校生や教員と会話したり、いろいろな書籍を読んだりして情報収集して、自分の興味・関心のあることを探してください。
「自分はこれがしたい」というものが見つかれば、自分の夢に最適な大学を探せますし、大学生活が充実し、卒業後に職業を決めるときも、あなたの夢や個性、能力を生かせます。


夢ナビ編集部監修

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