Profile

経歴:東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程を修了。自然科学研究機構国立天文台で日本学術振興会特別研究員(PD)・若手研究者雇用特別研究員として従事した後、2025年7月に都立大に着任。
専門:光赤外線天文学・恒星物理学
──先生の研究内容を教えてください。
最近は、太陽の十倍以上もの重さを持つ「重い星」に注目しています。重い星は一般に、最終的に超新星爆発という大爆発を起こして一生を終えます。星がどのように進化し、どのように死を迎え、どのように爆発へと至るのか。その一連のプロセスを解明することが、私の研究テーマです。
──「知のみやこプロジェクト」に応募した理由を教えていただけますか。
特に惹かれたのは「5年」という任期の長さです。ポスドクや助教の募集は任期2〜3年がほとんど。そのため、短期間で次の職を探す必要があり、なかなか自身の研究に集中できない、という課題がありました。しかし、5年間も任期があれば、腰を据えて自身の研究テーマに取り組めます。一方、本プロジェクトでは希望すれば授業を担当できます。准教授などへのキャリアアップを考えると、教育経験を積めることは大きなメリットです。
若手のうちに、自身の研究に打ち込みたい人は、とことん研究に打ち込める。アカデミアでのキャリアアップを重視したい人は、研究に加えて教壇に立つ経験も積める。5年間の過ごし方を自分でデザインできる自由度の高さも、本プロジェクトならではの魅力だと思いました。
──先生が着任してから、約4ヶ月が経ちました。現在は、どのような働き方をしていますか。
基本的には毎日大学に出勤して、世界中の大型望遠鏡で取得した観測データを解析し、論文を執筆しています。時間の使い方はそれぞれに委ねられており、他大学の先生とのミーティングや、前職の国立天文台への出張なども、自分のペースで自由にスケジュールを組めていますね。
また、都立大内での交流も活発です。研究室の学生やポスドクと研究の話をしたり、ときには飲み会で趣味の話をしたりすることもあります。
研究は、やろうと思えばいくらでも一人で黙々と進められます。しかしそれだけでは、新しいアイデアは生まれにくい。日常的に自分の研究について話し、相手の研究について聞く。そうしたやり取りの中から、思いがけない発想が湧いてくることがあるんですよね。日常的に研究者同士で話せる環境があることは、研究を進める上でも大きなモチベーションになっています。
──都立大の研究環境についてはどう感じていますか?
天文学では、X線、可視光、赤外線など、観測に使う光の波長によって研究コミュニティが分かれています。その中でも都立大は、X線天文学に特に力を入れています。
私はこれまで主に可視光・赤外線を使って研究を進めてきました。「X線を使用すれば、新たな視点で観測できるようになる」と考えてはいましたが、所属していた東京大学や国立天文台では身の回りにX線天文学の専門家がおらず、難しい状況でした。しかし、都立大に着任したことで、念願だったX線観測も取り入れられるようになりました。
また、「知のみやこプロジェクト」だけでなく、学内の研究支援制度が充実していることも実感しています。若手教員向けの研究費や海外渡航の支援など、研究を後押しする仕組みが数多くあり、研究推進に積極的な大学だと感じています。
──今後、どのような研究課題に取り組みたいと考えていますか。
特に力を入れたいのは、「赤色超巨星」の質量放出メカニズムの解明です。赤色超巨星とは、重い星が寿命の終盤に膨張して赤くなった状態の星で、表面から大量のガスを宇宙空間に放出しています。このガスの放出がどのような仕組みで起きているのか、実はまだよくわかっていません。その解明にはX線を含めた多波長観測が有効なので、都立大でX線天文学の研究者と協力できることは大きなアドバンテージです。
また、本プロジェクトでは1年間の海外滞在が支援されます。その制度を活用して、来年の後半から欧州に滞在して共同研究を行いたい、と考えています。
──先生の研究は、社会にどのような価値をもたらすと考えていますか。
星が爆発すると、夜空に突然明るい星が現れます。それは、太古の昔から「当たり前」とされてきた星座の形をも変えてしまうかもしれません。それは、天文学者だけでなく、夜空を見上げる多くの人の好奇心を刺激すると思うのです。
天文学は「直接社会の役に立つ学問ではない」といわれることもあります。しかし、宇宙の謎に挑むこの研究は、社会に夢やロマンを届け、学術への興味関心を醸成させられるのではないか、と考えています。
──最後に、「知のみやこプロジェクト」への応募を検討している方へメッセージをお願いします。
本プロジェクトは、環境、研究費、研究に専念できる時間と、研究者が望むものをセットにして提供してくれます。私自身、とても快適に研究を進められています。
また、私は分野横断にも興味があります。このプロジェクトが気になる方はぜひ応募してください。一緒に、分野を超えた面白い研究をしていきましょう!





