首都大学東京では、FD※委員会を中心に、授業の方法やカリキュラムなど教育活動の改善を全学的に進めるために様々な活動を行っています。
その一環として、2005年から毎年度、時流にあわせたテーマを設定し、FDセミナーを開催しています。
2019年度は11月26日(火)に、「学修成果の把握と評価、そして可視化に向けて~学生が成長を実感できる評価方法、可視化のあり方とは~」をテーマに、産業技術大学院大学の情報アーキテクチャ専攻長及び本学教員による事例発表やパネルディスカッションを行い、本学の教職員や学生はもちろん、他大学や企業等から多くの方に参加いただきました。
※FD(ファカルティ・デべロップメント)とは、教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称です。
【総合司会の田中敬一教授(FD委員会委員)】
【開会の挨拶を行う上野淳学長】
【趣旨説明を行う横田佳之教授(大学教育センター長)】
産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻長の小山裕司教授からは、「産業技術大学院大学での学修成果可視の取組」をテーマとした発表をいただきました。
情報アーキテクチャ専攻における取組として、情報アーキテクトの知識体系を、CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)を基に詳細に示すことから始め、学生が学修計画に基づき随時達成度を確認できる環境を整備し、修了時に交付するディプロマサプリメントにより具体的に学修成果を証明する仕組みの構築について、詳細に発表がありました。
【事例発表を行う小山裕司教授(産業技術大学院大学情報アーキテクチャ専攻長)】
大学教育センターの松田岳士教授は、「汎用的能力の育成と評価を踏まえた授業設計」をテーマに発表しました。
本学の特長的な授業であり、新入生が必ず履修する基礎ゼミナールを取り上げ、伝統的インストラクショナル・デザインの技法である「逆向き設計」を用いた汎用的能力の育成・評価について、実際の取組事例を盛り込みながら、具体的な授業設計を紹介しました。
基礎ゼミナールは、学生が能動的・協調的学修姿勢やアカデミックスキルを習得することが目的であり、「大学の授業は自分で学修して作り上げていくもの」を隠れたカリキュラムテーマとし、教員の役割をファシリテータであるとして総括しました。
【事例発表を行う松田岳士教授(大学教育センター)】
大学教育センターの近藤伸彦准教授は、「汎用的能力の測定・評価の試み~基礎ゼミナールおよび教養科目の実践事例~」をテーマに発表しました。
「学生の成長」のためには、評価した結果を「フィードバック」することが重要であるという考えに基づき、基礎ゼミナールについてはルーブリックを用いてフィードバックを繰り返し行ったこと、教養科目については学修活動と汎用的能力を紐づけ、対応する学修活動を評価して、ポイントとして定量化を行い、オンラインで常時フィードバックした取組などについて紹介しました。
【事例発表を行う近藤伸彦准教授(大学教育センター)】
理学部生命科学科の鈴木準一郎教授は、「生物学実験への組織的なルーブリック評価の導入とポートフォリオ化に向けた取組」をテーマに発表しました。
発表では、研究する力を育成するために重要となるレポートや論文の指導には、ルーブリックとそのポートフォリオの組織的利用が有用と考え、今年度から生物学実験へ導入していること、またその導入の経緯や活用事例について紹介がありました。今後の改善点として、評価内容を学力向上につなげるためには、より具体的なレポート復習法の指導が必要であると総括しました。
【事例発表を行う鈴木準一郎教授(理学部生命科学科)】
発表者と本学基礎教育部会長の谷口央教授によるパネルディスカッションでは、「学生の成長に繋がる可視化に向けて、今できること」をテーマに活発な議論が行われました。
また、最後には、参加者から発表者への質問に答える時間が設けられました。参加した教職員、企業の方からたくさんの質問が寄せられ、今回のFDセミナーのテーマへの関心の高さが伺えました。
【パネルディスカッションの様子】
【閉会の挨拶を行う山下英明副学長】