平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、理学研究科の水口佳一准教授が若手科学者賞を受賞されました。
若手科学者賞
萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者が対象。応募者数300名、授賞者数99名。
受賞者
首都大学東京大学院理学研究科物理学専攻 准教授 水口佳一
受賞業績名
「新規BiS2系層状超伝導体の開発とその物性に関する研究」
業績内容
(1)具体的内容
新しい層状超伝導体であるBiS2系超伝導体を発見し、その超伝導機構解明に関する物性研究を推進した。高圧効果や元素置換を駆使した研究で、BiS2系超伝導発現に必要な物理パラメータを解明した。
超伝導分野で活発に研究されてきた銅酸化物系や鉄系の高温超伝導体とは全く異なる超伝導層を有するBiS2系層状超伝導体を発見した。一方、銅酸化物系や鉄系の経験を活かし、多様な新物質の開拓と機構解明に向けた物性研究を推進した。
(2)当該分野における研究の流れ
受賞者によるBiS2系層状超伝導体の発見以降、世界中で新物質探索および超伝導発現機構解明を目指した研究競争が展開されている。また、非従来型の超伝導機構を示唆する結果も示されており、今後も物性研究がより活発に展開すると予想される。
受賞コメント
若手科学者賞の受賞は、大変光栄です。受賞の対象となったBiS2系超伝導体は、2012年に私が発見した超伝導体で、とても思い入れの強い物質です。BiS2系超伝導分野では最近も研究に進展があり、今後の研究展開が楽しみです。今回の受賞をバネに、私の夢である室温超伝導体の発見に向けて、さらなる新奇物質の開発を推進したいと思います。
水口研究室:http://www.comp.tmu.ac.jp/eeesuper/mizuguchilab/index.html
主要論文
●「Superconductivity in novel BiS2-based layered superconductor LaO1-xFxBiS2」J. Phys. Soc. Jpn. vol.81, 114725、2012年11月発表
●「BiS2-based layered superconductor Bi4O4S3」Phys. Rev. B vol. 86, 220510、2012年12月発表
●「Stabilization of high-Tc phase of BiS2-based superconductor LaO0.5F0.5BiS2 using high-pressure synthesis」J. Phys. Soc. Jpn. vol.83, 053704、2014年4月発表
●「The effect of RE substitution in layered REO0.5F0.5BiS2: chemical pressure, local disorder and superconductivity」Phys. Chem. Chem. Phys. vol.17, 22090、2015年7月発表
●「In-plane chemical pressure essential for superconductivity in BiCh2-based (Ch: S, Se) layered structure」Sci. Rep. vol.5, 14968、2015年10月発表