当日は生憎の雨であったが、初めて行く荒川キャンパスはとても新鮮なものに感じられた。
門をくぐると最初に見えてくるのは模擬店コーナーである。中でも、手芸やマッサージを通じて東北の被災者支援を行うATO(荒キャン東北応援隊)というサークルが販売する、岩手の郷土料理である「まめぶ汁(まめぶとは黒砂糖とクルミを小麦粉の生地で包んだ団子のこと)」が名物だ。私が買おうとした時には既に売り切れとなっており、その人気の高さが伺えた。
館内では、まず作業療法学科の革細工体験ブースにお邪魔した。作業療法とは、体を思うように動かしにくい方が日常生活をスムーズに送り、生きがいを見つけることを支援する治療である。案内をしてくれたのは今年の青鳩祭パンフレットの表紙を担当した作業療法学科2年の葛西友紀さんだ。彼女が紹介してくれた、色覚障がいを持っている方が普段見えている景色を体験できる眼鏡をかけた時は、その色彩の見え方の違いに驚いた。似たような系統の色は区別がつかなくなり、特に赤色は鮮やかさがなく、かなり暗い色に見えた。私達が日常で目にするものでは、例えば路線図など、色で見分けなければならないものが多く存在する。この体験はそのような色分けに大きなハンデを抱えている方がいることを知る貴重な機会となった。作業療法学科では、実際にこの眼鏡を使ってバリアフリーデザインを考えるといった授業もあるとのことだ。
次に看護学科のコーナーに向かった。教室に入るとまず部屋全体にベッドが並んでいることに驚く。普段学生達はここで実習をしながら学んでいるそうだ。青鳩祭当日は、学生達からフィジ子と呼ばれる模型が展示されていて、血圧測定体験ができた。また、ベッドの上での洗髪が再現されている展示では、授業中は学生同士で頭を洗い合って実技演習していることを紹介してもらった。特に、髪が長い学生だと洗うのも一苦労であるといった話も聞くことができた。私は南大沢キャンパスで講義形式の授業を受けることが多いため、実習形式の授業の展示はとても興味深いものであった。
このように、青鳩祭には健康福祉学部ならではの展示や、そこでしかできない貴重な経験が数多くあった。また、近隣の障がい者支援団体や消防による企画が充実していることに気づいた。大学周辺の団体から、青鳩祭参加の依頼が相次いだというのだ。今年の青鳩祭のテーマは「つなぐ」。地域と密接に関わっての開催となった青鳩祭は、まさにそのテーマを体現したものになったのではないだろうか。他学部に所属する学生も、同じ首都大学東京の学生というつながりを大切にして、ぜひ青鳩祭を訪れてほしいと感じた。
【長野 由佳(経営2年)】
続いては、第32回青鳩祭実行委員長を務める作業療法学科3年の酒井理沙さんにお話を伺いました。
(広報チーム(以下広):今年の青鳩祭のテーマについて教えてください。)
酒井さん:今年のテーマは“つなぐ”です。テーマ自体は最初にふわりと決まりました。するとテーマに合わせてうまいこと消防署や外部の団体さんからお話をいただき、つなぐというテーマ通りに進んできました。また助産院さんが講演をしてくださったり、外部の病院さん等も声をかけてくださいました。
(広:今年は雨でしたが、2日間の達成度はどうですか? )
酒井さん:去年より新しいことがいろいろできたので良かったと思っています。コンセプト通りに進みました。
(広:特におすすめなスポットなどありますか?)
酒井さん:イベントステージはやはり一番盛り上がります。今年は雨で体育館でしたが、晴れた日の青鳩祭は外からも華やかになるのでぜひ見てほしいです!
(広:普段南大沢や日野キャンパスに通う学生にとっては、青鳩祭で看護学科や作業療法学科の教室に入れたり、勉強内容などを聞けることはとてもレアな経験でした。)
酒井さん:そうですよね。放射線学科などは内容が独立していてほかの学部とあまり関わることはないので、委員長として学長の案内をした私自身にとっても初めて見るものもあり新鮮でした。
(広:他のキャンパスに通う学生に発信したいことはありますか。)
酒井さん:私たちにとって医療系はすごく身近に考えていますが、設備なども医療系に特化した荒川キャンパスは、ほかのキャンパスの学生とは全く違うことをやっていると思うので、ぜひこういった機会にほかの学部の方も来て楽しんでほしいです。
(広:どういった方が来場されていますか?)
酒井さん:バザーやフリーマーケットがあるので、地域の方やご年配の方、小さいお子さんを連れた方も結構多いです。産後サポネットという看護系の学生が多く入っているサークルがありますが、そのサポートをしている保育士さんのダンスのイベントなどもあり、地域に根付いています。
(広:これからどんな青鳩祭になって行ってほしいと考えていますか。)
酒井さん:運営体制も毎年変わるので、余裕をもって新しいことにチャレンジしていってほしいです。
【渋谷 奏里(法学4年)】