キービジュアル

システムデザイン研究科-運動器疾患に伴うQOLの低下と傷害に対し、細胞と器官の面からアプローチ

運動器の疾患・傷害に、新たな方法論を加えて治療レベルの向上を目指す

超高齢社会に突入した我が国において、靱帯損傷や変形性関節症など運動器疾患とそれに伴う生活・人生の質(QOL)の低下が大きな社会的問題になっています。また、スポーツの興隆により運動器傷害が多発しており、これも大きな問題になっています。運動器は、大きな「力」が作用する状態で身体の「円滑な動き」を実現する器官であるため、その疾患・傷害に対する治療等において、医学的な観点に加え、力学的・機械工学的なアプローチは必要不可欠です。そのため、臨床医学および分子生物学においてはもちろん、バイオメカニクスや再生医療などの医工連携研究領域の知見に基づき、新たな方法論を加えた治療レベルの向上が強く求められています。このような背景において、東京都立大学 医工連携研究センターでは、機械システム研究領域とヘルスプロモーションサイエンス領域の教員からなる研究チームを構成して、細胞機能・特性に着目したナノ・ミクロレベルの研究と、関節などの器官に着目したマクロレベルの研究の2つの最先端研究を展開しています。

ナノ・ミクロレベルの研究では、東京都高度研究などの研究支援を受けて、力学的環境と細胞機能と関係を明らかにする研究領域メカノバイオロジーの観点から、細胞の力学環境制御および幹細胞分化の基礎メカニズム解明などに取り組んでいます。また、その知見に基づいて、十分な機能と機械的強度を有した再生・修復が困難とされる軟骨−骨結合部などの複合生体組織を培養環境で生成する再生医療技術の確立にもチャレンジしています。
マクロレベル研究では、日本医療研究開発機構(AMED)などの研究支援を受けて、人工関節手術や関節再建術などの外科手術を患者ごとに最適化するための革新的医療技術の創成・開発にチャレンジしています。また、関節外科手術に直接関わる他大学の医師・研究者や医療器具開発企業の研究者との共同研究を本研究センターが主導し、臨床的に有用な医療技術開発を目指しています。

医工連携研究センターの組織構成
Profile

システムデザイン研究科 機械システム工学域
藤江裕道教授
東京工業大学総合理工学研究科システム科学修士課程修了・博士(工学)(京都大学)