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システムデザイン研究科の学生が、2026年度上期 未踏アドバンスト事業に採択されました!

2026年度上期、システムデザイン研究科の学生と卒業生からなるチームが、「未踏アドバンスト事業」に採択されました! 
未踏アドバンスト事業は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する人材育成プログラムです。ITを活用した革新的なアイデアや技術を、ビジネスや社会課題の解決につなげることを目的としています。年齢制限はなく、最大1,600万円の資金支援や専門家の助言を受けられます。 
今回採択されたチームの皆さんに、応募のきっかけやプロジェクトの概要、開発にかける思いについてお話を伺いました。どのような課題意識から着想を得たのか、そして採択後にどのような挑戦を見据えているのか、そのリアルな声をお届けします。

■プロジェクト概要

キーボードを代替可能なエージェンティック音声入力の開発
未踏アドバンスト事業:2026年度上期実施プロジェクト概要(菅野・堤・山口・安藤PJ) | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 

■プロジェクトメンバー

安藤 栄規/システムデザイン研究科情報科学域/博士前期課程1年 
堤 歩斗/システムデザイン研究科情報科学域/博士前期課程1年 
山口 拓生/システムデザイン研究科情報科学域/博士前期課程2年 
菅野 滉大/システムデザイン研究科 情報科学域/博士前期課程2025年度修了 

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①やってみたいから始まった未踏への挑戦 
未踏アドバンストに応募したきっかけを教えてください。

堤:もとをたどると、去年の夏頃からずっと音声入力について考えていたんです。タイピングより速くてメリットもあるのに、なぜ日本ではこんなに普及しないんだろう、と。最初は「人前で声を出すのが恥ずかしい」といった心理的なハードルが原因かと思っていたのですが、AIエージェントの時代になり、AIの前で音声入力をどんどん使う人が増えてきたのを見て「原因はそこではない」と思い直しました。「音声入力のインターフェースを革新できるのは今しかない」と確信したタイミングで、ちょうど手ごたえのあるアイデアが形になり、菅野さんたちに声をかけてチームを結成しました。 

菅野:そこに自分が乗った形です。技術シーズとしては、ユーザーが話し続けながらシステム側もリアルタイムに反応できる、フルデュプレックスな音声モデルがあり、これで新しい音声入力が作れるのではないかと考えました。ただ実装にはお金もかかる。どう進めるか考えたとき、未踏アドバンストなら資金を得ながら事業として取り組めると気づいて、条件的にもぴったりだと思いました。自分自身、研究室で培ってきた技術を何らかの形にしたいという気持ちや、昨年度の都立大のビジネスコンテストで感じた「またこういう挑戦をしたい」という思いも残っていて、それらが重なって飛びつきました。 

山口:自分も、堤さんに誘われたのがきっかけです。「今、熱い技術があるので音声入力に応用してみないか」と。お金をもらって取り組むプロジェクトには責任が伴うので、一人だったら絶対に応募しなかったと思います。それでも、これからチームで作業することが増えるなかで、あまり積極的になれなかった自分を変えたい気持ちもあり、思い切って加わりました。 

安藤:自分も堤さんに誘われたのがきっかけです。最近、パソコンにキーボードで自然言語を入力する機会がすごく増えて、文章を打つことに負担を感じていました。研究室で音声について研究していたこともあって、音声入力でこの課題を解決するアプローチには前向きに思えて「やろうかな」と。考えていく中で、「詠唱するみたいにパソコンを動かせたらいいよな」なんて冗談を言っていたのを覚えています。 

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未踏アドバンストに関心を持った背景は何ですか。 

堤:未踏自体が、この界隈だとすごく有名なんですよね。これまでハッカソンなどに参加してきましたが、そういったプログラムの中では未踏が一番大きくて、通ったときのインパクトも大きいものとしてみんなに知られています。学部1年の授業で「未踏ジュニアに出す想定でアイデアを考える」という課題があったのも、最初のきっかけでした。 

山口:自分はもともと未踏IT(未踏アドバンストと同じIPAが運営するプログラム)に出そうと考えていたのですが、締め切りの関係で、少し遅い未踏アドバンストに出すことになりました。SNSにいるいわゆる「強い人たち」はみんな未踏に通っているイメージがあって、そこも関心のきっかけでしたね。 

菅野:自分は少し角度が違って、未踏のブランドというより、研究で得た知見を活かして技術を社会実装まで持っていきたいと考えたときに、未踏アドバンストがそのための最高の環境だと感じたのが一番の背景です。資金を得ながら、事業化まで見据えて腰を据えて取り組めます。そこに強く惹かれました。 

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② これから取り組むプロジェクトの構想 
プロジェクトの概要を教えてください。 

菅野:目的は、AI時代における新しい音声入力手段を構築し、キーボードに依存しない入力体験を実現することです。生成AIの普及で、文章作成や検索、要約、コーディングなど、さまざまな作業をAIと協調しながら行うようになってきました。一方で、AIが高速に出力できるようになったことで、今度は人間が意図や修正内容を入力する速度こそが、AI活用のボトルネックになっています。 
そこで私たちは、音声だけで意図の入力と内容の修正をリアルタイムに行えるシステムを開発しています。核心は「話しながら直せる」という点です。ユーザーは入力したい内容と直したい内容を、途切れず話し続けるだけでよく、システム側が「本文として入力する言葉」なのか「修正の指示」なのか「AIへの依頼」なのかを自動的に判別して、作業中の内容へ即座に反映します。キーボードやマウスに一切戻ることなく、音声だけで完結させられるようにしたいと考えています。

山口:イメージしやすい例をお話しすると、音声入力で「この工程がちょっときついんですよ」と話したときに、スケジュール上の「工程」のつもりが「校庭」と誤変換されたとします。従来ならマウスとキーボードで手動修正が必要でしたが、私たちのシステムなら「あそこの工程はタイムラインの工程ですよ」と声で伝えるだけで直してくれます。その延長で、頭の中のことをわーっと喋った後に「構造化してまとめて」「ですます調に変えて」といった大雑把な指示も反映できるようになります。 

どのような課題を解決したいですか。 

菅野:一番の根っこにあるのは、キーボード入力という、150年近くほとんど形を変えていない入力方式そのものへの課題意識です。習熟が必要で、思考のスピードに追いつかないという構造的な限界があります。加えて、身体的な理由でキーボード操作が難しい方や、両手がふさがっている状況など、そもそも物理的に使えない場面も多くあります。生成AIとの協調が当たり前になるなかで、この「入力速度の限界」がより顕著な課題として表面化してきています。 

山口:そこに直結するのが、キーボードの習熟が要らなくなるという価値です。手をうまく動かせない人や、タイピングが遅くて頭の中の文章を打つのが苦痛な人は少なくありません。声だけで入力を完結できれば、練習しなくてもキーボードを使いこなす人と同じ効率を出せます。もう一つはAIをよく使うエンジニア。長い指示文を一気に投げたいとき、タイピングでは速度が追いつかないので、正確さを気にせず頭の中の内容をどんどん書き出せるように支援したいです。 

堤:少し視点を変えると、入力メソッドは非常に言語依存性が高いんです。日本語はローマ字から仮名漢字変換、スマホはフリック、と国や言語で最適な方法が違います。だからこそ、それぞれの国でローカライズされたプロダクトを作る価値が高いんです。海外では「Typeless」などの優れた音声プロダクトが出てきていますが、日本からも出していかないと国内の対応が遅れてしまう。国内に強力な競合があれば海外勢も日本語対応に本腰を入れるはずで、結果として日本語の音声入力体験全体を底上げできればと思っています。 

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③ 挑戦に向けた準備とスタンス 
チームの強みを教えてください。 

山口:一言で言えば「音声に特化した総合型チーム」です。全員が音声系の研究室に所属していて、音の扱い方や機械の音声認識といった基礎知識を高いレベルで共有しています。そのうえで、それぞれが尖った得意分野を持っていて、適材適所で総合的に何でもできます。 
堤さんは大規模言語モデルや機械学習全般に強く、技術的なリード役です。リーダーの菅野さんは一番長く音声に触れてきたメンバーで、データ整備から性能改善まで幅広く、ビジネスコンテストの受賞歴もあって営業戦略やスケジュール面でも頼りにしています。実装まわりは安藤さんが担ってくれているので、そこは本人から話してもらえればと思います。自分は学習用データの整備を担当し、大規模データを分析できるよう整え直したり、フェアに評価できるフレームワークを設計したりしてきました。 

安藤:自分の強みは、実装まわりです。インターンとして、実際多くの人に使われているプロジェクトの開発に長期間参加していた経験があり、アプリケーションの実装やデプロイ、運用していく環境づくりに知見があります。このスキルを活かして、プロジェクトの実現性の面から貢献できればと思っています。 

大学での学びで活きているものは何ですか。 

菅野:直接的には研究室で学んだ機械学習や音声の知見ですが、一歩引くと、それ以上に活きているのは、研究室に入ってから自分のわからないことそのものに好奇心を抱けるようになったことだと思います。学部までは何のためかわからないまま知識を受け取っていた部分が多かった。それが、自主的に研究を進めるうちに「そういうことだったのか」と、点でしかなかった知識が線としてつながる瞬間が何度もあって、純粋に面白かったんです。 

山口:自分も同じ感覚で、プロダクト自体が深層学習モデルなので研究室の進め方がそのまま活きています。サーベイで課題を見つけ、モデルを実装して学習・評価する、という流れですね。授業で学んだ知識も、学年が上がるにつれて「これはあの授業でやったことだ」と点と線でつながっていって、無駄だった授業はなかったと感じています。

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④ 今後に向けて 
今後大切にしたい姿勢は何ですか。 

菅野:面白そうなことが舞い込んできたときに、すぐ飛びつける状態をずっと維持していたいです。今回の挑戦もまさにそうで、内定はいただいていたものの、社会人になる前というタイミングだったからこそ思い切って飛び込めました。舞い込んできたチャンスには、常にトライし続ける姿勢を持ち続けたいです。 

山口:自分は逆に、思っていることを自分の中で抑え込んでしまう癖があって、そこを変えたいと思っています。「こうした方がいいのでは」と思っても流してしまい、後で問題になることがありました。同じチームなので遠慮は要りませんし、最低限の礼儀さえあれば取り繕う必要はありません。仲間にプラスになることは、遠慮せず発言・行動できるようになりたいです。 

安藤:自分は、興味のある分野に集中して打ち込めて、しかも予算がつくプロジェクトという形で信頼できるチームメンバーと進めていける状況にあって、すごく幸運だなと感じています。このチャンスを形あるものにできるよう、全力で取り組もうと思います。 

挑戦したい学生へのメッセージをお願いします。 

菅野:学生のうちは、国や東京都をはじめ様々な団体がチャンスを提供してくれますし、学生という立場自体が社会的に応援されやすい。つまり、挑戦へのハードルは学生時代が一番低いんです。ぜひ軽い気持ちで、どんどんトライしてみてください。 

堤:付け加えると、時間を浪費せず生産的なことを続けている人は、結局成果を出しています。自分が成長できること、今後に繋がる今できることに取り組んでいけば、これまでの経験がずっと繋がって、いずれ大きな挑戦ができます。成長になること、経験になることに時間を使うのをお勧めします。 

山口:やりましょう、というのが一番のメッセージです。出さなければ通りませんし、出して通らなくても振り出しに戻るだけで何のダメージもありません。分からないことがあれば私たちに聞いてもらえれば教えますので、海外旅行に行くくらいの軽いテンションで、とりあえず応募してみるのをおすすめします。

安藤:自分から一つ付け加えるなら、仲間の存在です。今回のメンバーは全員同じ研究室ですが、堤さん・山口さんとは同じサークルの仲間でもあります。自分が挑戦できたのは、正直なところチームメンバーに恵まれていた、この一点に尽きます。同じ分野を学び、同じ発想を共有できる同年代がこんなに身近にいる大学という環境は、本当に貴重です。まずは挑戦したい思いを共有できるコミュニティに属して、仲間を見つけることが第一歩かなと思います。 

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■関連リンク 

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