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人間健康科学研究科放射線科学域博士後期課程の学生が、The 4th International Conference on Radiological Physics and Technology Certificate of Merit Awardを受賞しました!

 2025年4月24日、人間健康科学研究科放射線科学域博士後期課程2年の西谷昌人さんが、The 4th International Conference on Radiological Physics and Technology Certificate of Merit Awardを受賞しました!

 International Conference on Radiological Physics and Technology(ICRPT)は日本放射線技術学会と日本医学物理学会が合同で開催する国際会議です.(The 4th ICRPT will be held in the JRC2025開催概要)。

■受賞内容

・The 4th International Conference on Radiological Physics and Technology Certificate of Merit Award

 従来の放射線治療では,治療計画の作成や治療回ごとの腫瘍位置の確認にコンピュータ断層撮影(CT)画像が用いられています.しかし,CT画像では人体内の軟部組織間の境界が不明瞭であることや,取得に際し放射線被ばくの問題がありました.これに対し,軟部組織コントラストに優れ被ばくの問題がない磁気共鳴(MR)画像を用い,治療回ごとの患者の体内状態に応じて当初の治療計画の即時修正が可能であるMR画像誘導即時適応放射線治療(MR-guided online adaptive radiotherapy)という技術が登場しました.
MR画像誘導即時適応放射線治療の治療計画作成にはMR画像を用います.ただし,MR画像は線量計算に必要な相対電子濃度情報をもたないためCT画像も併せて取得し,CT画像をMR画像に対して非剛体レジストレーション(Deformable image registration; DIR)させることでMR画像に相対電子濃度情報を付与します.また,MR画像上で作成された当初の治療計画は治療回ごとに取得される患者位置照合用のMR画像に対してDIRさせることで,腫瘍や正常組織の輪郭,ビームデータといった治療計画情報を伝搬(プロパゲーション)させることが可能です.これにより,治療回ごとに輪郭をはじめから再描出する手間が省かれ,迅速に線量再最適化の過程に移行できます.
 本研究では,画像の画素値に基づいて実行されるDIRの精度を検証するために,CT画像とMR画像の双方に互換性のあるファントム開発が必要でした.そのため,CT画像とMR画像において実際の患者の前立腺,骨および尿に近い画素値が得られる最適な素材とその配合を検討し明らかにしました.

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■受賞にあたってのコメント

  我々の研究が社会的に認められ,このような名誉ある賞を頂けたことを大変光栄に思います.張先生をはじめ研究室のみなさまからは,研究内容や結果に対する理論的かつ有益なご助言を多数いただけたことを心より感謝申し上げます.臨床現場での課題を研究により解明しそれを臨床現場に還元できるよう,本受賞を励みに引き続き精進する所存です.