東京都立大学オープンユニバーシティ春期講座について
本学オープンユニバーシティでは、春期講座の受講生を募集します。
高校生のための大学授業体験シリーズは、大学で教育・研究に携わる教員が、オンラインで講義します。オンライン講座ではいつでもどこでも学べるようzoomでのライブ配信とともに録画したものを見逃し配信として開講の翌営業日以降7日間実施します。
講座は、文系・理系問わずジャンルは多岐にわたりますので、興味・関心のある講座がありましたら是非お申込ください。
※ 春期講座の申込受付は、3月5日(水)から開始します。
【オンラインスペシャル】
東京都立大学 健康福祉学部 看護学科
「看護の力」を考える
▽4月24日(木)、5月1・8・15・22・29日(木)、6月5・12日(木) 18:30~20:00(全8回)
■担当教員 西村 ユミ 健康福祉学部看護学科 教授
看護とは何か? 公益社団法人日本看護協会は「看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、対象が本来もつ自然治癒力を発揮しやすい環境を整え、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通して、その人らしく生を全うすることができるよう身体的・精神的・社会的に支援することを目的としている。」と看護の目的を定義しています。どの時代、どの地域でも看護の必要性・重要性は言うまでもありません。
一方社会が急速な変化を遂げ、高齢化など保健、医療、福祉の面で日本も新たな局面に立たされています。また感染症や自然災害などによる予期せぬ事態に対しても、医療・看護体制の拡充が必須となっています。このような背景のもと、看護学教育は「社会からの要求や期待に応えられるサービスを提供できる看護職」の育成ができるかどうかを問われています。そこで東京都立大学 健康福祉学部 看護学科では医療機関を中心とした従来の看護に加え、在宅看護、地域看護、家族看護、それにターミナルケアなど、大都市東京の地域特性に対応した、それらの看護を実践できる能力の育成を目指しています。中でも、特に最近増え続ける在宅看護については、的確な判断力のもとに患者の身体の状態に応じた看護技術が求められます。さらに、看護を取り巻く新たな動きとして、より専門性の高い看護が必要とされています。
本講座では、本学看護学科の教員が最新の看護の実態や課題、グローバルな視点での看護のあり方、また哲学や人類学という多様な学問とのシナジーによる看護学の将来性などについて、多様な視点から考えます。
【オンラインスペシャル】
日本の魅力ある博物館・美術館シリーズ 中村キース・へリング美術館
キース・ヘリングの遺志を受け継ぐ美術館活動
▽4月22日(火)18:30~20:00(全1回)
■担当講師 田中 今子 中村キース・へリング美術館 学芸員
子どもから大人まで人気のキース・へリング。多摩での子どもたちとのアートイベントや広島訪問など日本とのつながりは深く、平和と自由をテーマに活動したへリングの足跡や作品について、詳しく解説します。
1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)。ヘリングは多彩な表現手法を用いて作品を制作しました。彼にとって「支持体」(作品を描いたり作ったりするための土台や基盤となる素材)は、紙やキャンバスにとどまらず、服や車、街そのものでもありました。また、作品を展示する「場所」も美術館やギャラリーだけではなく、学校や小児病院、公園など、作品のコンセプトに合う場所を選びました。ヘリングはアーティストや写真家、ダンサーとのコラボレーションはもちろんのこと、子どもたちとも作品を制作しました。日本では、1987年に文化複合施設「パルテノン多摩」の開館記念イベントのため東京都多摩市を訪れ、500人の子どもたちと共に壁画や立体作品を制作しました。こうした活動の根底には、「アートはすべての人のために」というヘリングの哲学がありました。1990年、ヘリングはエイズによる合併症のため、31歳という若さでこの世を去りましたが、彼の哲学は作品を通して時代を超え今もなお社会にインパクトを与え続けています。
世界で唯一のキース・ヘリング専門の美術館である中村キース・ヘリング美術館では、館長でありコレクターでもある中村和男が収集した作品を通して、ヘリングの幅広い活動を紹介しています。本講座では、アーティストの生涯を振り返りつつ、オンラインでの作品鑑賞を交えながら、ヘリングの哲学とそれを継承する美術館の取り組みについてご紹介します。
【高校生のための大学授業体験シリーズ】
がんを治す放射線治療:目に見えない光の力
▽5月19日(月)18:30~20:00 (全1回)
■担当教員 大平 新吾 健康福祉学部放射線学科 助教
●がんは身近な病気
みなさんは、日本人の 2人に1人が一生のうちに「がん」になると知っていますか?がんはテレビやドラマの中の話ではなく、誰にとっても身近な病気です。でも、早期に発見すれば多くのがんは治すことができます。現在、医療の進歩によってさまざまな治療法があり、自身が自分に合った方法を選ぶことができるようになっています。この講座では、がん治療の「3本柱」の1つである 放射線治療について、基礎から最新技術までをわかりやすく解説します。医療に興味がある方も、そうでない方も、将来に役立つ知識として気軽に聞いてみてください。
●放射線という「目に見えない光」でがんを治す
放射線は 目には見えない光のようなもので、体の中にまで届きます。そして細胞のDNAに傷をつける力を持っています。私たちは宇宙や地面からの放射線を日常的に受けていますが、細胞には傷を修復する力があります。この「見えない光」を使ってがんを治すのが放射線治療です。手術のように体を切る必要がないため、体に負担が少ない治療法として注目されています。放射線治療は、細胞の性質を理解するための「生物学」、放射線を正確にコントロールする「理工学」、患者さんの状態を把握して治療計画を立てて照射する「医学」が組み合わさっています。そのため、放射線治療は 科学技術の結晶ともいえる治療法なのです。
医療や科学に興味があるみなさんには、放射線治療のしくみや最新の技術を知ることは面白い学びになると思います。この機会に「放射線治療ってどんなものだろう?」という好奇心を持って、がん医療の世界を一緒にのぞいてみませんか?
【高校生のための大学授業体験シリーズ】
老化関連疾患に挑む ~治療機器の研究現場~
▽5月27日(火)18:30~20:00 (全1回)
■担当教員 八木 一平 システムデザイン学部電子情報システム工学科 助教
近年、医学と工学の進歩は目覚ましく、私たちの健康や生活の質を向上させる技術が次々と生み出されています。その中でも、老化に伴う疾患、例えばアルツハイマー病や心血管疾患、さらにはがんなどの加齢関連疾患は、私たちの健康寿命を延ばす上で大きな課題となっています。本講座では、これらの疾患に対する新しいアプローチとして、治療機器と先端技術の研究開発がどのように進められているのか、その最前線を皆さんにご紹介します。
特に注目するのは、「パルス電界」と「生体センシングデバイス」という二つの技術です。「パルス電界」は、短時間で高電圧をかけることにより、細胞膜に変化を起こし、治療効果を発揮する革新的な技術です。例えば、がん細胞を選択的に除去する研究や、がん細胞にダメージを与えつつ正常な細胞を保護する治療機器の開発が進められています。この技術の仕組みや応用例について、分かりやすく解説します。
一方、「生体センシングデバイス」は、体内の微小な変化やバイタルサインを高精度でモニタリングする技術です。これにより、疾患の早期発見や状態のリアルタイム追跡が可能となり、個別化医療(パーソナライズド・メディシン)を支える重要な基盤技術となっています。たとえば、老化関連疾患のリスクを可視化するためのウェアラブルデバイスや、細胞レベルの活動を計測できるナノスケールセンサーの研究が進んでいます。これらの技術は、予防医学の分野でも大きな役割を果たすことが期待されています。
講座では、これらの技術がどのように開発され、どのように医療の現場や社会で活用されるのか、研究の実例や課題、そして期待される未来像を紹介します。また、大学や研究機関での工学的アプローチが、医療とどのように結びついているのかを研究者の視点からお話しします。
科学技術の最前線に触れることで、皆さんが持つ工学や医学への興味をさらに広げる機会としていただければ幸いです。未来の技術者や研究者を目指す高校生の皆さんにとって、この講座が新たな目標を描くきっかけになればと願っています。
【高校生のための大学授業体験シリーズ】
プログラミングで作る遊びの種
制作を通じて学ぶインタラクティブコンテンツの仕組み
▽6月7日、14日(土)10:00~11:30
■担当教員 坂口 紗季 システムデザイン学部インダストリアルアート学科 助教
「インタラクション」とは「相互作用」と訳されるように、あるものに作用すると何らかの結果が返ってくる仕組みのことです。スイッチをONにすると照明がつく、センサーに手をかざすと消毒液が出てくる、ボタンを押すと画面が変わる、など、私たちの身の回りにはインタラクションが数多く存在しています。近年では、この仕組みがアートやエンタメに応用され、鑑賞者が作品に対して何らかの動作をすると作品自体に変化が起こるようなインタラクティブコンテンツが多く制作されています。こうしたコンテンツは私たちの潜在的な好奇心を掻き立て、楽しさを感じさせてくれたり新しいことに気づくきっかけを与えてくれたりします。本講座では、Processingという言語での基本的なプログラミングを使って簡単なインタラクティブコンテンツを制作しながらその仕組みを理解します。
6月7日(土):プログラミングで絵を描く
•基本的な図形を描く
•大量の図形を描く
6月14日(土):インタラクティブコンテンツを作る
•図形に動きをつける
•マウス操作に応じて図形を変化させる
※この講座は、各自でパソコンの操作を行いながら受講していただきます。そのため、スマートフォンではなくパソコンで受講することを参加条件とします。
※プログラミング経験は問いませんが、パソコンの基本操作(マウス操作とキーボード入力)ができることを前提に講座を実施します
【高校生のための大学授業体験シリーズ】
充実した留学生活を送るために
留学前の準備が有意義な留学生活を作るー準備は英語だけでよい?
▽6月14日(土)14:30〜17:30
■担当教員 岡村 郁子 国際センター 教授
大学に入学したら留学をしてみたいという方はたくさんいらっしゃると思います。では、充実した留学生活を送るためにはどのような準備が必要となるでしょうか。英語圏へ留学をする場合、英語力を高めてさえおけば留学の成功は約束されるのでしょうか。
留学するということは、単に別の言語で大学の講義を受けるというだけでなく、日本とは全く異なる文化や慣習をもつ地域で日常生活を送ることを意味します。また、様々なバックグラウンドをもつ人と交流することにもなります。そこでは、あなたは日本を代表する学生として周りから扱われることになるはずです。語学が大事なのはもちろんですが、意義のある留学生活を送るためには、留学先の文化だけでなく日本のことについてもよくよく知っておく必要があります。
東京都立大学では、留学に旅立つ学生が充実した留学生活を安全に送れるように、語学に限らない留学前の事前準備のサポートを徹底しています。事前準備が不十分だと、「留学先の環境に上手く適応できずに部屋に引きこもってしまった」「様々なバックグラウンドをもつ学生たちと何を話していいか分からず会話が弾まない」といった失敗を経験してしまうかもしれません。限られた時間や条件の中で留学を成功させるためには、「いかに不必要な失敗を防ぎ、意義ある経験や時間を留学先で過ごすか」ということが非常に重要です。有意義な留学経験と成果を収めるには総合的な留学前準備を適切に行うことが欠かせません。
本講座では、都立大からの留学を経験した学生と一緒に、都立大の留学制度や留学前準備講座を踏まえつつ、現在留学を考えている高校生のみなさんに以下の内容をお届けする予定です。
・留学することの意義
・都立大の留学制度の紹介
・留学のための準備part1~日本を基準に海外を眺めてみよう~
・留学のための準備part2~日本をどう発信するか考えてみよう~
本講座の受講後には、未知なる可能性への挑戦に向けて自分自身が大きな一歩を踏み出していることを実感し、よりよい留学生活を過ごすために必要なマインドセットの獲得した自分と出会えるはずです。未来の自分へのワクワクを一緒に体感しましょう。
他にも多数、高校生が無料で受講可能な講座がございます。あなたもぜひ大学の授業を体験してみてください!
高校生受講可能な春期講座一覧
(オンライン講座)
・身近な社会問題と刑事法入門
・非婚・離婚後の共同親権と憲法24条 憲法24条の成立から令和6年民法改正まで
・研究センターシリーズ 医工連携研究の最先端をやさしく解説する
(対面講座)
・マイクロバイオーム 微生物たちの共同作業
・東京タワー 〜都市景観における文化的象徴の形成と変容〜