都市環境科学研究科環境応用化学域の久保由治教授の論文がChemical Communications誌 (英国王立化学会) の発刊60周年記念コレクションにおいて最も引用された重要論文(日本・韓国)として選ばれました!
Chemical Communications誌は 英国王立化学会)が出版する主要学術誌の一つです。本年、発刊60周年を迎えた記念に、各地域から最も引用が高い重要論文のコレクションが作成され、当該論文が日本・韓国の地域から選出されました。
■受賞内容
ChemicalCommunications誌:ChemComm 60th Anniversary Historic Papers from Japan and South Korea
■論文詳細
“Boronic acid building blocks: tools for self-assembly”
Ryuhei Nishiyabu, Yuji Kubo*(東京都立大学)、Tony D. James*(バース大学、英国)John S. Fossey(バーミンガム大学、英国)
本論文は、分子を寄木細工のように組み立てて高次な組織体を作り上げる手法(超分子化学といわれています)に、ボロン酸分子適用の有用性を解説しました。ボロン酸はジオール類と可逆的な共有結合を形成する性質(動的共有結合)を持ちます。それは鋳型や外部刺激によりその平衡系のコントロールを可能にし、目標の分子会合系へ導きます。しかもその結合形成が溶液のpHやアニオンによる構成ホウ素への供与結合形成によって調節できるので、化学刺激応答型分子会合体形成のツールに適用されます。機能性超分子創製への設計指針を提供した点で関連分野にインパクトを与えました
■受賞にあたってのコメント
ホウ素は,ユビキタスエレメントとして我々の生活に馴染み深いものです。半導体素子やガラス材料など(漂白剤,繊維素材)に利用されています。生物では,植物の必須元素の一つです。そのホウ素に水酸基とフェニル基もしくはアルキル基を結合させたボロン酸が分子の組織化に有効であることをまとめた論文です。今もその有意性は健在であるばかりでなく、室温燐光特性の発現など、光機能化学においても存在感が増しています。とても興味深い物質です。
■関連リンク
英国国立化学会(The Royal Society of Chemistry)