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人文社会学部の犬飼彩乃助教が、第19回日本オーストリア文学会賞(論文部門)を受賞しました!

2023年6月4日、人文社会学部 人文学科 ドイツ語圏文化論教室の犬飼彩乃助教が、日本オーストリア文学会の「第19回日本オーストリア文学会賞(論文部門)」を受賞しました!

 

■受賞内容

・受賞対象論文
「クレメンス・J・ゼッツ『ケーフェイと文学』からみるポスト真実時代の第四の壁」(日本独文学会『ドイツ文学』164号)

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賞状

 受賞の対象となった論文は、クレメンス・J・ゼッツのスピーチ『ケーフェイと文学』(2019年)を論じたものです。フェイクニュースが跋扈する「ポスト真実」の時代では、事実と事実でないものを見分けることがますます困難になってきています。この社会現象の思想的な背景として、しばしばポストモダニズムが挙げられますが、ポストモダン文学から影響を受けている作家たちはこれにどう反応しているでしょうか。ドイツ語圏からの一例として、本論文では当該スピーチを考察対象としました。プロレスの「ケーフェイ」や演劇の「第四の壁」などの概念を使った縦横無尽な論の展開には、虚実の混淆を創作の源とする「虚構の専門家」である作家ならではの視点が観察できます。

 なお、作家クレメンス・J・ゼッツに関する犬飼助教の研究としては、2018年の「かけはし文学賞」(小説『インディゴ』2021年・国書刊行会)に続き、二度目の受賞になりました。

 

■受賞にあたってのコメント
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授賞式の様子

 この度は、大変栄誉ある賞をいただき、身の引き締まる思いです。オーストリアの現代文学でも異色の存在として知られる作家クレメンス・J・ゼッツ(1982- )は、現代社会の諸現象をドイツ語圏文学の伝統に結びつけた創作が評価されています。複雑化する社会にどのように文学が向き合うことができるのかを探究する本作家の主張には、文学研究者に限らず一考の価値があると考え、今回の論文にしました。研究には、ドイツ語圏文学研究者の皆さま、国内外の研究機関、文化機関の皆さまに数々のご支援を賜りました。あらためてこの場をお借りし、深く感謝申し上げます。

 

 

 

 

■関連リンク

日本オーストリア文学会HP
第19回日本オーストリア文学会賞(論文部門)について