この度、大学教育センターの浅利みなと特任助教の研究課題「コミュニケーションにおける情報遮断的振る舞いの研究 ― 自然主義的観点から ―」が、サントリー文化財団の2022年度「若手研究者のためのチャレンジ研究助成」に採択されました。
※採択決定時は、人文科学研究科 文化基礎論専攻 哲学(哲学・西洋古典学)教室・博士後期課程所属
本助成は、人文学、社会科学の分野において、学問的に新しい視点を持ち、社会的にも広がりのある研究を志す、意欲的な若手研究者のサポートを目的としています(サントリー文化財団HP抜粋)。
■研究の概要
従来のコミュニケーションの研究では、それが動物によるものであれ人間によるものであれ、基本的に情報の「伝達」にもっぱら焦点が当たってきました。しかし、研究課題のタイトルにあるとおり、私は情報の「伝達」ではなく「遮断」に着目しています。そして、ここでいう「自然主義」というのは、人間と動物のコミュニケーションを連続的にとらえようとする立場で、私も複雑な人間のコミュニケーションをいきなり相手にするのは大変なので、より単純と思われる動物の振る舞いやコミュニケーションの分析から研究を立ち上げています。動物の情報遮断的振る舞いとして興味深いのがカモフラージュです。タコやイカ、カメレオンといった動物は、その類まれなるカモフラージュの能力で知られていますが、これは獲物や捕食者に対して自らの存在情報を遮断するための振る舞いとして捉え直すことができます。こうした動物のカモフラージュの分析を土台にして、人間のコミュニケーションにおける情報を隠すような発話や振る舞いを分析するための有益な概念を抽出することが目標です。
■採択にあたってのコメント
たくさんの応募があった中で採択いただいたことを大変光栄に思います。2012年に入学して以来、指導教員の松阪陽一先生をはじめとして数多くの先生方に支えていただいたおかげだと思います。今回の採択を励みにより一層研究を発展させて、哲学ならではの観点から誰にでもワクワクしてもらえる成果を発信していきたいです。
■関連リンク
・サントリー文化財団HP
・2022年度「若手研究者のためのチャレンジ研究助成」採択発表