理学研究科生命科学専攻の高鳥直士准教授と立木祐弥助教の共同研究「細胞周期のズレによる細胞変形を介した中胚葉・内胚葉運命の分離」が、日本遺伝学会第93回大会においてBest Papers(BP)賞を受賞しました。
研究内容は、学会機関紙『Genes & Genetic Systems (GGS)』の付録誌である『 遺伝学のパラダイムシフトを目指して 』に掲載されます。
日本遺伝学会第93回大会 Best Papers (BP)賞 受賞者
研究概要
動物の体を構成する様々な細胞は、胚発生の初期に作られる外胚葉、中胚葉、内胚葉の三つの胚葉から作られます。しかし、中胚葉と内胚葉を作り出す機構の細胞レベルでの詳細は、多くの動物でわかっていません。
本学理学研究科生命科学専攻の高鳥准教授及び立木助教は、脊索動物のホヤを材料に、中胚葉細胞と内胚葉細胞の母細胞である中内胚葉細胞と隣接細胞との二つの細胞の関係に注目して、中胚葉と内胚葉がどのような過程を経て作られるのかを調べました。中内胚葉細胞と隣接細胞の細胞表層の張力が互いに異なる結果、中内胚葉細胞が細胞分裂直前に変形し、細胞分裂溝の位置が変化することが重要であることがわかってきました。また、表層張力の違いは二つの細胞の細胞周期の長さの違いに起因していました。
細胞の形と分裂装置の向き、分裂溝の位置を定量的に評価し、分裂溝の位置を決める機構を統計モデリングにより推定した結果と合わせて本学会にて報告しました。
日本遺伝学会 Best Papers(BP)賞とは
BP賞は、2001年開催の第73回日本遺伝学会大会(東京)から21世紀最初の大会を記念して始まり、大会における優れた講演に贈られています。優れた研究を褒賞することで意欲あふれる研究を奨励し、遺伝学会の明日を築く人々を鼓舞し、遺伝学の発展に資することを願って設けられた賞です。