Profile

都市環境学部都市基盤環境学科 2022年度卒業
同大学院 都市環境科学研究科都市基盤環境学域 2024年度修了
日本工営株式会社 流域水管理事業本部水資源エネルギー部
都市環境学部 都市基盤環境学科 卒業生。自然や土木関係への興味をもとに、高校の先輩が都立大に進学したことをきっかけに、環境の良さに惹かれ、都立大の都市環境学部に進学。環境水理学を専門に、横山勝英研究室で福岡県柳川市を対象に河口域の水温や、塩分濃度の時間的変化などの調査・研究を行う。フィリピン大学への留学も経験。就職活動では、父親の仕事から影響を受け、建設・開発コンサルティング業界を志望、日本工営株式会社に2025年4月に入社。現在は東南アジア諸国を中心としたダム建設、治水、水利用などに関するプロジェクトに参画している。
自然や構造物への興味から都立大へ。河口域の研究で地域に貢献
──子どものころはどのようなことに興味を持っていましたか?
自然が好きな子どもでした。小学生のころには、授業で環境問題について学ぶ機会が多かったこともあり、環境保全にも興味を持っていました。また、父が建設・開発コンサルタントの仕事をしていたことから、河川域の堤防などを見かけると、「なぜそのような形や仕組みにしているのか」といった設計の意図を教えてもらうことも多く、「人と自然が共生するための構造物」にも自然と興味が湧くようになっていました。
──都立大を志した理由を教えてください。
都立大は第一志望の大学でした。目指した理由は2つあります。1つ目が、自然や構造物など、私が興味のあることを存分に学べる土木系の学部があったこと。都内で、土木分野について学べる大学は複数ありますが、教員一人当たりの学生数が少ない都立大でなら、特に学びたいことをしっかりと学べるのではないかと感じました。
2つ目が、通っていた高校で都立大に進学した先輩が多く、公立大学の魅力を身近に感じていたからです。都立大には全国各地から優秀な学生が集まっています。また、おおらかで人当たりの良い学生が多く、ここでなら楽しい学生生活を送ることができそうだと感じたのも、都立大を目指した決め手の一つでした。
—―大学と大学院では、どのような日々を過ごしましたか?
大学生活は、2年次からコロナ禍が発生したため、授業はオンライン授業が多くなりました。外出もできず孤立しやすい状況の中、ある授業で出された課題が、橋梁の設計を行う(実際に計算を行い、設計図を描く)という、一人ではとても難易度の高いものでした。そのため、Zoomをつなぎ、学科の友人と協力して課題をこなしました。友人のおかげで、オンラインでお互いに教え合い、励まし合いながら課題を進めていくことができ、モチベーションを途切れさせることなく授業と向き合うことができたことが、思い出深いです。
学部4年次から大学院修了までの3年間は、環境水理学を専門とする横山勝英先生の研究室で調査・研究活動に励みました。私の研究テーマは、福岡県柳川市にある川の河口域で、水温や海水量がどのように変化し、水中の塩分濃度がどう変わっていくかを調べながら、ウナギの稚魚が川を登りやすい条件を明らかにすることに取り組みました。柳川市では、かねてからウナギ漁が盛んですが、近年は農業用水の確保の関係で、海から入ってくる水を遮断するような措置がとられており、海から遡上してくるウナギの稚魚数が減ってしまっている状態でした。柳川市の特産品の一つを維持するため、海からの塩分が川に流れ込むのを抑えつつ、ウナギの稚魚が川を登れる条件を探るのが、私の研究に課せられたミッションでした。
結果として、農業用水に塩分が入りにくく、ウナギの稚魚も遡上しやすい水流が生まれる時間帯を発見。農業やウナギ漁において、川の水の使い方、使う時間を見直し、どちらの産業にもメリットのある仕組みの整備につなげることができました。自分の研究が地域の役に立った実感があり、この研究に取り組んできて本当に良かったです。
海外で社会を動かすプロジェクトに携わる未来を目指して
──現在はどのような仕事をしているのですか?
大学院を修了後、2025年4月より日本工営株式会社で働いています。日本工営は、河川や水資源、上下水道、農村開発、ダム・発電、交通インフラ、都市環境など多岐にわたる領域で建設・開発コンサルティングを行う企業です。私は現在、河川・水資源を手がける部門に所属し、発展途上国のダム建設や治水、合理的な水利用の計画を支援する仕事に従事しています。とはいえ、私のキャリアはまだ始まったばかり。フィリピンやベトナム、インドネシアなどで行われているプロジェクトの歴史を勉強しながら、売上や予算の管理、工期の遅れなどが発生した際の調整対応など、具体的なプロジェクト管理の方法を学んでいるところです。
8月中旬には、OJTでインドネシアに2ヶ月ほど滞在します。水力発電所の建設現場で、先輩方の仕事をサポートしながら多くのことを学びつつ、一人前の技術者を目指していきたいです。
──都立大での学びは現在の仕事に活かされていますか?
土木関係の知識はもちろん、研究室で先生から度々指導していただいた、論理的な思考力や資料のまとめ方など、とても仕事で役立っているように思います。また、大学院時代に都市環境学部が提供するフィリピン大学への短期留学プログラムに参加しました。留学時はあまり英語が得意ではありませんでしたが、授業や、現地での暮らしを経験する中で、「何事もやればなんとかなる」というマインドを獲得できました。
海外では、やはりトラブルも発生するかもしれませんが、万全な準備をした上で、現地で柔軟に対応できればと考えています。こうした経験や、マインドセットはこれから赴く海外出張に大いに活かせると思います。
―—どのような軸で就職活動を行い、現在の仕事に就いたのですか。
開発コンサルタントを目指したのは、父の影響が大きいです。父は同じ業界で、鉄道関係を中心に他国の社会・街の基盤を整備する仕事に携わっていました。そのため、子どもの頃はよく、海外出張の多かった父から現地で手がけた仕事についての話を聞いていました。東南アジアや南アジアで、文化や環境の異なる人々と向き合い、数々の課題を乗り越えて進められたプロジェクトの話は非常にスケールが大きく、子どもながらに「どんな世界なのだろう」と好奇心が搔き立てられたのをよく覚えています。
いきいきと仕事の話をする父の姿に憧れたことから、背中を追い、就職活動では建設・開発コンサルタントの業界を中心に選考に応募。海外事業で国内トップクラスの実績がある日本工営への入社を決めました。
──仕事の目標を教えてください。
まずは目の前の仕事に力を尽くし、しっかりと実力をつけた上で、将来的には海外で国の発展や地域づくりに大きく関わるような、公共性の高いプロジェクトに携わりたいです。現地の関係機関と交渉を行いながら、その国のさらなる発展に貢献できるような仕事ができたらと夢を描いています。
──最後に、西野さんにとって都立大とは?
やる気があれば、どんなことにも挑戦できる環境がある大学だと思います。少人数制の学部学科が多く、研究室に配属される学生数も少ないため、学生と先生との距離が近く、先生方が私たちに割いてくださる時間は他の大学より多いと感じます。先ほどお話したフィリピン大学への留学も、先生方が後押しをしてくださって実現しました。学びたいこと、やりたいことがある方にはうってつけの環境が都立大にはあると思います。
- 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2025年)のものです。




