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東京都立大学は、大人への土台を育む場

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都市教養学部 都市教養学科 理工学系 機械工学コース 2015年度卒業 
理工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程 2017年度修了

都市教養学部 都市教養学科 理工学系 機械工学コースを2015年度卒業。その後、理工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程を2017年度修了。小学生の頃からクラシックバレエに取り組む。コンクールでの受賞経験もあり本格的な活動を続ける中、将来を考え機械工学の道を志す。現在は自動車安全システムのサプライヤー・オートリブ株式会社でエンジニアとして活躍。

自ら課題を見つけ、新たな価値を創出する大切さを学ぶ

――大学入学前はどのようなことに興味を持っていましたか?

姉の影響で、9歳からクラシックバレエに打ち込んできました。プロツアーに参加したり、病院や老人ホームで慈善公演を行ったり、コンクールに出場したりと、本格的に取り組んできました。

クラシックバレエを極め仕事にしたいという思いがある一方で、日本のものづくりにも興味を引かれていました。理数はそれほど得意ではありませんでしたが、高校生の頃、機械工学専攻だと、材料力学、熱力学、流体力学、機械工学など、ものづくりの基礎となる学問を幅広く学べると知り、その方面に進む可能性について考えるようになりました。

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――東京都立大学を志した理由とは?

ものづくりに関わる分野を広く学ぶことで、将来の様々な可能性の土台をつくることができる環境を求めていました。

当時、自分でいろいろな大学をリサーチする中で、都立大の教員が発表した論文をほかの研究者が引用した回数が、世界的に見て非常に多いことを知りました。このことは都立大の研究や設備が充実していることの表れだと思い、その環境で学びたいと考えました。

――実際に入学してどのような感想を持ちましたか?

機械工学の実習では、工作設備が非常に充実していて、最先端の研究に触れながら専門を深め技術を身に付ける機会に恵まれました。1年次は機械工学の基礎に加えて一般教養を幅広く学び、2年次からは専門性の高い授業にシフトしていきます。教授陣に加えて、イグノーベル賞の受賞者や現場の第一線で活躍する方を外部から招いた講義もあり、大変刺激になりました。

――大学ではどのような日々を過ごしましたか?

南大沢キャンパス内で過ごすことが多かったのですが、自然と街が融合した環境で、利便性がありながらも、開放的な空間であったためとても過ごしやすかったです。入部したフットサルのサークルでも、広いキャンパス内にあるコートで活動しました。

また、文系の学生や海外からの留学生など、いろいろな学生と出会い交流することができました。こうした学業以外の活動のほか、機械工学専攻でありながら、政治や経済などの授業も履修し、柔軟に多様な学びの中に身を置くことができました。

――大学生活で思い出に残ることは?

実習では様々な機械を製作しましたが、印象に残っているのは車イスの設計をしたことです。一般的な車イスに、「段差を上ることができる」「立ち上がりやすい」などの付加価値を加えたソリューションを皆で考えました。

その実習での先生の言葉が今も強く心にあります。「現状にどういった課題があるのかを見抜いて、すでにあるものではなく、自分なりに新しい価値をつくり出すことが重要」と。課題を見つけ、自律的に動き、アイデアを形にしていくことの大切さと面白さを感じました。今もこの言葉を心に留めて、仕事に取り組んでいます。

人々の安全を守る、グローバルなエンジニアを目指して

――大学院ではどのようなことを学びましたか?

人間をモデリングすることにより歩行を検証し、脊髄損傷などで体が不自由になった方の歩行を再現する研究をしました。どのような治療が効果的かなどを評価し、リハビリテーションや理学療法の観点で、障害の重さや治療の効果を定量的に評価することに対し、有効な研究になったと自負しています。

――現在はどのような仕事をしていますか?

大学院での学びを通して、人体やその動きに対する興味が深まりました。その知見を活かし、グローバルに活躍できるエンジニアになりたいと考え、自動車安全システムのリーディングサプライヤーであるオートリブ株式会社に入社しました。

現在は自動車メーカーと組み、人の安全に直結する「シートベルト」の設計を手がけています。普段何気なく使うものですが、200以上もの部品から成り立っていて、大切な命を守るのに欠かせない奥の深いものです。

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――仕事のやりがいとは?

「より多くの命を守る」という、会社の壮大なビジョンに共感しています。学生時代に教えられた「課題を自ら見つけて自律的に動き、付加価値をつくり出す」ということが、今の仕事においてもとても大切です。

また、会社には「It starts with me」という、自ら動くことを大事にするモットーがあります。これを日々肝に銘じ、様々なプロジェクトに参画しています。仕事というものはすぐに答えが出るものではありませんが、自ら動いてつくったものが、誰かの安全を守ることは大きな喜びですね。

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――最後に、的場さんにとって東京都立大学とは?

大人になる土台を育んでくれた場所です。

「問題を見つけて自分で動く」ことに加え、「多様性を重んじる」ことも都立大で身に付けました。これらはグローバル企業で働く今、非常に活かされていると実感します。

最近は会社の採用担当として、母校である都立大とコンタクトを取る機会が増えました。外部から見ても、都立大は先進的な取り組みに積極的な大学で、自ら考えて行動できる学生が多いと感じています。一人ひとりの学生が未来への土台をつくるにあたり、とても良い環境だと改めて思いますね。

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  • 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2021年)のものです。