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3回のイギリス留学、プラスチック研究。自由な環境をフル活用した学生時代

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都市教養学部 都市教養学科 理工学系 化学コース (現 理学部 化学科) 2017年度卒業
理工学研究科 分子物質化学専攻 (現 理学研究科 化学専攻) 博士前期課程 2019年度修了
サントリーホールディングス株式会社 サステナブルPET実行プロジェクトチーム

都市教養学部 都市教養学科 理工学系 化学コース(現 理学部 化学科)卒業、理工学研究科 分子物質化学専攻 (現 理学研究科 化学専攻)博士前期課程修了。高校時代に化学が得意だったことから、東京都立大学で化学を専攻。大学では海外インターンや留学も経験し、技術とビジネスの両面に携わることができるグローバル企業への就職を目指すようになる。化学の研究を深めたいと東京都立大学大学院に進学。プラスチックを合成する触媒について研究し、新卒でサントリーホールディングス株式会社に入社。ペットボトルのリサイクルに関する仕事に携わり、現在はプラスチックのケミカルリサイクルに関する技術開発と使用済みプラスチックのサプライチェーン構築を担当。

都立大の環境を最大限に活かし、理学と文学の両方を学んだ

――子どものころはどのようなことに興味を持っていましたか?

バスケットボールが大好きな少年でした。小学校でバスケチームに参加してから大学まで、部活やサークルでプレーしていました。子どもの頃にはBリーグの観戦にも行ったことがあります。選手と手をつなぎアリーナに入場したことは、今でも良い思い出です。

――東京都立大学を志した理由について、教えてください。

都立大を志望した理由は2つあります。

1つ目は、豊富な留学先があることです。私は高校の時から、いつか留学をしたいと考えていました。都立大には短期研修をはじめ交換留学や派遣留学、海外でのインターンシップなど、幅広い留学先とプログラムが用意されています。やりたいことを実現できる、魅力的な環境だと感じました。

2つ目は、広い視野を養うことができる大学だと考えたからです。私は理学部を志望しましたが、文系科目にも興味があったため、文系の授業を受けたり、文系の学生とも交流したりしたいと考えていました。総合大学である都立大なら、理系も文系も垣根を超えて交流し、学びを深めることができると思いました。

また、東京都民であれば入学金が少し抑えられる点も、入学の後押しになりました。

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――理学部を選んだのはなぜですか?

私はもともと、化学が得意でした。基礎理論からしっかりと学び、得意分野の化学で社会に役に立つ人になりたいと考え、理学部を目指しました。当初は分子応用化学の分野での進学を検討していましたが、理念体系から学ぶことができる理学部に大きな魅力を感じ、志しました。

――大学ではどのような日々を過ごしましたか?

都立大には学生が自由かつ主体的に活動できる環境があり、そうした環境を最大限活用した大学生活でした。授業は、受験時の希望どおり理系の科目だけでなく、一般教養や言語学など興味のある科目を受けることができましたし、留学もイギリスに3回も行くことができました。3回のうち2回は母校の高校が主催するプログラムに参加しましたが、残りの1回は大学4年次に研究室からの派遣(学部の海外短期派遣プログラム)で、私の研究テーマに合った大学に留学することができました。成果にこだわることや語学力の必要性を実感できた貴重な機会でしたね。

研究にも「やり切った」と思えるほど打ち込むことができました。私はプラスチックを合成する触媒の研究を行っていたのですが、成果の出づらい分野だったため、本当に地道に泥臭く、成果に結びつく方法を模索しながら研究を重ねてきました。この時の研究経験や知識は、今の仕事に役立っていると感じます。

また、サークルなどでできた友人もかけがえのない存在です。南大沢キャンパスの国際交流会館前の芝生は、友人たちと過ごすお気に入りのスポットでした。法学部出身の友人に法律について教えてもらうなど、今でもお互いの得意分野で助け合うことがあります。大学時代の友人とは出会えて本当に良かったですし、今後も長く付き合っていきたいです。

――大学生活で思い出に残っていることは何ですか?

既に退官されていますが、理学の楽しさを教えてくださった海老原充先生の授業が心に残っています。大学院の授業だったのですが、海老原先生は教科書以上のことをお話してくださる方でした。例えば、元素の成り立ちから始まり、太陽系のつくられ方なども詳しく教えてくださって。その仕組みを人間が応用したことで、原子力発電などの技術が生まれたことを知った時、身近にある「当たり前の物事」を化学的に基礎から理解することの大切さを実感しました。研究の裏側なども教えてくださり、聞いているだけで好奇心が満たされるような、純粋に面白い授業でした。

化学の知識と研究経験を活かし、新技術の開発プロジェクトに携わる

――現在はどのようなお仕事をされているのですか?

サントリーホールディングス株式会社にて、大学で学んだ知識や研究経験をもとに、プラスチックのリサイクルに関する仕事に携わっています。私の担当は「プラスチックのケミカルリサイクルに関する技術開発」と「使用済みプラスチックのサプライチェーンづくり」です。

生活の中で発生する使用済みプラスチックを、どうやって「原料」として私たちのもとに集めるかを考えています。また、それらをペットボトルだけでなく、ポリエチレンやポリプロピレンなどの様々な素材へと変える、世界でも初の技術を生み出そうと日々奔走しています。社会的インパクトが大きい仕事のため、責任も強く感じますし、その分やりがいも大きいです。

特に技術開発はアメリカの共同開発先や関連企業など、複数の関係者が存在します。社内のプロジェクトメンバーには化学を専門的に勉強した人が私しかいませんから、私が社内と関係者の橋渡し役になって、プロジェクト運営に携わっています。若手のうちから貴重な経験を積ませてもらっていると感じますね。

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――どのような軸で就職活動をしていましたか?

大学で学んだ化学の知識と研究経験を活かしながら、グローバルなビジネス展開に関与できる仕事を探していました。

海外志向が芽生えたのは大学2年次のことでした。大手アパレル会社の海外インターンに参加し、そのスケールの大きさに感動。海外での仕事に憧れるようになりました。その想いはイギリス留学を経てさらに強まり、就職活動を始めたころは総合商社を目指していました。

しかし、会社説明会でたまたま話を聞いたサントリーが、まさしく理想の就職先に合致していたんです。ここでなら自分のやりたい仕事ができるかもしれないと採用選考にエントリーしました。無事にご縁をいただいて、今の私があります。

――最後に、伊澤さんにとっての「東京都立大学とは」をお聞かせください。

都立大は「チャンスをくれた場所」です。先ほどお話した「自由」という言葉につながるのですが、勉強も研究も留学も、自分の努力次第でやりたいことを実現できる環境が都立大には揃っています。のんびりと学生生活を過ごしていたら、今の私はいなかったでしょう。後輩の皆さんにはぜひ、大学のフィールドを活用しつくしてほしいです。

私も今後、大学で経験したことや学んだことをさらに活かしながら、後輩に見本となる背中を見せることができる社会人になれるよう、仕事に邁進していきたいと思います。

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  • 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2022年)のものです。