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法学部 法学科 法律学コース 2021年度卒業
東京都庁 総務局 行政部 市町村課
法学部 法学科 法律学コース 卒業生。国公立大学で法学部があること、自然豊かなキャンパスに魅力を感じ、都立大に進学。在学中は、志望した法律学を専攻しながらも副専攻として人間健康科学で、食品の適正表示に関する学びも深めた。また、体育会バレーボール部に所属し、部の躍進に貢献するなど、学業と課外活動を両立させた大学生活を送る。就職活動では多様な選択肢の中から東京都職員を選び、2021年4月に入庁。現在は総務局行政部市町村課に所属し、多摩・島しょ地域の市町村における行財政運営に関することを担当。都内の各市町村への支援等を通じてその地域がより一層発展していけるよう日々奮闘している。
自分らしく過ごした充実の4年間
――子どものころはどのようなことに興味を持っていましたか?
真面目で正義感が強く、みんなのためにという意識もあったので、中学生のころは生徒会に所属していました。全校生徒を代表した行動や情報発信を行う中で、みんなが守るルールがあるからこそ、組織や社会が成り立つことを実感。どうすれば自分たちの考えたことが多くの人に正しく伝わるのか。ルールがどうして必要で、それが何を実現させようとしているのかについて、認識を共有してもらうために、何度も考えた中学時代でした。
また、好奇心が旺盛で、幼少期は本当に様々なことを経験しました。水泳、バレーボール、ダンスなど、少しでも「やってみたい」と感じるものがあれば、まずは何にでも果敢に挑戦してみる子どもでしたね。
――都立大を志した理由を教えてください。
都立大に興味を持ち始めたのは、高校1年生のころからです。もともと国公立大学への進学を考えていたので、高校1年生の夏休みに、都立大のオープンキャンパスに参加しました。そのときに、自然豊かな広いキャンパスと高校生のときには触れることのない法学教育、さらに副専攻を選択できるカリキュラムに大きな魅力を感じました。ここでなら、自分らしく面白い学生生活を送れるのではないかと考え、都立大を第1志望に決めました。
法学部を選んだのは、先ほどもお話した中学時代の生徒会の経験が大きく影響しています。大学では世の中のルールについて考えたい、さらには自分の考えたことを多くの人にきちんと伝える術を身に付けたいと思っていたんです。そのため、法律を基礎から体系立てて学ぶことができ、複数の演習科目を履修できるなど、コミュニケーション能力を強化するカリキュラムが組まれていた法学部 法学科 法律学コースを志望しました。
――大学では、どのような日々を過ごしましたか?
自分のやりたいことに忠実に、勉強も部活動も様々なことにチャレンジした4年間でした。
実は学部の勉強では、これまで経験したことのなかった、順序立てて物事を考えていく作業に戸惑い、授業についていくのに苦労した時期がありました。試験の出題も、大問1題を論述解答しなくてはならないので、何をどこからどこまで書いたらよいのか、見当もつきませんでした。授業を、知識を得るための場と考えていたことが誤りだと気づいたのは、考えるために必要な問題関心がなくては、授業を聴いていても楽しくないと感じたことからでした。何が問題になっているのかに注意が向くようになると、知識は理解するための材料でしかなく、講義を聴いているときも試験の解答でも、自ら立てた問いについてどのように理解し、そして考えたのか、それらを他者に伝わるような文章で再現することが重要だと思うようになりました。
こうした躓きをクリアするために受講生同士で論述答案の練習をしたり、またオフィスアワーを活用して個別に指導を仰いだりすることができるのは、1人の先生に対して学生の人数が少ない、少人数制の都立大ならではだと思います。とにかく、文章を書かなくてはならない機会が多かったです。
はじめは戸惑いましたが、徐々に法学部の学びにどっぷりと浸かることができるようになりました。また、副専攻として人間健康科学を選択し、もともと興味のあった食品の適正表示についても学びました。機能性表示食品の誇大広告について調べるのに、法律学からの視点が活かされました。さらに、その経緯や誇大広告を行った企業がどのような行政処分を受けたのかをまとめ、成果として発表。卒業時には、人間健康科学も無事に副専攻コースを修了することができました。
また、課外活動では、体育会のバレーボール部に所属していました。入部当初は最下位リーグでしたが、上位リーグ昇格を目指し、チーム全員で楽しみながら、時にはしっかりと練習をして、2つ上のリーグまで引き上げることができました。みんなで目標を達成できたことが良かったです。今でも仲良く集まることがあるんですよ。勉強も課外活動も全力で取り組んだ4年間。非常に忙しい毎日でしたが、今振り返ると、とても楽しい学生生活だったと思います。
ある体験が、将来を考えるキッカケに
――現在はどのような仕事をしているのですか?
2021年4月から、東京都の職員として仕事をしています。入庁直後は、伊豆大島にある大島支庁に配属され、土木課で都道および砂防施設の事業用地を取得する仕事を担当していました。
その後、2023年4月に異動を経験。現在は総務局の行政部市町村課にて、多摩・島しょ地域の市町村における行財政運営に関することを担当しています。特に私は勤務条件や行政改革の分野を担当し、各種調査などを通じて、都内の各市町村職員がどのような勤務条件で働いているのか、行政改革はどのように行われているのか等について実態を把握。市町村がより良い形で運営できるよう、各市町村の実情を踏まえた助言および支援などを行っています。
――大学生活での経験で、現在の仕事に活かされていることはありますか?
在学中は、学部の専門科目だけでなく副専攻も履修するなど、幅広い学びから自分の可能性が広がりました。その中でいろいろと考えた結果、最終的には東京都職員を選びました。そのキッカケになったと考えているのが、受講生として、その後アシスタントとして参加した教養科目「自然と社会と文化」です。この科目は東京都の島々を学外キャンパスに見立て、宿泊して行う集中講義として実施されるものです。学部も学年も問わず履修することができるので、さまざまな専攻の学生と関わることができます。さらに、私の所属していた学部を含む他の分野の複数の教員が同行するので、いろいろな先生と近い距離で、多様な分野の学びに触れられるところに興味もありました。私は1年次の後期に履修したあと、4年次になるまでアシスタントをしてきたので、計4回、伊豆大島を訪れました。そこで目にした大島町の歴史や伝統産業、島に暮らす人々の様子に魅力を感じました。そして同時に、都市部との環境の違いによって、解決すべき課題がたくさんあると感じました。東京都の知らなかった一面に触れたことは、貴重な経験でした。
将来のことを考えてこの科目に参加したわけではありませんが、結果的に入庁直後に大島支庁に配属されて、島のくらしを見た経験が活かされたかもしれません。
――現在の仕事のやりがいを教えてください。
都内の市町村の現状を把握し、少しでもより良い状況となるよう検討していくことは、大きなやりがいを感じるポイントです。もちろん日々の仕事の中では、すぐに解決できない課題もたくさん降りかかってきます。ですが、大きな問題をできるだけ細分化し、それら一つ一つと向き合いながら、どこに課題の原因があり、それらにどう対応すべきなのかを、上司や先輩方、各市町村の職員と共に考えていくのは非常に面白い仕事です。また、市町村との関わりを通して、東京都についても改めて学ぶことができる点や都内全域の市町村との連絡調整に携わることができる点は、都の職員でなければ経験できない、ダイナミックな仕事だと思います。
東京都の職員は、2~3年に1度の頻度で異動するのが一般的です。私も後2年ほどで所属する課やチームが変わり、5年後には局をまたぐような大きな異動を経験することになると思います。今後、どの部署に行くことになっても、これまでの仕事で得られた経験や知見は、形は違っても必ず活きてくるはずです。これからも目の前の仕事に力を尽くしながら、今経験できることに精一杯取り組んでいこうと思います。
――最後に、鎌田さんにとって都立大とは?
一歩踏み出せば様々なことが経験できる都立大は、自分の可能性を広げてくれた場所でした。文系・理系を問わずに興味を追究でき、希望すれば副専攻も深く学べるカリキュラム。少人数制で行われ、密度の濃い内容で展開される授業。履修する側とは違った視点が経験できた授業運営のサポート。みんなで目標を達成できとても充実していた課外活動の時間。都立大での日々は、現在の私のベースとなる大切な時間です。学生時代をこの大学で過ごすことができ、本当に良かったと感じています。
- 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2024年)のものです。