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都市教養学部 都市教養学科 法学系 政治学コース (現 法学部 法学科 政治学コース) 2019年度卒業
国立研究開発法人 情報通信研究機構 イノベーション推進部門 知財活用推進室
都市教養学部 都市教養学科 法学系 政治学コース (現 法学部 法学科 政治学コース)卒業生。趣味のゲーム実況鑑賞やeスポーツ観戦をきっかけに、コンテンツの権利保護に興味が湧き、3、4年次は「知的財産法」のゼミで学ぶ。卒業後は研究開発のサポートに携わるべく、国立研究開発法人 情報通信研究機構に入構。財務部経理室予算グループにて予算管理業務に2年間従事した後、2022年4月より現職。
都立大には、落ち着いた環境と一人ひとりに目を配る教育があった
――子どものころはどのようなことに興味を持っていましたか?
新聞に興味を持っていました。中学生のころから、朝食のときに新聞を読む習慣があったんです。1面や国際面、人生相談のコーナーをよく読んでいました。
新聞はどの記事も簡潔な文章で、的確に物事を伝えています。そのような文章を書ける新聞記者に憧れ、将来は私も新聞社で記事をつくりたいと夢を膨らませていました。
大学に入学して政治学コースを選んだのも、新聞に親しんでいたからです。当時はマスメディアへの就職も意識していたため、新聞の国際面や政治面に書かれていた「政治のダイナミズム」について、大学で学ぶことで深く考えてみたいと思っていました。
――東京都立大学を志した理由とは?
東京都立大学(当時の名称は首都大学東京)を志した理由は二つあります。
一つが、緑豊かで広大なキャンパスに魅力を感じたことです。私が栃木県出身ということもあり、刺激の多い都心で学ぶよりも、自然の多い環境で落ち着いて学びたいと考えていました。
都立大の南大沢キャンパスは東京ドーム約9個分の広さを誇り、その多くが緑にあふれています。ここでなら穏やかな学生生活を送ることができると思いました。
二つ目が、高校の進路指導の先生や塾の講師の方から、都立大への進学にお墨付きをいただいたからです。私はギリギリまで進学先を絞れなかったため、候補の一つだった都立大について、周囲の考えを聞いてみることにしたのです。
すると、どの方も「歴史もあり、優秀な教授陣のいる良い大学」と受験を後押ししてくれました。それで、都立大を受験する意思が固まりました。
――大学ではどのような日々を過ごしましたか?
実際に入学してみると、大学の規模も、まじめな学生の多い法学部の雰囲気も、私によく合っていて良い大学生活を送れたように思います。キャンパスの中では図書館が特に好きでした。勉強に集中したいときは、一人で落ち着いて過ごせる自習スペースをよく利用していましたね。
大学全体の学生数は9,000名程度ですが、基礎ゼミナールなどを通じて少人数で面倒を見てもらえる機会も多かったため、じっくりと学べました。
3、4年次は知的財産権に特化した山神清和教授のゼミに所属しました。きっかけは趣味として楽しんでいたゲーム実況鑑賞やeスポーツ観戦です。そこから「コンテンツを生み出す側の権利保護」に興味を持ち、知的財産法に関する学びを深めていきました。
学びを活かして、才能をサポートする仕事に
――現在はどのような仕事をしているのですか?
国立研究開発法人 情報通信研究機構に就職しました。主に電波の利用に関する技術の研究開発や、情報通信・放送事業分野に属する企業・団体の支援を行う機関です。その中で、イノベーション推進部門 知財活用推進室に所属し、私たちの持つ知的財産のライセンスを企業活動に活かすための様々な手続きを担当しています。
具体的には、企業と研究者の間に立ち、お互いに交わした契約内容を基に、当機構の技術を企業がどの程度利用し、ライセンス料がいくら発生するのかを細かく確認・計算する仕事です。
この手続きを基に、今後の研究につながる大切なお金が研究者に分配されることになります。ミスは許されないため、常に緊張感がありますが、社会を支える研究の一翼を担っている実感は大きなやりがいにつながっています。
――東京都立大学での学びは現在の仕事に活かされていますか?
大学時代のゼミの活動では「調べ方」をとても丁寧に教えていただきました。一次情報の探し方やデータベースの活用方法など、資料や根拠の集め方を学生時代に身に付けられたことは、今の仕事にとても役立っています。
情報通信研究機構は国立法人という特殊な組織のため、全ての仕事で根拠を求められます。規程や法律を確認しながら仕事を進めるため、4年間の学生生活の中で、大切なスキルを身に付けることができて本当に良かったと感じています。
――就職活動ではどのような仕事を志したのですか?
「大学で学んだことを活かしながら、才能ある人をサポートしたい」と考え、就職活動を行っていました。具体的には学校法人、研究開発法人、人材会社、ゲーム会社、法律事務所や特許事務所などを志望していましたね。
いくつか最終面接に進んだり、内定をいただいたりした会社もありましたが、最終的に現在の職場に入構を決めたのは、同じ都立大出身の人事の方がとても素敵な方で、一緒に働きたいと感じたからです。
――最後に、吉田さんにとって東京都立大学とは?
私にとっての都立大は「様々な気付きを得られ、成長できた場所」です。
漠然と「マスメディアへの就職」という将来像を描いていた私が、都立大で様々な人や学問に出会ったことで、知的財産について学びを深め、今のやりがいある仕事にたどり着くことができました。
偶然が重なった結果ではありますが、都立大での時間が「人生の可能性」を広げるきっかけになりました。大学で出会った友人や就職のサポートまでしてくださったゼミの先生には、本当に感謝しています。
今後も現在の職場で、コロナ禍によって社会にさらに必要不可欠となった情報通信技術を支えていけるよう、私も精進していきたいです。そしていずれは部署異動や出向といったチャンスを掴んで、現在よりももっと研究者に近い環境で仕事ができたらと思っています。
- 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2022年)のものです。