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都市教養学部 都市教養学科 人文・社会系 社会学コース 社会人類学分野 (現 人文社会学部 人間社会学科 社会人類学教室) 2020年度卒業
ウルシステムズ株式会社 ITコンサルタント
都市教養学部 都市教養学科 人文・社会系 社会学コース 社会人類学分野(現 人文社会学部 人間社会学科)卒業生。社会人類学教室の深山直子 准教授に感銘を受け、「知らない生活・文化に身を置いてみたい」という思いから在学中にマレーシアに留学。卒業後はITコンサルティングを主力業務とするウルシステムズ株式会社でITコンサルタントとして活動している。
知的好奇心を掻き立てられる環境
――大学入学前はどのようなことに興味を持っていましたか?
昔を思い出しながら考えてみたのですが、高校時代までにのめり込んだことを思いつきませんでした。今回このようなインタビューの機会をいただいて、スポーツや学問、趣味、全てにおいて熱中したものがなかったことにあらためて気が付きました。
――では、東京都立大学を志した理由とは?
どの大学を受験するか検討していたとき、東京都立大学(当時の名称は首都大学東京)のオープンキャンパスに参加する機会がありました。そのとき受けた心理学の授業がとても面白く、すぐにどのような大学か調べました。都立大では経験豊富な教員のもと、少人数制の授業を展開していると知り、さらに興味が湧きました。
また、人文社会学部では1年次で教養科目を学び、2年次に進級する際に専攻分野を決めることを知りました。受験時に学びたい学問が定まっていない私でも、ここなら極めたい何かが見つかるかもしれない。そう思えたのも、都立大を志望した大きな理由の一つです。
――実際に入学してみて、学びたい学問は見つかりましたか?
在学中は、社会人類学にどっぷり浸かっていました。最初はオープンキャンパスのときに授業を受けた心理学に興味を持っていたのですが、1年次に教養科目で心理学を受講してみたところ、想像よりも数学的で、学びを進めていくうちに苦手意識の方が強くなってしまいました。ただ、実際に学んだからこそ「私には向かない」と知ることができたのだと思います。
その一方で、大学に入るまでは知りもしなかった社会人類学に惹かれていきました。社会人類学は、世界各地の社会・文化を学ぶ学問。私はここで、少数民族と一緒に何年も生活していた深山直子先生に出会ったのです。先生の実体験を伴った話がとても面白く、もっと本格的に学びたいと思い、2年次から社会人類学分野に進みました。
――大学ではどのような日々を過ごしましたか?
「知らない生活・文化に私自身も身を置いてみたい」という思いがどんどん膨らみ、4年次にはマレーシアに留学しました。実は、留学を迷っていた私の背中を押してくれたのも、深山先生なんです。
2年次以降の授業は少人数制のため教員と一対一で話す機会が多く、そのたびに深山先生が海外で体験してきたこと、そこで得た経験や価値観の変化などを話してくださいました。知識面だけではなく、生き方も尊敬するようになっていた私は、深山先生から「迷っているってことは、行きたいってことだよ」と声をかけていただいたことで、一歩踏み出すことができました。
実際に訪れたマレーシアでの生活は、食生活も文化も日本とは全く異なり、大変なことも多かったです。でも、そこで得た経験や知識は、今の私を形成する大切な要素になっています。
どんな困難にも立ち向かえる、個の力を磨いていく
――就職活動ではどのような仕事を志したのですか?
マレーシアでの留学経験を経て、困難な状況の中でも成果を出すためには、チームで力を合わせるのはもちろん、個々人の力も高くないといけないと感じました。そこから、会社に依存するのではなく、個の力を磨いていけるような仕事がしたいと考えるようになりました。
就職活動をしていく中で、どの業界でも、どの会社でもITの力は必要だと感じました。ITの知識と仕事の全体を見るコンサルタントとしての経験を身に付けることができれば、この先どんな困難があっても、前に進み続ける自信になるんじゃないか。そう考え、ITコンサルティングを主力事業とするウルシステムズ株式会社に入社しました。
――現在はどのような仕事をしているのですか?
ITコンサルタントとして活動しています。私は理系の学部出身ではないので、大学時代に学んだことが今の仕事に直結しているわけではありません。でも、幅広い教養科目を学ぶことで培った知的好奇心や、チーム一丸となって同じ目標に向かってプロジェクトを進める力、また、文章の書き方や資料作成の仕方など、学生時代に先生たちから丁寧に教えていただいたことがとても役に立っています。
――最後に、榊原さんにとって都立大とは?
私にとっての「原点」ですね。学びたい学問も、趣味も、働く軸も、全てのターニングポイントが都立大にありました。留学を含め、大学での5年間がなかったら今の私はないと思います。
高校時代、特にやりたいことがなかった私がいろいろなことに熱中できるようになったのは、幅広く教養知識を学べたり、少人数制の授業を導入していたりと、知的好奇心を掻き立てるカリキュラムがあったから。何かやりたいことがある人はもちろん、これからやりたいことを見つけたい人にも、都立大は理想の環境だと思います。
- 登場する人物の在籍年次や所属、活動内容等は、取材時(2022年)のものです。