日本スポーツ心理学会第47回大会(2020年11月21日〜12月6日、オンライン開催)において、本学人文科学研究科博士後期課程 杉 卓洋さん(心理学分野・知覚行動科学ゼミ所属)の優秀論文奨励賞受賞が発表されました。
日本スポーツ心理学会は1974年に設立され、現在約800名の会員が体育・スポーツ・人間理解のための心理学を基盤とした研究を推進している学会です。
杉さんは国内ではまだほとんど研究が行われていないボルダリング競技における知覚・認知特性、とりわけ視覚情報処理と記憶の関連について、実験心理学的方法を用いた実証的な研究を行いました。実験の結果、登るルートの視覚的特徴(奥行きや質感といったリアリティーさ)とルートの記憶成績の関係が示され、特にクライミングウォールのリアリティーが高い場合、登れるルートか、登れないルートかといった動作の可能性に基づく情報がシステマティックに記憶成績に影響することを明らかにしました。これはクライミング競技者が、呈示されたルートの“climbability”から関連する情報(ホールドの位置、自身のムーブ)を内的に体制化し、保持している可能性を示唆するものです。
受賞論文の詳細は以下の通りです。
【論文題目】
ボルダリングにおける視覚的ルート呈示法と動作方略の影響―クライミング前に行うルートのオブザベーションと記憶の関係について―(The Effect of Route Presentation and Climbing Strategy in Competitive Bouldering ―The Relation between Observation and Memorization of the Route―) (スポーツ心理学研究、2019年 46巻 2号 p.97-113 に掲載)
【論文著者】
杉 卓洋(東京都立大学大学院 人文科学研究科 人間科学専攻 心理学分野 博士後期課程)
石原正規(東京都立大学 人文科学研究科 人間科学専攻 心理学教室 准教授)
【論文概要】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspopsy/46/2/46_2019-1806/_article/-char/ja