教員紹介参照<参照>

平成31年度 取組状況
所属 システムデザイン学部 機械システム工学科
学部・コース等
研究科・専攻等
職 位 教 授
氏 名 藤江 裕道

取組状況
教 育 1)本学における教育
 授業では講義7コマ(分担含む),実験2コマ,演習1コマを行なった.研究室では,博士コース学生1名,修士コース学生7名,学部学生4名,研究生2名の教育をおこなった.

2)大阪大学医学部整形外科医との研究会
 学生を手術見学会に学生を参加させ,研究会にも参加させて,医工連携研究に関する教育を行った.同時に,若手整形外科医の研究発表に対するコメントを行い,研究方針や力学の考え方などについて助言等を行った.また,その場に研究室の学生を数名同席させ,議論に参加させることで,異分野融合的教育を行なった.

3)札幌医科大学医学部整形外科医との議論・打ち合わせ
 医学部大学院所属の若手医師を対象に関節バイオメカニクスに関する講演等を行い,外科学における力学の重要性について講義した.また,その場に研究室の学生を数名同席させ,議論に参加させることで,異分野融合的教育を行なった.

4)著名研究者を招聘しての講演
 医工連携研究センターの研究会やシンポジウムを開催し,著名研究者らによる講演会を実施して,学生教育に役立てた.
研 究 1)幹細胞バイオメカニクス
 「細胞バイオメカニクス」では,遠心処理による細胞のコラーゲン分散体への含浸を行なって,細胞の分布制御に関する基礎データを得た.また,幹細胞を多細胞化した細胞スフェロイドを生成し,同様にコラーゲン分散体に含浸させて,スフェロイドの分布制御に関する基礎データを得た.それらの知見を元に,幹細胞とスフェロイドを含浸させた傾斜構造を有する細胞/コラーゲン複合体の生成に成功した.

2)軟骨修復とバイオトライボロジー
 1)で開発した材料を用いて家兎大腿骨軟骨の修復実験を行い,その組織学的観察および摩擦特性解析を行った.また,正常軟骨内のコラーゲン線維,プロテオグリカン,間隙水を考慮した非線形有限要素解析を行い,軟骨潤滑メカニズムに関する検討を行った.
また,京都大学医学部,大阪大学医学部との共同研究で,iPS細胞を元に生成した新規バイオマテリアルに関する基礎的検討を行った.
 さらに,軟骨や半月の潤滑メカニズム解明のため,ポロビニルアルコール(PVA)ゲル内に配向したPVA繊維を配置して全体を固化し,軟骨モデルを生成した.このモデルの透水性や圧縮特性を実験的に求め,繊維配向が軟骨の特性に及ぼす影響について検討した.

3)関節バイオメカニクス
 動物膝関節を用いて前十字靭帯大腿骨付着部の緊張・変形挙動について解析した.その結果,これまでは不明であった,初期状態での緊張・弛緩の分布,および外力増大に伴う分布の変化に関する貴重な結果が得られた.
関節力学試験ロボットシステムを用いた研究では,人工膝関節置換術を施行したヒト膝の力学試験を行い,置換術施行関節の力学特性を明らかにし,また手術法や人工関節コンポーネント形状の問題点を明らかにした.
関節力学解析に関する研究では,逆動力学ソフトウエア(AnyBody)のForce Dependent Kinematicsの機能を用いて,関節6自由度の変位と負荷を任意で制御することの可能な関節力学モデルの生成に成功した.また,開発したモデルに対し人工関節置換術をシミュレーションし,置換術の評価を行う基礎を作った.

4)研究業績
 査読付き論文発表12件,学会発表18件を行なった.
社会貢献 1) 日本臨床バイオメカニクス学会理事・評議員・編集副委員長
 学会運営に関与して学会活動の推進に貢献した.とくに,編集委員会では副委員長として活躍し,「臨床バイオメカニクス, Vol.40」の編集,発刊の責務を果たした.また,新たにスタートさせた関連学会との連携に関する委員会の主要メンバーに加わり,医工連携に関する学会レベルの活動を行なった.

2) 日本機械学会バイオエンジニアリング部門・アドバイザリーボード            
 部門の運営と企画,新たな委員会の制度作りと立ち上げ,講演会の運営,他部門や学会本部との会議参加と交渉等を行なった.とくに,上記の臨床バイオメカニクス学会との連携に関して,具体的な取り決め,行事策定などを行なった.
 
3) バイオトライボロジ研究会世話人
 バイオトライボロジに関して世界で最も古い同研究会の世話人として,学会の運営・活動・推進に貢献した.

4) 札幌医科大学客員教授として講演と医師らの研究指導
 若手医師を対象とした講演会の講師を務めるとともに,共同研究において研究指導等を行って医工連携に貢献した.