HISAMOTO Tomoyuki
准教授

久本 智之 ヒサモト トモユキ ひさもと ともゆき

プロフィール

所属

東京都立大学理学部 数理科学科
理学研究科 数理科学専攻

最終学歴・学位

東京大学大学院 数理科学研究科 理学博士

専門・研究分野

複素解析幾何

研究

研究テーマ

代数多様体の幾何学的な性質を、ディーバー方程式やMonge-Ampere方程式を用いて調べています。現在は特に多様体の安定性と標準計量との関係に興味を持っています。

例えば滑らかな平面三次曲線は全てトーラスに同相であり、その複素構造は複素平面によって一意化できることが知られています。このことは、滑らかな平面三次曲線が常に曲率の平坦なKahler計量を持つことを意味しています。私達はこういった現象の高次元化を研究しています。すなわち、射影空間に代数的に埋め込まれた多様体は、いつ、標準的なKahler計量を持つのかという問題です。たいへん面白いことに、高次元では多様体が滑らかというだけではこのような特殊な計量は存在せず、しかも滑らかでない多様体へ退化させてその様子を調べる必要があります。1つの多様体に対し退化は豊富に存在しますが、そのどんな退化についてもDonaldson-二木不変量が正であるとき、多様体はK安定であるといいます。

2012年頃、Fano多様体がKahler-Einstein計量を持つこととK準安定性の同値性が示され、Kahler-Einstein計量についても多くの知見が得られました。
といっても実際にK安定性を確認するのは容易ではありません。
我々はそこで一様安定性という概念を導入し、実はKahler-Einstein計量の存在からこのような強い安定性が従うことを示しました。
一様安定性を仮定すればKahlerr-Einstein計量の存在を示すことも簡単になり、一般の偏極多様体に対しても標準計量と安定性の関係がつく可能性が出てきます。また、一様安定性の程度を表すデルタ不変量は、代数幾何の立場から盛んに調べられています。

最近はK安定でないFano多様体に興味を持っています。この場合はKahler-Einstein計量が存在しない代わりに、Donaldson-二木不変量を最も小さくするような退化が存在すると考えられます。これは、正則ベクトル束のHarder-Narasimhanフィルトレーションに相当する概念です。
我々はこのような退化に対応する計量の時間発展方程式を導入し、それが時間大域解を持つことを示しました。また、トーリックFano多様体の場合には実際にこの時間発展方程式が最適な退化を与えることを示しました。

研究キーワード

ディーバー方程式、Monge-Ampere方程式、安定性、Kahler-Einstein計量

詳細情報

・T. Hisamoto: On the limit of spectral measures associated to a test configuration of a polarized Kahler manifold. J. Reine Angew. Math. 713 (2016), 129-148.
・S. Boucksom, T. Hisamoto, and M. Jonsson: Uniform K-stability and asymptotics of energy functionals in Kahler geometry. J. Eur. Math. Soc. 21 (2019), 2905-2944.
・T.~C. Collins, T.~Hisamoto and R. Takahashi: The inverse Monge-Ampere flow and applications to Kahler-Einstein metrics. to appear in J. Differential Geom.
日本数学会建部賢弘特別賞(2019年)
  • 離散数学入門 a
  • 線形代数I d
  • 解析入門II演習
  • 幾何学C
  • 幾何学特論1
  • 先端幾何学特論1
  • 幾何学特別講義2
  • 先端幾何学特別講義2
  • 組織再編前旧課程の同時開講科目等が含まれており、掲載されている全ての科目を開講するわけではありません。

連絡先

メールアドレス

hisamoto●tmu.ac.jp
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