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最終回、2死3塁、1番バッターの放った打球はセンターへ

 2年前の春季リーグにおいて、首都大学東京硬式野球部は東京新大学野球連盟2部リーグで最下位争いをしていた。10戦中2勝8敗。続く秋季リーグも10戦中2勝8敗。このリーグでは最下位決定戦まで繰り広げられていた。そんな硬式野球部に転機が訪れたのは昨年の春季リーグのことである。第6戦、当時リーグで1位の高千穂大学との試合、序盤は点差がついていたものの徐々に追いつき、そのまま延長戦へ。なんと引き分けでその試合を終える。第9戦、首都大に勝てば優勝が確実となる東京学芸大学との試合。首都大は学芸大に久しく勝っておらず、この試合も誰もが学芸大の勝利を予想していた。しかし結果は大方の予想を裏切り、 首都大が4対3で勝利を収める。この2戦が決め手となり、結果6勝3敗1分、第3位という結果になった。続く秋季リーグでも第3位と着実に力をつけてきていた。そして迎えた今年の春季リーグ。10戦を終えてなんと8勝2敗、昨年の秋季リーグで1部から降格してきた駿河台大学と同率1位であり、入れ替え戦への切符の行方はプレーオフにまで持ち越された。

プレーオフ

 プレーオフとは順位決定戦、今回の場合は優勝決定戦を意味する。6月1日土曜日、首都大学東京野球場にて駿河台大学との戦いの火ぶたが切られた。

 初回、先攻の首都大が幸先よく先制点を奪うも、その後は両大学とも膠着した状態のまま試合が進む。試合が動いたのは6回裏。首都大側の守備のミスが続き無死1,2塁、ここで迎える打者はリーグで1,2位を争う実力者である4番打者。この試合で初めての危機を迎えたマウンド上の黒須(3年/ツーリズム)は焦りを隠せない様子である。初球、投じた球ははじき返されレフトへ。しかし、 ここはレフト首藤(3年/機械工)が難なく捕球しアウトカウントを1つ稼ぐ。ここで落ち着きを取り戻したのか、首都大は続く5,6番を粘られながらも抑え、この回を無失点で切り抜けた。

 ピンチの後にチャンスあり。7回表、首都大の反撃が始まる。先頭打者はセカンドゴロに倒れるも、続く打者、代打の今別府(2年/法)がセンター前ヒットで出塁する。続く6番野本(4年/分子応用)、7番遠藤(4年/建築)の連続安打により1死満塁のチャンス。8番近藤(3年/放射)の打球はショートの深い位置へ。フォースプレイを狙うも間に合わずにオールセーフとなり、1点を追加する。まだまだ攻撃は終わらない。9番坂根(3年/経営)、1番森川(3年/経営)、2番杉浦(3年/人社)の連続適時打、さらに4番村﨑の適時打によってこの回一挙7点を追加する。この時点で7回8点差、この裏の守備を1失点で乗り切ればコールドゲームが成立する点差となった。

 勝負の決する7回の裏の守備。先頭打者に対しエラーによる出塁を許してしまうものの、続く打者をセカンドゴロ、三振に斬って取り、勝利まであとアウト1つ。2死3塁、1番打者が打席に入る。2球目を打ち、打球はセンターへ高く上がる。しかしこれは難なく掴んで試合終了。首都大学東京が8対0で、31季ぶりの2部リーグ優勝を果たした。投打の噛み合った好ゲーム。先発した黒須はこのリーグで初めて無失点で抑え、チームとしても初の完封勝利で幕を閉じた。

優勝が決まった瞬間
優勝が決まった瞬間

入れ替え戦

 舞台は1部リーグの最下位との入れ替え戦に切り替わる。相手は昨シーズンまでは同じ2部リーグでしのぎを削っていた東京学芸大学。先に2勝した方が1部リーグへの切符を掴むことができる。昇格か、残留か。勝負は3日間の連戦で決することとなった。

 結果は、1日目は0対6で敗北、2日目は4対7で敗北。プレーオフで優勝候補を圧倒した首都大であったが東京学芸大には1勝もすることができず、1部昇格は果たせなかった。首都大学東京の快進撃は2部リーグ優勝、1部昇格はならずという結果で終了した。31季ぶりの優勝は、東京都立大時代から続く硬式野球部の歴史に、輝かしい1ページを残した。

 硬式野球部はこの春季リーグを終えて、代替わりとなる。4年生のほとんどが引退し、新入生が入部する。新たに生まれ変わったチームはどのようなチームに成長していくのか、 どのような歴史を刻むのか。秋季リーグが楽しみである。


以下、引退した当時の主将の遠藤(4年/建築)と当時の監督の石出(4年/理学療法)へのインタビュー記録である。

主将 遠藤 航平さん

―春季リーグを終えての感想をお聞かせください。

 2部優勝という結果を残せたことについては達成感を感じています。途中優勝争いを繰り広げた駿河台大学に2敗し、 自力優勝を消滅させました。しかし最後まで希望を捨てずに戦い抜き、 プレーオフで駿河台大学に勝利し優勝を決めた瞬間は、何にも替えがたい感情が溢れました。まさにチームが1つになった瞬間です。長い人生でもあのような感情に浸れる場面はそうそうないように思います。

―主将を務めた一年間はどうでしたか?

 自分にとっては学生野球最後の1年ということもあり特別な気持ちで臨んでいました。部員全員が一般入学でありながらも、 公式戦の会場としても使用される立派な専用球場を与えられ、恵まれた環境下で白球を追いました。各々の入部の動機は様々で、野球に対する情熱や割く時間もまた様々です。過渡期にあるとはいえ、現状では集団的な練習が主流の中、主流を踏襲することに関して迷いを抱えながら過ごした1年となりました。しかしそんな迷いとは裏腹にチームは団結していて、各個人の確固たる意志のもと戦力は向上し、走り抜けました。自分自身も今後の人生につながる成長を得ることができました。不甲斐ない主将を支えながら戦ってくれた部員には感謝の限りです。

―後輩へ一言お願いします。

 今期優勝を果たしたものの1部昇格は未達です。優秀で頼り甲斐のある後輩が多く、1部昇格を達成する期待を持たせてくれるチームです。歴史の長い首都大学東京(東京都立大学)野球部ですが、伝統には良し悪しがあります。学生野球の過渡期ともいえる近年では尚更、踏襲には取捨選択も必要です。しかし、先輩たちが紡いできた「意志」はこれからも引き継ぎ、伝えていって欲しいと思います。1部昇格を達成してください。

監督 石出 絋瑛さん

―春季リーグを終えての感想をお聞かせください。

 何より31季ぶりの2部優勝。これに尽きます。私が入学してから4季連続の5位。そのうち2度の最下位決定プレーオフを経験しました。やっとの思いで優勝できたことを大変嬉しく思います。
 4年生にとってはこれからの時期、学業との両立が厳しい状況で春季リーグを最後とする者が多くいます。その分、優勝への想いが強く我々について来てくれた後輩達には感謝しかありません。
 優勝までの11試合、全員が勝ちにこだわる姿勢を見せてくれたことを誇りに思います。

―チームの良さはどんなところだったのでしょう?

 2部リーグの上位と個々の能力を比較したら明らかに下です。それでも勝ちきるためには何が必要か、何をしなければいけないのか。個性溢れる人材が沢山いて、容赦なく物事を言い合える関係性があり、ぶつかり合いから生まれる団結力は学生運営だったからこそです。
 勝っていても負けていても変わることのないベンチの盛り上がり。このベンチから生まれる雰囲気こそ首都大野球部が勝つためには何より大切だったと思います。

―春季リーグのベストシーンを教えてください。

 優勝決定プレーオフの7回の攻撃です。
 代打で出た者が活躍し、連打、バント、そして盗塁。投手が代わっても打線が途切れることなく大量得点を奪う。春季リーグを象徴とする首都大の攻撃が出来たと思います。
 特にバントと盗塁にはこだわってきました。盗塁に関してはプレーオフを含めた11試合で50盗塁。ほんとに良く走ってくれたと思います。


優勝おめでとうございます。
硬式野球部の今後の益々の活躍を期待しています。

【学生広報チーム 黒須 康太(自然文化ツーリズムコース3年)】

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