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2018課外活動団体紹介③ 古典ギター部

古典ギター部の活動―アットホームな雰囲気と手厚い教育

演奏会の様子。妥協なく積み重ねてきた練習の成果が存分に発揮される。
演奏会の様子。妥協なく積み重ねてきた練習の成果が
存分に発揮される。

古典ギター部の練習は毎週水曜日と土曜日。主に合奏や重奏に取り組んでいる。一般に向けた大きな本番には4月の新歓コンサート、6月の梅雨コンサート、中央大学とのジョイントコンサート、そして一年の集大成となる12月の定期演奏会があり、これらに加えて部内での演奏会や老人ホームでの演奏も行っている。

ちなみに、「古典ギター」とはクラシックギターのことである。アコースティクギターの一種で、ナイロン製の弦を用いるため、フォークギター(いわゆるアコースティックギター)よりも柔らかい音が特徴だ。全部のギターの大元になったとも言われている。

部の雰囲気について「部活としてはアットホームだと思う」と伊藤。普段の練習はメリハリよく、ただ厳しいだけでなく笑いも交えながら雰囲気よく進めているという。
大学からギターを始める人が多いのも古典ギター部の特徴と言える。「時々高校でやっていた子が入ってくることもあるんですけど、音楽やったことなくて楽譜読めないところから始める子もかなり多いです。」(伊藤)そんな古典ギター部には「師弟制度」なるものが存在する。「3年生ひとりと1年生ひとりがペアになって夏合宿の「お披露目」に向けて練習して、その中で、ギターにも慣れてもらって、合奏も弾けるように、という制度を取り入れています。」(矢吹)古典ギター部の教育は手厚く、演奏や楽譜の読み方はもちろん、指揮や編曲に至るまで、先輩から後輩へ代々教えあってきたという。その蓄積があるからこそ、初心者歓迎ながらも質の高い音楽が実現できるのだろう。

「Guitar Ensemble Competition 2018」で得たもの

今年の活動の特筆すべき点として、5月13日に行われた「Guitar Ensemble Competition 2018」に出場した点が挙げられる。古典ギター部の長い歴史の中では大会に出場していた時期もあったというが、ここ数年では初の出場。大会そのものも今年設立された新しいもので、まさに古典ギター部の新しい挑戦に相応しいものと言えよう。(大会会場が「めぐろパーシモンホール」、奇しくも旧東京都立大学が目黒時代にキャンパスを置いていたまさにその場所であったのも何か縁を感じる。)

結果だけをみると上位入賞こそかなわなかったものの、そこでの経験は刺激的だったようだ。「他の上手い団体の演奏を聴いて、こういう風に弾きたいとかあればそれに向かって成長すればいいし、他の団体との交流もあったので、そこらへんは外部との(つながり)っていう点で良かったと思います。」(関根)「横のつながりがまだない」(伊藤)という大学ギター合奏界において、大学間のつながりができたことも大きな収穫だ。大会で古典ギター部の演奏に魅力を感じ、演奏会に足を運んでくれた他大学の学生もいたという。

「古ギタ」に何を求める?―部が好きか、ギターが好きか

大会を振りかえって、「順位のついてしまうコンクールなので、お互い気が立ってしまっていたっていうのはあるかもしれません」と関根は語る。やはり大会に向けた練習は甘くなく、練習の厳しさに辛さを感じたこともあったという。「弾くのは楽しいけど、つらかったー。練習がつらかった、だって(伊藤さんが)めっちゃ厳しいんです!」との団長・矢吹の言も印象的である。

矢吹は重ねる。「古ギタ(古典ギター部のこと)に入っているのはアットホームな雰囲気を求めてきている人が多いので、やっぱ楽しい雰囲気は守って部活はやりたいと思っています。それで、(大会で)勝つことだけを掲げちゃうと、楽しさがなくなってただただ苦痛な時間になっちゃうので、それだとギターをそもそも弾こうと思わなくなっちゃうので、そこはいいバランスを見つけてやっていきたいです。」

先に触れたように、古典ギター部に入部する人はほとんどが初心者である。入部のきっかけとして「雰囲気のよさ」や「活動の楽しさ」を挙げる者も多いそうだ。そうなってくると、大会に向けての練習のように厳しすぎても反発を招いてしまう可能性がある。かといって、妥協してばかりでは上手くなれない。このバランスが難しいのだ。この難しさはギター合奏に限ったものではないだろう。部活動を経験したことのある読者には「そもそも部の構造として、部が好きな人とギターが好きな人とがいて、それが昔から毎年ぶつかってるらしいんですよ。」との伊藤の言に共感できる人も多いのではなかろうか。

部員をつなぐ「信頼感」

古典ギター部には絶対的な指導者がいない。そのため、団に対する考え方も様々である。「部員でみんな思っていることは違うよね。そもそも。統一意思は何に関してもないので、梅雨コンの感想もみんな違うと思います。部活らしくないところではあり、大学の部活らしいところかなと思います。」と伊藤。先に触れた「部活に何を求めるか」の議論にしても、「活動の中で大会をどう位置づけるか」の話にしても、なかなか意見は合わないという。

それでも「信頼関係はある程度築かれている」(関根)ようだ。取材中にも部の在り方について三者三様の鋭い本音が次々と繰り出された。しかしそれも冗談半分として互いに受け入れ、笑いあえる関係があるのだ。

音楽に対する向き合い方についても「うちの代だったら、自分みたいなギターやろうぜって言う人間と(矢吹のような)楽しくやろうよって言う人が両方いたっていうのがすごく大事だったんじゃないかって今も思っています。」と伊藤は語った。互いを信頼することが様々な考えを認めることにつながり、時にぶつかりあいながらも厳しさと楽しさのバランスが取れているのだ。古典ギター部の魅力として多くの部員が語る「アットホームさ」の根底にはこの「信頼感」があるのかもしれない。

さらなるパワーアップは次代へ受け継がれる

そんな古典ギター部だが、今年度は音楽系団体として唯一大学からの支援金補助を受けた。その理由は2つあるという。「きちんとした音の出るギターが人数分用意できなくて、新しいギターを買いたいというのがひとつ。それと、指揮者が代々教えあってきた程度のものなので、ちゃんとした人に指揮を指導してもらいたいっていう2つについて支援をいただくって感じです。」(伊藤)もとはというと、大会で勝つために必要なものは何か、という観点から支援を申し出たという。しかし申請が通ったのは大会の直前。結局、大会までに新しいギターを買うことはできず、指揮者講習も受けられなかった。それでも、「それは今後買って、定期演奏会に向けた練習にそれを生かしていって、来年のコンペ(大会)でそれが生きるといいねって支援いただいています」(伊藤)と早くも先を見据えている。

大会に向けた練習の中で音楽のレベルは向上した。それでも音楽的に足りなかった。その悔しさから、新入生教育用のオリジナル教本も刷新したという。そして新しいギターと指揮者講習。こうした支援や部員の努力の結果、僅かながらではあるかもしれないが、古典ギター部は着実にその音楽をより良いものにしていると言えよう。今回取材した3名は定期演奏会をもって引退となった。それでも、「教育力」の古典ギター部である。経験や思想はしっかりと蓄積され、受け継がれることだろう。そして、もっと良い音楽を届けてくれることだろう。
古典ギター部にちょっとでも興味を持った方、演奏会に足を運んでみてはいかだだろうか。

【門口樹輝(人文・社会系3年)】

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