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ミニ講義 ― 東京都立大学の「学び」を体験!
橘髙 義典 教授

橘髙 義典 教授
H30再編後の所属
都市環境学部 建築学科
橘髙 義典 教授 【教員紹介】
キーワード:
建築, 材料, コンクリート

建築材料は建築を具体化する最小単位

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安全・美粧・快適を生み出す建築材料

良い建築物を造るためには、安全性、美粧性、快適性などの建築物に要求されるさまざまな機能を満たす必要があります。それらを具体化する最小単位が、建築材料です。例えば、風、地震などに対して安全性の高い建築とするためには、硬くて強い材料が必要となります。さらに最近の大規模な建物には軽量化も必要となる場合があり、技術開発による新素材も使われています。また、建築物が見た目の美しさを備えるためには、造られたものの表面、形などが美しく見える材料を選ばなければいけません。 歴史的な建築物はその地域にある天然素材を生かして造られてきましたが、近年の建築物は材料の選択肢が増えています。コンクリート、鋼材などの構造体の素材をそのまま使う例や、合金・プラスチックなどの新素材、土・木などの天然材料の利用など、材料の新たな使われ方が建築の発展に貢献してきました。

居住時の快適性向上をめざす

さらに、居住時の人間の快適性はとても重要な問題です。快適性を向上させるためには、熱を通しにくくする材料や、光を通しやすい材料などが必要になります。建物が大型化し、形が複雑化すると、居住空間として建築に重要な温熱・音・空気などの環境特性に対応することがより難しくなります。透明材料、断熱材、音響材料などの研究開発は建築環境に大きな役割を果たしているのです。

材料の選定は大きな問題

建築物に要求される機能はそれだけではありません。防耐火性、遮音性、経済性、施工性、リサイクル性など、非常に多くの機能が求められ、建物の目的によりその精度や選択は多様で複雑です。建築の設計ではこれらを常に考慮しながら、要求される複数の機能を適切に満たす材料が選定されなければなりません。ひとつの建築物の中に多様な要求を満たす必要があるという点が、一般の材料と建築材料との大きな違いです。建築材料学では、こうした多面的な要求に対する建築材料の複合的な性能を研究しているのです。

文化とともに発展する建築材料「コンクリート」

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コンクリートは便利な建築素材

現代の建物の多くはコンクリートを使って建てられています。コンクリートは硬化剤であるセメントと、砂や水でできているため、安く大量に手に入りやすいという利点があります。また、最初は柔らかいので自由に形を作ることができます。固まると十分な強度を発揮し、重さを支え、地震にも強い構造の建築物が造れます。

遺跡から発掘されるコンクリート

コンクリートは古くから使われてきた建築材料です。中国の遺跡からは約5000年前のコンクリートが発掘されました。この床に使用されたのは炭酸カルシウムを焼いて粉末状にし、固めたことがわかっています。コンクリートの硬化剤であるセメントは石灰石、粘土などを焼いて作った粉末です。これに水を加えると水和反応を起こし硬化します。古代の人は石灰石の上でたき火をして、焼けて粉になったものが雨に当って偶然固まったものを見つけたのかもしれません。また、現存する古代ローマ帝国時代に作られた構造物は、コンクリートの中にレンガを板状に配置し、今の鉄筋コンクリートと同じような強さがあります。錆びる鉄筋が入っていないので2000年の耐久性があります。

コンクリートの進化系登場!

最近では、新しい性能を備えたコンクリートが登場しています。高層ビルの低層部は自重を支えるために太い柱が必要ですが、柱が太いと居住空間は狭くなります。そのため、細い柱でも高層建築を支えられるように高強度なコンクリートが開発されました。またコンクリートは、硬いだけだと地震で大きく揺れた時に割れてしまうことがあります。これを防ぐために、繊維などを含んだ強靭なコンクリートが研究されています。さらに、硬化前に水のように自由に流れるコンクリートも作られています。現在使われているコンクリートは建築現場で人が少しずつ流し込む作業をして固めますが、水のようなコンクリートを使えば、短期間で大きな建築物を造ることができるでしょう。このような新しいコンクリートの登場が、高機能で美しい建築を生み出していくのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

私たちの文化には建築物は欠かせません。街を見渡せば新旧たくさんの建築物があります。良い建築物とは、美しく、安全で、居住環境が快適であることです。それを具象化する最小単位が建築材料です。木材、金属、コンクリート、ガラス、プラスチック、石など、おそらく近代の工業製品の中で最も多くの材料を使ったものが建築物でしょう。
構造材料、仕上げ材料の種類、役割、特性を知ると、あなたの身近にあるインテリアや建築物を見るときに、また違った楽しい見方ができるはずです。


夢ナビ編集部監修

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