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ミニ講義 ― 東京都立大学の「学び」を体験!
難波 治 教授

難波 治 教授
H30再編後の所属
システムデザイン学部 インダストリアルアート学科
難波 治 教授 【教員紹介】
キーワード:
デザイン,IoT(モノのインターネット),企業戦略

企業のアイデンティティを形に表す! デザイナーが果たす役割とは

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デザインがブランド価値を高める

イギリスの電気機器メーカー「ダイソン」は、サイクロン式掃除機など特徴的なデザインの製品で、日本でも多くの人が知るブランドです。ダイソンのように多くの欧米企業は、自社の理念やアイデンティティをデザインで表現し、ブランド価値を高めることに成功しています。
一方、日本ではこれまで、デザインとは新しさや美しさなどを盛り込んだスタイルを考える役割だととらえられてきました。そのため、デザイナーは企業の中でも特定の部署に所属し、製品の形や色を決めることだけを担う存在でした。しかし、ようやく日本でも、デザインに対する考え方が変わり始めています。

企業の戦略に直結

2018年5月には、経済産業省・特許庁が『「デザイン経営」宣言』と題する報告書を取りまとめました。新興国の台頭でますます価格競争が激しくなる中、デザインを軽視していては国際競争力が低下すると国も危機感を募らせているのです。デザインは企業のブランドやアイデンティティを表現するものであり、企業戦略に直結する大きな役割を担うものととらえることが必要です。デザイナーはものづくりにおいて、これは何のためか、また誰のために最適化していくのかをものづくりの最も上流から考える立場です。その意味で、企業のフィロソフィーを形に表すことのできるポジションであり、企業戦略に直結する重要な任務を担っているのです。

包括的な思考が大切

企業で製品やサービスの開発に関わる「プロダクトデザイン」に必要なのは、突出したクリエイティブな才能を持つ個人の力ではありません。お客さんは自分が目にした製品を通して、その企業のブランドを見ます。プロダクトデザイナーには、その企業が望む一番よい姿をユーザーに伝える責任があります。そのために、設計から販売まで、さまざまなスペシャリスト集団を率いて開発チーム全体をまとめるのがデザイナーの役割であり、全体を俯瞰(ふかん)し包括的な思考ができるかどうかが問われているのです。

自動車は百年に一度の変革期! 今こそ新しいものを生み出すチャンスだ

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人と自動車の関わりが大きく変化する

自動車は今、「百年に一度」といわれる変革期を迎えています。自動運転の実用化が現実のものとなりつつあり、電気自動車の開発が進んだり、IoT(モノのインターネット)の発達で自動車があらゆる情報とつながったりと、技術的な進歩は目覚ましいものがあります。一方、カーシェアリングが普及し、個人で所有して乗るというスタイルが変わりつつあります。人と自動車の関わりが、これまでとは全く違うものになろうとしている今、カーデザイナーが考えるべきことは多岐にわたります。

いかに社会の課題を解決するか

自動車は人の生活を豊かにしてくれる道具です。一方、環境問題にはどう立ち向かうのか、地域の活性化にどのように貢献できるのかなど、自動車は社会の一部としてさまざまな分野と密接に関わっており、考えるべき課題もたくさんあります。そのような課題に対して、デザイナーはこれまでにない発想の魅力的な解決策を提示するという役割があります。
例えばアメリカでは、深刻な渋滞への対策として、空港から都市中心部まで地下空間に高速の電動車両を走らせる計画が進んでいます。「空飛ぶ車」も夢ではなくなりつつある現代は、さまざまな課題解決をめざして全く新しい乗り物を生み出す大きなチャンスが到来しているのです。

グローバルな視点で新しい利用方法を提案

これから自動車がどう変わっていくのか、まだ答えは出せていません。環境問題を考えれば、これまでのように個人が自由に自動車を所有して使うということは制限されるようになってくるかもしれません。しかし一方で、新興国においては環境性能に乏しい自動車の利用が急拡大しています。これらの国の発展を考えれば、先進国の理屈で制限を強いるのは難しいのが現状です。自国の状況だけを見るのではなく、グローバルな視点で世界各地の実情を踏まえ、新しい自動車の利用方法を提案できるかどうかも、今後のカーデザインの大きなテーマとなっていくでしょう。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

身の回りにあるもので、デザインされていないものはありません。デザインは生活そのものであり、一つひとつのデザインの積み重ねがやがて文化をつくっていきます。
本学では学部や研究室の垣根なく、さまざまな学問が結び付き、新しいクリエイティブな活動をしています。企業の未来を背負って立つ、もしくは企業を生まれ変わらせるぐらい影響力のあるデザイナーを育てることが目標です。そのため、常に人間中心の、人々の生活視点で、オリジナリティにこだわるデザインを指導し、強い向上心を持って世界に羽ばたく若い力を応援しています。


夢ナビ編集部監修

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