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ミニ講義 ― 東京都立大学の「学び」を体験!
古川 顕 教授

古川 顕 教授
H30再編後の所属
健康福祉学部 放射線学科
古川 顕 教授 【教員紹介】
キーワード:
診療放射線技師,チーム医療,画像診断

AI活用で、進歩する「画像診断技術」

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画像診断の始まり

ウィルヘルム・レントゲンがX線を発見したのは100年以上前の1895年です。それ以来、X線写真は主に骨や肺の病変を写す画像診断として利用されてきました。画像診断は体の外からは見ることのできない体内の様子を可視化するものです。現在は超音波検査やX線CT、磁気を用いたMRIなどによる人体の輪切りの画像表示やがんなどを光らせる核医学検査など、画像診断は著しい発展を見せています。

画像診断におけるAI(人工知能)技術

画像診断の分野におけるAI技術は、1)きれいな画像を作成する撮像技術の領域と、2)画像診断の補助をめざした診断領域での研究が進められています。撮像技術の領域では、X線照射量を減らしたCT撮影や撮像時間を短縮したMR撮像でも画像が劣化しないように補正を行うAIを用いた画像補正技術が研究されています。これにより患者被ばくの軽減や検査時間の短縮が可能となります。また、画像診断の領域では、見つけにくい病変の検出や、画像に現れた病気の病名の候補をあげる診断補助の機能を持ったAIなどが研究されています。
AI技術の中には、すでに実用化されているものや間もなく実用化されるものがあります。これらを技術開発し、それらを用いて中心となって医療を実践するのは、診療放射線技師であり、放射線科医師です。そして、AI技術の臨床応用は両者の協力のもとに発展するものです。

小腸の病気を診断する新技術

小腸には炎症性疾患やがんなど多くの病変が発生しますが、小腸は胃と大腸の間に位置して内視鏡が届かないため、病気の発見や診断が困難です。このように診察困難な小腸病変の診断においては、CTやMRIの技術革新による診断技術の進歩の結果、放射線科が重要な役割を果たしています。また、MRIで小腸の動きを観察し、腸の機能をコンピュータで分析評価する新技術も研究されています。これにより、下痢や腹痛を起こす神経性の病気など、内視鏡では見つけられない機能的な疾患についても多くが解明されることが期待されています。

医療を支える「診療放射線技師」

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医療に欠かせない画像診断

体の外から見ても何が起こっているかわからない体内の様子を可視化して、病変を発見し、診断する医療が画像検査であり、画像診断です。今日、命に関わる疾患や外科的治療が必要な疾患では画像診断は欠かせません。血液や尿検査により疾患の存在はわかっても、その位置を特定しなければ手術は困難です。画像診断を行うのは医師ですが、そのためのX線検査やCT、MRI、超音波検査などの検査を行うのは診療放射線技師です。診療放射線技師には、患者さんの状態、疑われる疾患、医師が求めている画像を的確に理解して、正確な診断につながるレベルの高い検査を行うことが求められます。

高度な検査技術を期待される重要な役割

画像検査技術が著しく進歩した現在では、診療放射線技師には高度な知識や技術が求められています。例えば、CTやMRI検査では、診断の精度を上げるために白く写る造影剤という薬を肘の静脈から注射して検査をする場合がありますが、その薬の量、注射のスピード、注射開始から検査開始までの時間の秒単位の調整を実践することは診療放射線技師に託された重要な仕事です。また、MRI検査では、電磁波を与えるタイミングを様々に変化させた複雑な検査法が存在しますが、それらを理解し、医師の求める検査を正確に実現することが求められます。また、MRI検査室の高磁場の危険性を理解し、安全に検査を行う重要な役割も求められています。また、ファントムを用いた新しい検査技術の開発も診療放射線技師に期待される研究分野です。

チーム医療の重要な一員に

画像診断、放射線治療が行われる中央放射線部(手術部と並ぶ病院の中央診療部の一つ)では、診療放射線技師、看護師、医師の協力のもと「チーム医療」が日々実践されます。その画像検査室や放射線治療室に於いて、看護師、医師と協力し、最新鋭の放射線装置を操作して、医療を実践するのが診療放射線技師なのです。それはやりがいのある重要な仕事です。今後、ますます技術が進歩し、その活躍の場は広がることでしょう。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

医療は人の命を預かる非常に重要でやりがいのある領域です。診療放射線技師はその中で高度に進歩した画像診断や放射線治療に関わる大切な役割を担います。そして今、この領域に多くの人材が求められています。「病める人を助けたい」という志を持つあなたには、診療放射線技師として医療を支える道に大いに興味を持って頂きたいと思います。
何事にも“本当にそれで正しいのだろうか”という疑問をもち、考え、判断し、臨機応変に行動できる、既成事実にとらわれない自由な考え方ができる大人になれるように、大いに経験し、学んで下さい。


夢ナビ編集部監修

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