ここからページコンテンツが開始します

学長メッセージ

首都大学東京学長 原島文雄
首都大学東京 学長
原島 文雄

本大学は、名前のとおり東京という世界を代表する大都市に立地し、「大都市における人間社会の理想像を追求すること」を大学の使命とし、特に次の3つの点をキーワードとして、大都市東京ならではの都市に立脚した教育研究に取り組んでいます。第一に、「都市環境の向上」、第2に、「ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築」、第3に、「活力ある長寿社会の実現」です。

大学の使命は「教育」と「研究」であり,言い換えれば「智の継承と創生」です。すなわち、人類が蓄積してきた知識を教育によって次の世代に継承し、さらに研究によって、次の社会の価値観,文化を創生,提言し,社会に発信することです。

近代社会において、教育が社会のシステムとして確立されているのは、私たちがなんらかの現実的行動をうまくなしとげるためには、訓練あるいは練習をしなければならないからです。一般の学問のみならず、音楽や絵画のような芸術でも、野球やテニスのようなスポーツでも、まず訓練や練習が必要です。人類は、教育という訓練のシステムを作り上げたことによって、格段の進歩を遂げたわけです。1万年前、アフリカの草原でライオンの餌にすぎなかった人類が、現在このような文明を築きあげたのは、ひとえに教育システムを発明したからです。大学のもっとも重要な役割は、教育を通じて、次の社会の価値観,文化を創生,提言する人材を育てることです。

研究に関しては、前世紀すなわち20世紀の学術研究は、「何ができるか」という数値目標を争ってきました。たとえば「いかに速く新幹線を走らすか」、「いかに小さい半導体をつくるか」、あるいは「いかに大きな飛行機をつくるか」などです。今日、21世紀の学術研究は、そのような「何ができるか」を数値で争う時代ではなく「何をしたいか」、「何をすべきか」あるいは「何をしてはいけないか」を選択する時代になりました。スポーツの世界、オリンピックでの人気種目を考えてみてください。20世紀の末までは、「100メートルを何秒で走れるか」、「いかに重いものを持ち上げられるか」と言った数値を争う種目に人気がありました。しかるに、最近では、「フィギュアスケート」、「新体操」、あるいは「シンクロナイズドスイミング」など鍛えられた運動の上に「美しさ」が評価されるスポーツに人気が集まっています。学問の研究も同様です。研究者によってとぎすまされた研究成果が、人間の感性によって評価される時代がきました。まさに、人類の文化の進歩です。すなわち、「人間中心」の学問の創生と発展を、われわれの研究の原点としたいと思っています。

皆様が本大学において過ごす期間は、自分の主体性を確立し、人生の方向を見定めるもっとも重要な時期であり、かつ、それぞれの専門の勉学においても人生のなかでもっとも充実した時期になるでしょう。

 
 
ページのトップへ