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上野淳学長 式辞

南大沢キャンパスは丁度今桜が満開です。キャンパス全体で皆さんを歓迎しているかのようです。

首都大学東京へのご入学、心よりおめでとうございます。
また、本日多数ご列席頂いている保護者の皆様方にも、心よりお祝いを申し上げます。

本日、首都大学東京は、

学部生 1,656名
大学院生 865名
合計 2,521名

の学生諸君を迎えることができました。
皆さんお一人お一人が本学の重要な構成員であり、共に本学の教育研究を発展させていく重要なパートナーです。心より歓迎致します。

世界の人口の約7割が都市に集中している現代社会は、「都市の時代」と言われます。
その中でも首都・東京は世界のトップに位置する都市であり、本学はその世界有数の都市・東京都が設置する唯一の公立総合大学です。
そこで、本学の主要な任務は「大都市における人間社会の理想像の追求」におかれています。総合大学としての幅広い基礎研究の土台に立脚しつつ、先端的な都市課題研究にも東京都との連携のもとに果敢に挑戦しています。また、高い水準の教育・研究はもとより、国際化、ダイバーシティー、社会貢献などの分野でも、本学はトップユニバーシティーであり続けたいと日々奮闘し、着実な成果を挙げてきています。

本日は学生諸君に初めて直接お話をする貴重な機会でありますので、私が考える本学の特徴について、少しお話をしてみたいと考えます。

先ず、その一つは、本学が中規模総合大学であるということです。中規模ということは、大きすぎず、小さすぎず、親密な人間関係のなかで教育研究が行われていることを意味します。学部生計約7,000名、大学院生約2,000名、教職員約1,000名、全学一万人規模の大学です。学生と教員、教員同士の距離が近く、少人数教育の環境のもとで丁寧な教育がなされている大学です。
教育面で見ると、学部・専門の異なる学部生の基礎教養教育が、南大沢キャンパスに一堂に会して行われていることが挙げられましょう。異なる分野への志向を持つ学生が同じキャンパスで切磋琢磨し合い、共に学び合うことの意義は大きいと考えます。教育面での学部を超えた協働も盛んで、例えば、教養科目群は、総合大学としての本学の全部局が提供する120科目以上のメニューによって成り立っています。教養科目群は本学の場合、この中から7科目、14単位を取得することが条件ですが、これから考えても、専門を越えて学ぶことができる教養科目群のメニューの豊富さは本学の大きな特色の一つですし、この規模の大学では殆ど例を見ないと考えます。
また、学部の壁を超えた学際的な研究活動も活発であり、大学としてもこうした先端・学際協働研究を奨励し、都市課題研究に取り組んでいます。

本学のもう一つの特徴は、教員の高い研究力、世界第一線で戦える研究力が質の高い大学教育へと結びついていることにあると考えます。高い研究力と質の高い大学教育の好循環です。本学の個々の教員の研究力は国際的に見ても高い水準にあることはよく知られています。例えば、学術先端分野において、国際的に協働して発表している学術論文の割合や、それぞれの研究分野において世界で引用される件数がTOP10%に入っている論文の割合などでは国内の最有力大学に肩を並べるか、分野によってはそれを遙かに凌ぐ高い水準を維持しています。こうした学術最先端に位置する先生は、日々の講義でも、そして、卒論生・大学院生の指導でも学生にとって輝く存在です。学生はそうした教員の姿に憧れて育っていくものです。高い水準の研究が質の高い教育に循環し、そこで育った学生がやがては高い水準の研究成果を産み出す、または、ここで育った学生が社会のリーダーとして日本社会の発展に貢献するなどの姿を本学は目指しています。

こうした本学の特性を踏まえた上で、学部に入学を果たされた皆さんへ学長としてのメッセージを申し上げます。
厳しい受験勉強や入学試験を無事パスされて、今は「ホッ」としておられると想います。もしかしたらこれからしばらく「のんびりできる」と考えておられるかもしれません。しかしそれは違います。「これからが本当の勉強」です。「これから‘本物の知’との出会いが始まる」と考えて頂きたいと強く願います。
いうまでもなく大学は知の拠点です。しかし、漫然とそこに存在しているだけでは、そして漫然と講義に出席し、試験をかいくぐって必要な単位を取得していくだけでは、皆さんの将来にとって有効な何ものも授けてあげることはできません。能動的、積極的に未知の世界に挑戦していく姿勢こそが皆さんを成長させます。
なぜならば、急速に進化していく先端科学研究は既存の知識や技術を急速に陳腐化させます。今日、大学で講義している真実と考えられていることは、5年10年先には既に違った概念に塗り替えられているということは十分にあり得ます。
こうしたこれからの社会の中で真に必要とされるのは、「本物の考える力」、「未来に果敢に挑戦する力」です。こうした力は、能動的・積極的な学びの姿勢によってのみ獲得できるものです。
このため、本学では、「授業外学習」を強く奨励しています。
単に講義に受け身の姿勢で出席しているだけでは、真の学力、教養は身に付きません。講義をもとにして関連文献を深く読んだり、予習・復習をしっかり習慣づけたり、レポートを提出したりといった学習が真の力を養います。本学ではこうした能動的な学びをサポートするTA(Teaching Assistant)をしっかり配置し、学生の学びを支える仕組みの構築に熱心に取り組んでいます。
また、本学の成績評価は厳格でありたいと、その改革にも取り組んでいます。漫然と講義に出席しているだけで単位取得が保障されるのでなく、厳格な成績評価によって学生の学びの質と内容がしっかり評価される仕組みを構築しています。
どうぞ頑張ってついてきて来てください。

大学院に入学を果たされた諸君へのメッセージです。
私は、本学での教員時代、大学院生諸君を教員と同等の、一個の独立した研究者として接してきました。大学院での学びは教員と学生との共生・教え合いだと考えてきました。
大学院に進学された諸君は、本日から学術研究の最先端を担う、責任のある一人の研究者としてスタートすることになります。
そこでは、強い研究倫理意識と、科学の最先端への強い探究意識が求められることになります。その崇高な責任を自覚していただきたいと願います。
そして、これからの大学院生活での学び、最先端研究の活動が、諸君の専門家としてのその後の人生の基礎を創る上で貴重で重要な期間だと認識していただきたいと考えます。
健闘を期待します。

さて、本日、学部入学の諸君が4年後に卒業される年には、2020年東京オリンピック・パラリンピックが予定されています。この成功に向けた様々な取組が活発化していますが、その一つが学生を中心とした、ボランティア活動です。既に本学では、一例を挙げますと、健康福祉学部の学生が車椅子バスケットボールの公式試合のサポートをする取組を行っており、また、本学に在籍する海外からの留学生が、東京の街の案内標識等を調査し、どのような点が海外からの訪問者に分かりにくいか、などの指摘と改善策の提案などを行っています。
本学では、専門家としてのボランティアコーディネーターを置く学生ボランティアセンターを設置して、東京オリンピック・パラリンピックに限らず、様々な形での学生の社会に対する自主的な奉仕活動を支援する態勢を整えています。部活動や趣味の活動、そして、こうしたボランティア活動などの課外の活動も、諸君の人間的幅を広げるために貴重です。こうした活動にも積極的に参加していただければと願います。本学はこうした学生諸君の活動もしっかり支援していきます。

さて、最後のメッセージになります。
この様に本学では、未来に挑戦する真の意味での学力・能力を諸君に身に付けていただくよう全力を尽くします。
一方、我が国は、超高齢社会と人口減少、そして拡大しつつある相対的貧困層などの課題に直面しています。眼を世界に転じると、頻発するテロリズム、内戦、膨大な難民の発生などの胸が塞がるような事態が頻発しています。こうした困難を克服し、誰もが人間としての尊厳をもって生きていくことが出来る社会を構築していくためには、正義感と高い倫理観をバックボーンとした、強く、しなやかな知性を持った若者の力が必要です。それが皆さんです。本学はそうした若い知性を世に送り出したいと強く願っています。

明日からの大学生活を楽しみながら、そして深く学んでください。
本日は誠におめでとうございます。

平成28年4月3日
首都大学東京 学長 上野淳
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