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上野淳学長 式辞

本日、首都大学東京を卒業・修了された皆さんに、心よりおめでとうを申し上げます。又、本日多数ご列席頂いている保護者の皆様方にも、心よりお祝いを申し上げます。

学事報告にもありました通り、本日首都大学東京は、

学士課程 1,589名
大学院博士前期課程 679名
博士後期課程 61名
法科大学院 58名
助産学専攻科 9名
合計 2,396名

の卒業生・修了生を世に送り出すことができました。

本学は開学以来、真の意味での幅広い教養と深い専門知識を教授することは勿論、学生諸君の主体的・能動的な学びを奨励し、本物の考える力・未来に挑戦する力を育成することを大学教育改革の大きな目標としてきました。 目標としてきただけでなく、こうした教育実践は確かに実質化してきていると大学として自信を深めています。

いうまでもなく、急速に進行する科学技術の進化は、既存の知識や技能を早い速度で陳腐化させます。そうしたこれからの社会では、未知の新しい領域の課題に探究的に挑戦し、ベストソルーションを求め、見出していく力こそが真に必要とされていると考えられます。そして本学はそうした真の意味での学力を諸君に教授できたと確信しています。獲得したこうした学力・能力で社会の第一線のリーダーとして活躍していただくことを、強く期待する次第です。

本日、卒業・修了され、これから実社会に出て行かれる諸君にメッセージを申し上げます。課程を終えられ、「これでやっと勉強は終わった。解放された」と思っておられる諸君が居るかもしれません。しかし、先に申し上げた通り、これは明らかに誤りです。実社会に出るこれからが真の意味での学習の始まりと認識していただく必要があります。大学での学びはその基礎力をつけるためのトレーニングであったとも考えることができましょう。

この現代社会は驚異的なスピードで科学技術が進化していく社会です。自動運転自動車は現実のものとなりつつありますし、人工知能AIが囲碁の世界でトッププロを破る時代になってきました。これは何億通りの打ち手を全て計算して打ち手を導く方法論ではなく、人間の脳の神経回路を模擬したdeep learning の手法で、直感や勘を交えて判断する人間の脳に働きに近いとも伝えられています。

また、別な観点から、グーグルのCEOは、「20年後の社会,我々が望むと望まないに関わらず、現在の仕事の殆どが機械・ロボットによって代行される」と言っています。20年後といえば,諸君が正に社会の一線のリーダーとして活躍している時期です。

さて、どんな時代になっているでしょうか。正直,私にも想像がつきません。しかし、人工知能AIには倫理性や正義感はありませんし、課題設定能力やこれからの社会の在るべき姿についての価値判断能力は無いといえます。

こうした中で,確かなこととして言えることは、これからの社会には、高い倫理性や正義感に支えられた若くしなやかな知性と強い人間力こそが必要とされているということではないでしょうか。

こうした力は継続的に学ぶ姿勢によってこそ保障されます。生涯をかけて学び続ける力、これこそが求められます。皆さんはその基礎力を本学で身に付けられたと考えます。これからが本当の学びです。諸君の奮闘、これからの社会でのリーダーとしてのご活躍を心より期待します。

次に、学士課程を終えられ大学院に進まれる諸君に、メッセージを送ります。本学では、特に理系では、7割程度の学部生が大学院に進学されます。

私も大学教員として採用される前に、大学院修士課程・博士課程を経ました。そしてその思い出は、人生のなかでも全力で勉強に取り組めた得難い期間であったということです。諸君にとってもこれからの大学院での学びの時間は、何にも代えがたい貴重な期間であり、しかも専門家としてのその後の人生の基礎を創る大切な期間だと認識していただきたいと考えます。

また、私は本学での教員時代、大学院生を教員と同等の一個の独立した研究者として接してきました。大学院に進学する諸君は、明日から学術研究の最先端を担う責任のある一人の研究者としてスタートすることになります。そこでは、強い研究倫理意識と科学最先端への強い探究意識が求められることになります。奮闘を期待します。

最後に、これから実社会に出て行かれる皆さんに、学長としての一つのささやかなお願いを申し上げます。それは,心優しいリーダーとしてこれから活躍して欲しいということです。

以上述べてきたように、優れた資質や専門知識を持ち、能動的な学びの姿勢を有する諸君が、これから社会の各方面でリーダーとして活躍していかれることは間違いのないことですし、社会が強く期待するところであります。

一方,我が国は超高齢社会・人口減少・貧困層の拡大などの様々な課題に直面していることも紛れのない事実です。国外に眼を向けても,環境問題や内戦・地域紛争・テロリズム・膨大な難民の発生など困難な課題は依然として大きく存在しています。

こうした問題は決して遠い世界の話ではなく、諸君や我々のごく身近なところにおいても顕在化していることをしっかり認識していただきたいと考えます。こうした困難な状況を切り拓き、全ての人間が尊厳を持って生きていける社会を創り上げるのは、正義感と倫理観に裏付けられた力強くしなやかな若い知性をおいてほかにありません。そして、いずれは諸君一人一人の社会への貢献が、こうした社会的課題の解消への一助になるというつもりで社会の中で活躍していっていただきたいと強く願うのです。

こうした心の優しさ、周囲の多様な個性、属性、そして異なった文化的文脈を持つ人々への優しい眼差し、心遣いが、やがてこの国を健全で明るい社会へと導いていくことになると考えるのです。

諸君のこれからの輝かしい人生に、そして心優しいリーダーとしての活躍に,強く期待します。

本日は誠におめでとうございます。

平成28年3月24日
首都大学東京 学長 上野淳
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