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川淵三郎理事長 挨拶

川淵三郎理事長

 皆さん首都大学東京への入学、まことにおめでとうございます。
 そして、ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。

 学部に入学された皆さんに、まず言っておきたいことがあります。高校生の時は、皆さんは生徒と呼ばれていました。しかし大学生になると学生と呼ばれます。生徒と学生の違いは、なんだか分かりますか。生徒は受動的に授業を受ける、いわば100%先生の言うことを信頼して、受け身として授業を受けるのが生徒です。しかし学生は、能動的に授業を受ける、京都大学の学生などがよく言っておりますけれども、どんな偉い先生の講義でも、「本当かな」と思って聞くという姿勢が学生には必要なのです。受動的に授業を受けるのではなくて、能動的に授業に向かっていく、つまり、各先生の講義についても自分なりに疑問を持ったら、その疑問を分析し、解析し、その問題を、疑問をどのように解決していけばよいのか自分で考えていくということです。皆さん方には、もう今日から学生に変わったという意識を是非、持ってもらいたい。なぜこんなことを言うかというと、私が理事長になってから、ちょうど2年が経ちました。その間、首都大学東京でかなりの時間、授業を見てきました。しかし、その授業の中で、まだ、学生になりきれていない、高校生の延長線上であるかのような生徒が随分いるなという感想を持ったからです。
 そうした意味で、是非、皆さんは学生になってください。

 話は変わりますけれども、私は今、サッカーではなく、バスケットボール界の改革に取り組んでいます。このバスケットボール界の改革というのは、一人の力ではもちろんできません。多くの人の支えがあって初めて可能になるわけです。そしてそこには大きな問題があります。6年前、国際バスケットボール連盟から、ある問題を解決しない限り、国際競技に参加することは一切禁止すると言われ、組織として何もせずに過ごした結果、今、オリンピック予選にすら出られない状況になっています。プレイヤーズファーストという言葉を、バスケットボール協会の幹部は全く考えてこなかったということです。そうした時には必ず大きな問題があります。しがらみがあります。そのしがらみをどう絶っていくのか、そのためには発想の転換が必要なのです。先月の卒業式にコペルニクス的転回ということをお話ししました。大学院生の人は覚えていると思いますけれども、大きな発想、今までになかった常識外れの発想をしない限り、物事は解決しないことが良くあります。哲学者カントは自分の理論を発表するときに、今までとはまるで違う、180度違う理論を展開しました。そして、この理論は180度考え方を変えた理論ですよということを説明するために、2000年近く信じられてきた天動説をコペルニクスが地動説に変えたことを例に挙げて、コペルニクス的転回と言ったのです。どこまで考えても解決しない時は、たとえそれが常識に反するとしても、考え方を180度変えろということが、この趣旨です。発想を根本的に変えることによって、新たな局面へのきっかけができるということです。皆さんには、この大学の中で授業に能動的に参加し、是非、こうした考え方を学んでもらいたいと思います。また、初めに申し上げたように多くの人のサポートがなければ一つのことを成し遂げることはできません。自分が相談できる相手、自分が相談してあげたい相手、自分が生涯付き合っていけるような友人が、この4年間の中でできることを心から願っています。

 コペルニクス的転回による発想ができる能動的な学生になるよう、この4年間、あるいは5年間を仲間とともに有意義に過ごしてくれることを心から願ってお祝いの言葉とさせていただきます。受動的ではなく、能動的、コペルニクス的転回、これを是非忘れずに実践し頑張ってください。

 平成27年4月5日

公立大学法人首都大学東京 理事長 川淵 三郎

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