本文へ移動します

小崎 隆 教授

小崎 隆 教授

都市環境学部 自然・文化ツーリズムコース
小崎 隆 教授

キーワード:
エコツーリズム, 環境問題, 砂漠化

エコツーリズムは環境教育の手段であるべき

イメージ1
エコツアーは非日常を求めるもの?

エコツーリズムに対する一般的な認識は、自然環境を観光の対象としたツーリズム(旅行)といったものではないでしょうか。
実際エコツアーと題したグレートバリアリーフや、カナディアンロッキー、国内だと屋久島や知床などを訪れる旅が人気を博しています。手付かずの自然は素晴らしいものです。大自然の中で人は誰しも癒され、感動し、そして「自然を保護しなければならない」と考えます。そう考えるのは間違いではありませんが、そうした自然は日常的なものではなく、非日常的なものだと言えるでしょう。

感動するだけでは環境保全はできない

地球温暖化、異常気象、土壌汚染など、世界中の環境問題の多くは、人間による自然破壊にその原因があります。環境問題は21世紀の人類に課せられた最大の課題であり、これを解決しない限り人類の未来は明るいものとは言えません。こうした状況下で「自然が素晴らしい」と感動して癒されて帰ってくるだけで、環境保全はできるのでしょうか?。
環境を第一に考えるならば、我々の日常生活から変える必要があります。日々の環境への負荷を減らすことが問題解決の第一歩であることは、疑いの余地はありません。

砂漠化に苦しむ「日常」を知ってほしい

美しい自然を見ることだけがエコツーリズムではなく、題材はほかにもあります。例えば、土地の劣化が原因で、かつては草木が育っていた土地が砂漠のようになる「砂漠化」です。アフリカのサヘル地域の国々は、この砂漠化に苦しんでいます。このようなところを見て、体験をして、そこで実際に起こっている「日常」を理解すること、そして砂漠化を防ぐために自分たちに何ができるか、あるいは現地の人たちをサポートし、一緒に考えることもエコツーリズムのひとつのテーマなのです。
自然の良い面ばかりを見ていては、環境問題は語れません。負の面も積極的に見て体験することが必要です。非日常を日常に取り込んで問題解決を図るエコツーリズムもあるのです。

環境問題は Think globally, Act locally

イメージ2
土地が「支える力」を失うと何が起きる?

いま世界の多くの地域で土地劣化が深刻な問題となっています。その代表的なものに、土壌の汚染や砂漠化、塩類化(土壌に塩類が集積すること)、土壌有機物の減少が挙げられます。
土地が劣化すると、本来土地が持つ、いろいろなものを「支える力」が弱くなるのです。その環境がどれだけの生物を養っていけるのかという概念をcarrying capacity(環境容量)と言いますが、土地の側面においてcapacity(収容力)が低下すると、作物の生産性が下がり、生態系が崩れ、その場所に暮らす人々の生活がおびやかされることになります。

土地劣化にストップ!研究者たちの取組み

放っておくと、劣化した土地はさらに悪化が進むため、何らかの対策が必要です。数年前から、砂漠化や塩類化が進んだ土地を回復させる国際プロジェクトが行われています。日本も農林水産省の独立行政法人や大学が、研究者の派遣や技術援助などの支援を行っています。現地では、地元の人と共同で、やせた土地に適した品種や栽培方法を研究するなど、途上国でのsustainability(持続可能性)のある農業の実現をめざして活動しています。

環境問題の根っこは地域の問題

環境問題を語るときに“Think globally, Act locally”という言葉がよく使われます。「地球規模で考え、地域で行動せよ」という意味です。地球規模の環境問題といえども、土地劣化のような個々の問題の解決法は非常にローカルです。地域によって砂っぽい土地もあれば、粘土質の土地もあり、土壌に適した解決方法が必要となります。また、民族が違えば、土地所有の形態も異なるため、ある村で成功した方法を隣の村で同様に実施できるとは限りません。
このようにローカルな解決方法を探る一方で、それにのめり込みすぎず、地球規模の原理を上手く生かす姿勢もまた大切なのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

高校生のあなたに伝えたい一言は「教養人になってほしい」ということです。大学受験のための勉強は大事ですが、受験科目という限られた範囲の勉強だけでは教養は身につきません。浅くてもいいので、やはり広範囲にわたって勉強することです。特に環境問題に興味を持ったら、文科系と理科系、両方の知識を持ってほしいと思います。教養をどれだけ身につけているかが、これからの世の中の変化に対応するためのメルクマール(指標)になると思います。首都大学東京でいっしょに学び、教養人をめざしましょう!


夢ナビ編集部監修

ページトップへ