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宇治 公隆 教授

宇治 公隆 教授

都市環境学部 都市基盤環境コース
宇治 公隆 教授

キーワード:
コンクリート, 耐久性, 環境

社会の土木構造物を支える、コンクリートの正体とは?

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安くて入手しやすい、便利な材料

橋やトンネル、ダムなどのインフラ施設の多くは、コンクリートを使って造られています。コンクリートは主に水とセメントと砂と砂利によって作られるため、材料費が安く、容易に手に入ります。また、型枠に流し込んで成形するのでさまざまな形にできますし、材料を混合する比率によって、コンクリート自体の強度を用途に応じて自由に設定することもできる便利な材料です。

鉄筋と組み合わせて強くする

コンクリートは多くの場合、中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして用いられます。コンクリートは圧縮される力には強いのですが、引っ張りの力に弱いという弱点があり、一方、鉄筋は引っ張りの力に強いという特性があるため、両者を組み合わせると、強度を持たせることができます。また、コンクリートの内部はアルカリ性の環境なので、中の鉄筋は錆びにくくなり、耐久性が高くなるという利点もあります。
しかし、コンクリートの構造物は重くなってしまうため、大型の橋など、用途によっては鋼製構造物を用いた方がいい場合もあります。また、コンクリートはその製法上、鋼材などと比較すると品質にばらつきが出やすいのも事実です。そしてコンクリートは、いざ撤去しようとすると解体作業が非常に大がかりになってしまうという難点もあります。

コンクリート構造物を長持ちさせるために

現代のコンクリートで造られた構造物の寿命は、一般に50~100年を設計上の目標にしています。それらをさらにできるだけ長持ちさせるためには、どこかが壊れたら直すのではなく、非破壊検査などでこまめに異常をチェックして早い段階で補修することが求められます。人間の健康診断と一緒です。コンクリートの一部にひび割れが入れば、その時点では強度的に問題はなかったとしても、そこから内部の鉄筋が錆びてしまう可能性もあるからです。社会基盤を支えるさまざまな構造物を建設・維持していくために、コンクリートの研究・開発は欠かせない取り組みなのです。

地球環境にやさしいコンクリートの作り方と再利用法

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コンクリートは環境に負担をかけている?

橋やトンネル、ダム、ビルなど、さまざまな施設や構造物の素材としてコンクリートが用いられています。しかし、その製造や利用の方法によっては、地球環境に大きな負担をかけることになることも事実です。そこで今、できるだけ環境に負荷をかけない形でコンクリートを活用するための研究が盛んに進められています。

産業廃棄物を活用してCO2を削減

コンクリートの主要な材料の一つであるセメントは、石灰石(炭酸カルシウム)などを用いて作られますが、その製造過程で高温で焼いて酸化カルシウムを生成する際に、大量の二酸化炭素(CO2)が発生します。セメントの使用量を少しでも減らして二酸化炭素の発生量を抑えるため、セメントの代替となる材料の研究が進められています。
その中でも注目されているのは、製鉄所から排出される鉄以外の不純物である「高炉スラグ」や、石炭を用いる火力発電所から排出される「フライアッシュ」と呼ばれる石炭灰の粒子などです。高炉スラグやフライアッシュをセメントの一部分と置き換える方法でコンクリートを製造すると、長期的にはむしろ強度が高くなるという研究も報告されています。高炉スラグもフライアッシュもそのままでは産業廃棄物でしかないため、それらを有効活用できるという点でもメリットがあります。

解体したコンクリートも再利用する

また、解体した構造物から出るコンクリートの再利用についても、さまざまな研究が進められています。解体したコンクリートを砕いて新たにコンクリートを作る際に必要な砂利として用いる場合も増えてきましたが、現時点ではそうして作られたコンクリートは品質的にやや劣るため、例えば、耐久性があまり問題とならない構造物や道路建設の際の路盤材として用いるなど、用途をある程度制限する必要があります。
さまざまな面でより環境にやさしく、より優れた性質を持つコンクリートについて研究していくことは、私たちの社会そのものを支えていく礎にもなるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

私は橋を造りたくて土木工学科に進み、ゼネコンを経て大学で研究しています。橋だけでなく、トンネルやダムなど社会基盤施設のコンクリートを対象に、楽しく仕事をしています。
「好きこそものの上手なれ」のことわざは深い意味を持ちます。好きでなければ続かない、面白くない、流行り廃りにとらわれず、自分のやりたいことをしっかり考えなければなりません。大学に進むという分岐点で自分と対峙(たいじ)し、何をやりたいかを考えて進路を決めてください。やりがいのある仕事をし、充実した人生になることを願っています。


夢ナビ編集部監修

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