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江副 祐一郎 准教授

江副 祐一郎 准教授

都市教養学部 理工学系
物理学コース
江副 祐一郎 准教授

キーワード:
ブラックホール, ダークマター, 宇宙物理学

興味がつきない「ブラックホール」の不思議

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ブラックホールは「穴」ではない

宇宙にはすさまじい重力で周囲のものを引き付ける天体があります。「ブラックホール(黒い穴)」と呼ばれていますが、穴ではありません。光も吸い込んでしまうため、存在は目には見えませんが、ガスがブラックホールのまわりを回りながら、「角運動量保存の法則」に従って、平たい円盤状(降着円盤)になり、ガス同士の摩擦によって落ち込んでいく様子はX線によってとらえられます。ガスはブラックホールに近づくほど大きなエネルギーを獲得して高温となり、X線を放射するからです。

ブラックホールの大きさの謎

重い星が死を迎え「超新星爆発」を起こすと、中心にブラックホールが誕生することがあります。これは「恒星質量ブラックホール」と呼ばれ、太陽の10倍から数十倍ほどの質量です。また、銀河の中心には太陽の10万倍から数十億倍の質量を持つ巨大な「超大質量ブラックホール」が存在することもわかっていますが、どうやって形成されたかは確証が得られていません。
一方で、太陽の数十倍から数万倍の大きさを持つ「中間質量ブラックホール」は長年、見つかっていませんでしたが、近年候補となる天体が発見され、超大質量ブラックホール形成の謎を解き明かすカギになるのではと研究が進められています。

物理の法則で宇宙の不思議に挑む

最近の研究で、2つの巨大なブラックホールが連星になっている事例もわかってきました。2016年2月、アメリカで初めて「重力波」と呼ばれる時空のゆがみが検出されましたが、これは13億光年のかなたで太陽の数十倍の質量を持つ2つのブラックホールが合体した衝撃が伝わったものと考えられています。
将来、重力波の探査が宇宙でもできるようになったり、X線で連星の運動にともなう周期変動を探索すれば、もっと多くのブラックホールの連星が見つかるかもしれません。ほかにも宇宙にはダークマター(暗黒物質)やダークエナジー(暗黒エネルギー)といった、解明すべき謎が多く残されていて、物理の法則を用いて理論的な予測が行われています。

観測装置も自分で開発! X線で挑む宇宙の未知なる世界

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目には見えない宇宙の不思議をとらえる

宇宙からは可視光のほか、電波や赤外線、X線などさまざまな電磁波が降り注いでいます。目には見えない波長が起こす現象をとらえられれば、知られていない宇宙の姿が見えてくるでしょう。このうちX線は高温、高いエネルギーを放出する様子を示しますが、大気に吸収されるため地上からは観測できません。現在は人工衛星に装置を搭載し、宇宙から観測するのが一般的になっています。

X線で見える「木星のオーロラ」「地球の磁気圏」

木星ではX線の波長域で、大規模なオーロラが観測されました。これは木星の強い磁場の中で、粒子が何らかの方法で光に近い速さまで加速され、木星の大気に突っ込むときに発光すると考えられています。
地球の磁気圏も、磁場そのものは可視化できませんが、X線を使うと磁場に沿った粒子の運動がとらえられると考えられます。かつてX線で地球の探査を行っていたドイツの衛星「ROSAT」の観測データには、正体不明のノイズが含まれていました。日本の「すざく」衛星などを使った最新の研究の結果、ノイズは太陽風が地球磁気圏に捕捉され、地球周辺の物質と電荷交換反応を起こして出る放射が原因だとわかりました。このようにX線を活用した観測で、宇宙物理学の理解が進んだり、さまざまな基礎物理の知識が得られたりしているのです。

自分の手で装置を生み出し「世界初」をめざす

歴史をたどれば、太陽以外でX線を放出している天体が見つかったのは、1962年、アメリカの大学発の今でいうベンチャー企業の若き科学者たちが中心となって作った装置によるものでした。同じように自分たちの手で装置を開発し、新しい発見をしようという試みは今も続いています。重さが100㎏以下という超小型衛星の開発も進んでおり、これまで大型衛星が行ってこなかったエリアの探索などを行おうとしています。思いがけないことから、宇宙の謎を解き明かすヒントが見つかることもあります。そのチャンスを逃さないためにも、自分で観測装置を開発する意義は大きいのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

宇宙物理学は壮大なテーマに挑む学問ですが、根源的な物理学に結びついているところが大きな魅力だと思います。また自分で観測装置を開発して、新しい研究の道を切り開いていく面白さもあります。
その意味では宇宙に興味がある人だけではなく、ものづくりが好きな人にもおすすめです。研究テーマは山ほどあり、どのようにアプローチするかは個人に任されています。国際協力が進んでいるので、世界中の人と一緒に研究できるのも素晴らしい経験です。


夢ナビ編集部監修

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