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角田 直人 准教授

角田 直人 准教授

都市教養学部 理工学系 機械工学コース
角田 直人 准教授

キーワード:
伝熱工学, 発電, 赤外線

医療や化学分析に利用できる「熱変化を撮影する技術」

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捨てられる熱エネルギーの有効利用

私たちの身の回りには、使わずに捨てられてしまっている熱エネルギーがたくさんあります。例えば、自動車に使われるエネルギーの60%以上は、熱として逃げてしまっていますし、工場や家庭で発生する熱も再利用されていません。地熱も有効に使われていない自然の熱エネルギーです。
最近は、こうした熱エネルギーを回収して発電に使う研究が進められています。熱エネルギーを効率よく、電気もしくは力学エネルギーに変換するには、熱と物質の移動を「制御」することが重要になります。このことは、大規模な発電だけでなく、最近注目されている超小型の発電機においても変わりません。

わずかな熱の移動を可視化する技術を開発

熱の移動を制御するためには、まず、どのように熱が移動するのかを知らなければなりません。熱の移動は温度変化として表れますので、温度画像をとることが有効です。しかし、超小型の発電機の内部の温度を、外側から直接測定することは、これまで不可能でした。サーモグラフィは、物体「表面」の温度画像を撮影する方法ですが、「内部」の温度は測定できません。そこで、現在開発が進められているのが、近赤外線を使って撮影する技術です。近赤外線はプラスチック、ガラス、生体などを透過しやすい性質がありますので、これらの材料で機器の内部構造を再現して、温度画像をとるのです。髪の毛ほどの細さの管の中で生じる熱移動を、画像としてリアルタイムでとらえることができます。

がんの温熱治療や自然現象の解明にも役立つ

この技術が完成すれば、さまざまな分野への応用が考えられます。
例えば、がんの温熱治療がそのひとつです。温熱療法はがん細胞に磁性体をつけて、それを外から磁気で加熱してがん細胞を破壊する治療法ですが、この技術を使って温度を制御できれば、治療の効果を高めることができます。また、化学反応や電磁波の吸収のように、熱の発生や移動をともなうさまざまな現象の秘密を解き明かすことにも役立てることが期待されています。

温度と物質濃度をリアルタイムにとらえる新技術の開発

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冷却は、熱と物質を輸送すること

冷蔵庫やエアコンの冷却する仕組みがどうなっているか、知っていますか。
これらは、物質が気化するときに熱を奪う性質を利用して空気を冷やしています。「冷媒」と呼ばれる物質をコンプレッサーで圧縮して液化し、それが気化するときに熱を奪うことで、空気を冷やすことができるのです。このように、熱の移動を仲介する物質の特性やどのように熱を輸送するかということを研究するのが、伝熱工学、熱物質輸送工学という学問です。冷蔵庫やエアコンのメーカーでは、冷媒や冷やす仕組みを改良するなど、より効率的に熱を輸送する研究が進められてきました。それが製品の開発につながっているのです。

超小型発電機の開発に使われる伝熱工学

家電分野での熱輸送の技術は、ある程度成熟してきましたが、現在は、この技術をもっと小さい機器に応用する研究が始まっています。
例えば、手のひらにのるような超小型の燃料電池が現在開発されています。燃料電池は主に、水素と酸素を反応させて発電しますが、この反応をより効率的に行うためには、これらの物質の量や温度などを制御したり、流れる経路(流路)の設計を工夫したりする必要があります。しかし、流路は、数十ミクロンと、髪の毛ほどに細い場合が多く、その中を通る物質の濃度や温度を測定することは極めて困難でした。

物質の温度と濃度の変化をリアルタイムに撮影

そこで、現在行われているのが、化学反応で生じる物質の濃度と熱の変化を、近赤外線カメラという特殊なカメラで撮影する技術の開発です。
水素と酸素の反応では水が生成されますが、この技術を用いると、その水の量を知ることができます。熱の変化を知る方法には、サーモグラフィがありますが、サーモグラフィが「表面」の温度を撮影するものであるのに対し、この技術は、「流路の中」の物質の温度を撮影するものなので、内部で起きている化学変化をリアルタイムに把握することができます。この技術が完成すれば、効率的な超小型発電機や携帯用医療機器の開発が可能になるでしょう。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

伝熱工学あるいは、熱物質輸送工学というと、物理の世界だと考える人が多いかもしれません。しかし、熱の移動は、あらゆる理科の科目と関係しています。例えば、地熱発電も、がんの温熱療法も熱の移動が関係しています。さらに、燃料電池は、化学反応で発電する仕組みですが、その中で発生する熱と物質の移動がとても重要です。ですから、もし、あなたが、特に物理に興味がなくても、生物、地学、化学のいずれかの分野に興味があれば、この学問もきっと面白いと感じるはずです。ぜひ、私と一緒に研究に取り組みましょう。


夢ナビ編集部監修

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